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人生は後始末「小説家になりたい人への三つの助言」 Posted on 2017/04/16 辻 仁成 作家 パリ

今年、小説が二作上梓されます。

ということですでに二冊分の原稿を書き終え、版元に渡しました。
しかも、夏には三冊目の執筆を開始します。この旺盛な創作欲、さぁ、どうなのでしょうね?
こんなに書いて、読者がついてきてくださるとは思えませんし、それほど小生の小説を待っている人がいるとも思いません。それでも小生は毎日、こつこつ、一年中、書き続けています。作家とはそういうものだと小生は考えます。
周囲の期待や批判などに関係なく、歯を磨くように、書くこと。書ける時に書くこと、書けなくても書くこと。
これに尽きます。

もし、あなたが小説家になりたいのであれば、
たいへん、差し出がましいようですが、三つの助言があります。
 

その1
まずは周囲の意見を(これも含め)気にせず、どんどん書いてください。
小説は誰かに習うものじゃない。読んで学ぶものです。いい本を朝から晩まで読んでいれば文学がわかるようになるし、一日中、人一倍、書いていればだれでも文章はうまくなります。
小説学校がダメとはいいませんが、型にはまる恐れあり。あなたにしか書けないテーマはあなたにしかわからない。
鬼のように書き続け、名のある新人賞に送り続けてください。自分の腕試しと、編集者探しに新人賞が最適なだけですが。新人賞をとったら、編集者にくらいついて、書き続けてください。

その2
信頼できる優秀な編集者を一人つかまえてください。
ここからは信頼した編集者の助言に耳を傾けてください。その人が「よくない」と指摘した箇所は悩んででも直してみましょう。我を押し通すことも大事ですけど、大家が成長しないのは、編集者の発言を受け付けなくなるからです。作家以前は周囲に囚われずひたすら書き続け、作家以降は編集者の助言にちょっと耳を傾け書き続けましょう。

その3
一冊や二冊は誰でも書けるので、うぬぼれないでください。
本当の評価は生きている間には出ないと思って書いてください。がむしゃらにやみくもに書き続けてください。
死ぬまで過去作を懐かしがったり、安易に振り返らないでください。仮に死んでも、次の一行を書くのだ、と思い続けてください。

以上です。
 

人生は後始末「小説家になりたい人への三つの助言」

今日の後始末。

「キーボードの文字盤が消えるまで書け」