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人生は後始末 映画公開への長い道のり Posted on 2017/03/16 辻 仁成 作家 パリ

パリ7区にある80年の歴史を持つ映画館、ラ・パゴッドが閉館した。
東洋風な建造物が人目を引いた非常にユニークが映画館であった。
日本と同じでここフランスでも独立系映画は苦戦を強いられている。
日本でも独立系映画館の閉館のニュースが絶えない。
日本映画だけでも毎年1000本以上の映画が作られている。
けれども公開する場所は限られ、独立系の映画は作ったものの公開できないものも出てきた。
 

人生は後始末 映画公開への長い道のり

小生は1985年に制作した自主映画まで含めると、現在までに9本の映画を撮った。
そのすべてが独立系映画である。

いろいろな映画があっていいと思う。すべてが大手映画会社の大作である必要はない。
小さな作品の中にも名画はたくさんある。そういうものを届けられる映画監督を目指したい。
 

人生は後始末 映画公開への長い道のり

映画「TOKYOデシベル」は2015年に撮影が行われ、その後編集が続き、2017年の2月に最後の編集作業が行われた。規模の小さな映画だが、時間だけは湯水のようにあった。
満を持して、この5月にロードショー公開される。

小説は一人で完成させることができる。けれども、映画は大勢の人力を借りないと生み出せない。
映画製作で一番学んだことは人間との付き合い方であろう。
小生は映画の現場で自分の小ささや愚かさやうぬぼれ、未熟さを知った。
映画人の中にもつまらない連中はいるが、小生はラッキーなことにこころ優しい映画人にばかり巡り合うことが出来た。
 

人生は後始末 映画公開への長い道のり

辻組というが、毎回スタッフが異なっている。初期の辻組は経験豊かな映画界の強者たちで構成された。
一方、TOKYOデシベルの辻組は若手が主流で小生が一番年長であった。
35歳ではじめた映画監督業も22年の歳月が流れた。
映画監督で飯を食えているわけじゃないので職業映画人とはいえない。
でも、こと映画に限ってはそういう人のほうが多い。続けるには相当のしぶとさと根気が必要なのである。
そして、ここまで撮ってきた9本の映画は小生の歴史に他ならない。

いよいよ、映画「TOKYOデシベル」が船出する。
http://tokyodecibels.com/
銀幕に映写されるであろう、あの日の東京の光りに感謝が絶えない。
 

人生は後始末 映画公開への長い道のり

今日の後始末。

「諦めないで、それだけです」
 
 
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付録 < 辻仁成監督 Filmography >(但し、自主映画を除く)

1、『千年旅人』 SENNEN‐TABITO (1999) 主演:豊川悦司
第56回 ベネチア国際映画祭 批評家週間正式出品
2、『ほとけ』 HOTOKE(2001) 主演:武田真治
第3回、ドーヴィルアジア映画祭コンペティション正式出品
第51回 ベルリン国際映画祭パノラマセクション正式出品
第27回 シアトル国際映画祭 正式出品
3、『フィラメント』 Filament(2002) 主演:大沢たかお
第37回、カルロビバリ国際映画祭 コンペティション正式出品
Awarded the International Ecumenical Jury of the Christian Churches
4、TV映画『目下の恋人』 Mokka no koibito(2002) 主演:井川遥
5、『アカシア』 ACACIA(2009) 主演:アントニオ猪木
第22回、東京国際映画祭、コンペティション正式出品
6、『その後のふたり』 Paris Tokyo Paysage(2013) 主演:坂井真紀
パリ、キノタヨ映画祭、コンペティション正式出品
Awarded Prix de la meilleure image
7、『醒めながら見る夢』 The Undying Dream We Have(2014) 主演:堂珍嘉邦
第1回、シルクロード国際映画祭、中国、パノラマ部門正式出品
第16回、国際アジア映画祭、トウール、コンペティション正式出品

8、『TOKYOデシベル』 TOKYO DECIBELS (2017) 主演:松岡充
2017年、5月20日、ロードショー!

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