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人生は後始末 「臭い物には蓋」   Posted on 2017/02/08 辻 仁成 作家 パリ

 
バルセロナのゴミ収集システムが凄いです。
バルセロナはパリより早くにレンタサイクルを導入した街だそうですけど、
もっと凄いのがこのゴミ収集システム。
馬鹿でかい保冷ボックスをご想像ください。人間が何人も隠れることの出来る巨大ボックスです。
それが色分けされて、通りに5つ程並んで設置されております。
しかも100メートル、200メートル間隔で、その上、デザインも悪くない。
もちろん、分別ゴミです。
青が紙類、緑が瓶類、黄色が缶、灰色はリサイクル、そして茶色が生ゴミとなっております。
ゴミボックスも巨大ですが、収集車はさらにでかい。
収集車がボックスに横付けし、ジャイアントアームが出てまいりまして、巨大ボックスをガシリと掴みます。
ボックスを持ち上げ、収集車のタンクの中にゴミだけ落とすんですよ。
鉄腕アトムとかジャイアントロボの世界そのもの、その迫力、呆気にとられます。
誰がこんなこと考えたんだ?
 

人生は後始末 「臭い物には蓋」  

 
パリの収集車も大きいですが、運転手の他に作業員が2人程必要で、緑色のゴミボックス(バルセロナの3分の1程度でしょうか)を収集車まで運んだり、元に戻したりしていくのですから、大仕事。
さらにそのゴミボックス、各建物の管理人が通りに出し、収集された後、手作業でまた建物の中まで戻す、という凄い手間がかかっております。
これに比べ、バルセロナのゴミ収集システムは超シンプル。
ゴミは住民が各自、通りのゴミボックスまで捨てに来ます。で、収集車が来て持ち去るだけ。
運転手さん1人で全て出来る完璧な合理化、しかも秩序だっており、旅行者でさえ簡単にしかも間違わずに捨てることが出来る。その上、みんなが見ているから、適当には捨てられない! 凄い。
なんで、バルセロナに出来ることがパリに出来ないのか、と小生は歯がゆかった(笑)。
でも、美観を大事にするパリではちょっと難しいのでしょうね。
大通りにゴミボックス、フランス人の美意識にはそぐわなかったのかも。

さて、ゴミの話ついでですけど、
バルセロナのゴミ収集現場を見ながらふと頭を過ったことわざがありました。
「臭い物に蓋をする」
生きていると思いがけずの失敗や醜聞あるいは都合の悪いことが身に降りかかってくることがありますね。
こういう時、一時しのぎの方法で隠したいと思うのが人情ですな。
根本的な問題を解決せずに、一時しのぎの手段として、人に知られないように蓋をするわけですから「臭い物には蓋」は決していい言葉じゃないわけです。
お茶を濁し、その場しのぎで取り繕うだけ。メッキはいつか剥がされます。
蓋をしてごまかしても、必ずバレます。泰然と構え、覚悟を持って臭い物と向き合うしかないわけです。
走り去った収集車を眺めながら、小生はそんな決意を持っておりました(笑)。

日本はどこもかしこもきれいですけど、バルセロナもきれいでしたよ。
自分で出したゴミは毎日、自分で捨てに行く。作業員さんや管理人さんに任せない。
自分が出したゴミを自分で責任持って捨てるからバルセロナは美しいのです。
バルセロナのゴミ収集システム、なかなか素晴らしい後始末だと思いました。はい。
 

人生は後始末 「臭い物には蓋」  

 
今日の後始末

「臭い物には蓋をせず、さっさと捨てちゃいましょう」