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想い出の父子旅日記「アイスランド国のストリート&ソウルフード」 Posted on 2023/04/26 辻 仁成 作家 パリ

※ この日記は、2017年の夏に息子とアイスランドに行った時に書かれたものですが、実に、美味しそうなので、再配信をします。

某月某日、息子とアイスランドの首都、レイキャビクを旅しました。そこで、出会った数々の美味しいストリートフードをご紹介します。
バイキングの末裔であるアイスランド人は主に保存食を利用した料理を食べてきたようです。
火山島ですから、野菜は海を渡って入ってきます。彼らはクジラも食べますし、美しい鳥パフィンも食べます。
干した鱈なんかの料理もあります。ロブスターやラム肉が有名ですが、逆を言えば和食や中華やイタリアンのようにこれといった世界的に人気の料理スタイルはありません。
どの店もそれなりに美味しいのですが、アイスランドを感じる料理ではありませんでした。
 

想い出の父子旅日記「アイスランド国のストリート&ソウルフード」

 
ただ、そのような中でも個人的に「美味しい」と思えるアイスランドの料理に出会うことが出来ました。
それはスープです。アイスランディックミートスープと呼ばれているもので、しかし、味は極めてシンプルな煮込みスープになります。
肉がメインのミネストローネという感じでしょうか。この肉もラム肉が使われています。大聖堂前にあるカフェロキのミートスープはコトコト煮込んだ超シンプルなあっさりスープ。私は塩胡椒を頼んで自分好みの味に変えてから食べましたが、とっても美味しかったです。
韓国のユッケジャン、牛テールスープから辛みを抜きさったような感じ。
 

想い出の父子旅日記「アイスランド国のストリート&ソウルフード」

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もう一軒、目抜き通りにあるSvarta Kaffiðのミートスープはクリーミーでとっても美味しかったです。
かぼちゃ型の大きなパンの中をくりぬいて、そこにスープが入っています。くりぬいたやわらかいパンを浸して食べます。最後は味の染みた外側のパリパリとしたパンをちぎって食べるのですが、どこか9世紀のバイキングになったような不思議な感動を覚えました。
旅行者というのは地元の人たちが西洋かぶれした高級店に行きたいわけじゃないのです。レストランガイドに載っている店よりも、自分で歩いて飛び込んだ無名店の方が満足度が高かったりします。
いい店を発見するコツは、地元の方々、とくにおじいさんおばあさんで満席であること、そして、彼らが笑顔であれば味は保証されるという寸法です。
 

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私が経験した限りでは、空港のサンドイッチ1500円、レストランのカリフォルニア巻一本3500円、パスタ3000円。
このように物価の高いアイスランドで、手軽に美味しいをゲットするにはストリートフード店に飛び込むのがいいでしょう。
 

想い出の父子旅日記「アイスランド国のストリート&ソウルフード」

 
まず、世界一美味しいアイスクリームがレイキャビックにはありました。
Njálsgata通りにあるJOYLATOという名前のお店です。自家製の牛乳、または、ココナッツミルクをベースに使います。注文してから一つ一つ手作りで作るアイスクリーム。
クリーミーであることはもちろんですが、牛乳の濃厚な味が今まで一度も経験したことのない広がりと深みを連れてきてくれます。バニラ、マンゴー、ストロベリー、チョコレートなどいろいろ味わえます。
値段はちょっと高めですが、手間暇を考えると妥当な、800円。文句なく世界一だと思いました。
 

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港の近くにクリントン大統領がわざわざ立ち寄ったことで有名な自称世界一のホットドックの屋台があります。
いつ行ってもものすごい行列で人気のほどがうかがえます。マヨネーズ、マスタードブラウンソース、玉ねぎ、ドライ玉ねぎ、が口の中で絶妙に広がり、世界一かどうかはわかりませんが、少なくともアイスランド一であることは間違いない、確かに絶品ホットドックでした。450円。
 

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そして、最近できたばかりの超人気のチップス屋があります。
脇役だったフライドポテトを主役に。こちらのフライドポテトはフレンチフライとは異なり、けっこう大づくりで、だからこそ表面がカリカリ、中がホクホクでした。ジャガイモの風味が生々しく、10種類以上のソースにつけて食べます。
地元のビールと一緒に食べると最高でした。750円。
 

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旅先で美味しいものに出会うと嬉しくなります。地元の人たちが美味しいと言って食べているものを一緒に味わい、文化や歴史の違いを経験するのが醍醐味といえるでしょう。まだまだ世界中の美味しいを発見していきたいと思います。

アイスランド、大満足な旅でした!
 

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