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人生は後始末「フランス革命記念日」 Posted on 2017/07/23 辻 仁成 作家 パリ

 
ツイッターのDMに在日フランス大使館からパーティのお誘いが・・・。
7月14日はフランスの革命記念日、キャトルズジュイエでした。普段、この手のパーティには顔を出さないのですが、たまたまその日は予定がなく、息子も留学中、暇だったのです(笑)。
 

人生は後始末「フランス革命記念日」

 
思い返すと、17年前に同じパーティに招かれています。
フランスのフェミナ文学賞の受賞直後だったこともあって招待を受けたのですが、その時、小生の本をすでに読まれていたジョスパン首相とそこで初対面。
実はその時のやり取りが、フランスで暮らすことの大きなきっかけになるのです。
文学好きのジョスパンさんと片言の英語でお話をさせてもらいました。
面白いことに、当時、小生はまだフランス語を一言もしゃべることができなかったのです。そしてその時、一国の首相が文学について熱く語る姿に、小生はいたく感動を覚えたのです。さすが文化大国だな、と思いました。

「いつかフランスで暮らしてみたいです」と申し出ると、「それはいいアイデアですね」と戻って来たのです。

時が経ち、今年の祝賀会は千人もの人で溢れかえる盛況な催しとなりました。
日仏両国の経済、文化、政治の関係がうまくいってる証拠でしょう。
小生はちらっと顔を出しただけですが、文化参事官をはじめ、日仏を跨ぐさまざまな方々と知り合うことになるのです。皆さん口を揃えて、日仏の関係は今とっても重要だ、と言います。

温暖化問題をはじめ、トランプ政権と足並みがそろわない欧州はご存じのとおり。ロシア、中国の台頭する世界情勢の中で、日仏の役割はとっても重要になってきました。世界で最初に日本の素晴らしさを理解し紹介したのがフランスです。19世紀中頃、パリ万国博覧会の時代のジャポニズム運動にまで遡ります。
超大国ではありませんが、フランス人のキュレーション能力は偉大です。日本文化をいまだ世界で一番理解している国民はフランス人だと言えるでしょう。
 

人生は後始末「フランス革命記念日」

 
人生の4分の1もの長きにわたりフランスで生きてしまいました。まだもう少しフランスにいるつもりです。
振り返ると簡単な異国暮らしではありませんでした。文化の違い、考え方の違い、ビザ申請の労苦など、苦笑がこぼれてしまいます。憧れて渡ったフランスも実際そこで生活することは容易ではありませんでした。何もかも嫌いになったことは一度や二度じゃありません。
でも、今はフランスの素晴らしさを誰より理解できている一人と自負する次第です。
嫌なことが起きても、フランスのせいにはしなくなりました。それはだいたい個人の問題なのです。
どこで生きても一緒ですね。
「フランスかぶれ」じゃありません。嫌なところも全て経験した結果のフランス好き、と言えるでしょう。
大好きなフランスと日本を繋ぐことをこれからはやってみたいと思うのです。

どうして、フランスで生きているのだろう、と思うことはあります。
でも、理由はわからないですね。パリに居続けるのだから、何か意味があるのでしょう。
フランスで息子が生まれた時に、運命は動き出したのじゃないか、と思うのです。
 

人生は後始末「フランス革命記念日」

 
今日の後始末。

「両国のますますの信頼と発展に、乾杯しましょう。」