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父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」 Posted on 2017/09/03 辻 仁成 作家 パリ

 
息子との二人旅、世界各地を回ってきましたが、今回は初のアイスランドへ。
何回かに分けて、アイスランドの旅特集をお送りしたいと思います。

ところで、アイスランドという国名は聞いたことがある人も多いと思いますが、どんな国か知っている人は少ないようです。ちょっと旅を始める前にアイスランドについて予習をしましょう。

アイスランドは共和制をとる国家で、北ヨーロッパの北大西洋上に位置する島国。ここはバイキングのフローキ・ビリガルズソンが発見し、「アイスランド」と命名したのがはじまりだったとか。9世紀ごろから人が住み始めたようです。ちなみに、この国でもっとも有名なビールも、バイキング! 深みのある飲みやすいビールですね。

アイスランドの人口はなんと33万人、首都レイキャビックにその多くが集中しています。 

さて、予習はこのくらい。
 



父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

 
では、さっそく旅に出かけましょう。今回は生まれてはじめてアイスランド航空を利用させてもらいましたが、人口33万人の国の飛行機会社はどんなだろうと興味津々、しかし、その期待を裏切られることがないくらい乗り心地は抜群でした。

だいたいEU内は基本エコノミー移動なんですが、満席で仕方なくエコノミーコンフォートというクラスを利用させてもらいました。日本のプレミアエコノミーですね。しかし、座席はビジネスクラス、 サービスはエコノミーよりちょっと上、父子にはとても贅沢な座席でした。

パリのシャルルドゴール空港からアイスランドの玄関、ケフラビック空港までの飛行時間は約3時間半。東京から沖縄に行くような感覚に近いかと思います。エコノミーのシートも総革張りで超シック、落ち着いた機内、ラウンジのような穏やかな佇まいで、心地よいフライトでした。機内番組でアイスランドの見どころビデオが放送されていたので、着陸までの間ずっとアイスランドの予習をしましたが、これが旅の気持ちを盛り上げてくれました。
 

父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

 
ケフラビック空港は思ったよりも大きく近代的。空港はその国の玄関にあたるので、旅をしていると、降り立った時にその国のだいたいの雰囲気、危険度、安心度がわかるものですが、アイスランドの玄関は非常に穏やかで、犯罪の匂いや気配というものを感じませんでした。

パリなんかだと強引な白タクの客引きとかあるのですが、そういうものも一切ありません。そして、犯罪も実際少なく、非常に治安のいい国であることがわかってきます。
まず、空港も、市内もほぼ警官や軍人の姿を目にすることがありません。長くこの地に滞在している友人に聞いたところ、日本よりも断然安全ということでした。

ついでに補足すると、パリからの便でアイスランドに入りますと、行きも帰りもパスポートコントロールがありませんでした。パリで乗り継ぎの場合はパスポートの提示がなく入れるのでしょう。
 



父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

 
しかし、心地よいはじまりだった初アイスランドですが、ここで最初の試練にぶつかります。
アイスランドには電車がありません。島が広大なので、タクシーで移動するわけにもいかず、国際免許証があるので、今回はレンタカーを手配しました。しかし、空港内にレンタカー屋さんが見当たりません。バジェットレンタカーなどの大手は空港内にありましたが、私たちが頼んだレンタカー屋は見当たりません。
空港から数キロ離れた場所までいかないとならず、まず、そのお迎えが来るまでに30分ほど、ゲートで待たされたのです。その上、GPS付きを頼んでいたのに、出てきた車にカーナビが搭載されていません。これではどこにも行けない。何度も交渉しましたが、契約でそうなっているの一点張り。私の英語力では勝てないことがわかり、遠方にいる友人に通訳をしてもらい、再交渉。英語が堪能な人の力強い説得のおかげで、最後に残っていたカーナビをやっとゲットすることが出来ました。

そこまでに要した時間は空港到着から3時間。やれやれ、どうなることやら、どっと疲れた辻親子でした。唯一の救いは借りれた車がマツダのCX-5だったこと。
 

父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

 
ケフラビック空港からやっとレンタカーで出発。出鼻を軽くくじかれた辻親子を待っていたのは爽快な青空でした。
首都レイキャビックまでのまっすぐな海岸線を我々を乗せたマツダが走っていきます。左手には北大西洋の美しい水平線、そして、右手には火山島らしい溶岩に覆われた大地が広がります。
 



父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」

 
ともかく、私たちのアイスランドのはじめての旅が始まりました。まずは首都レイキャビックを目指します。
私はアクセルを踏み込み、息子が横でナビ係です。13歳になった息子とこうやって一緒に旅ができるのはあと何年でしょう。自分が元気なうちに、この子に伝えられる様々なことを伝えていきたい。旅先だからこそ語り合えることがあると思うのです。

辻父子の親子旅がまたまた始まりました。青空百景、まずは快調な滑り出しです。 
 

父子旅「いざ、氷の島国、アイスランドへ」