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愛を祝うバレンタインデー Posted on 2018/02/14 エベルソルト 真理 日仏翻訳・フランス語講師 パリ

初めてバレンタインデーを知ったのは、もちろん、まだ子供のころのこと。日本語を勉強するためにと両親が買い与えてくれた日本の小学生向けの雑誌を読んだ時だった。そもそもフランスで「バレンタインデー」は子供たちには関係のない行事。だからこそ、異性を意識し、態度や贈り物で好意を示す日本の小学生はずいぶんませているな、と子供ながら感心をしたものであった。
日本とフランスの「バレンタインデー」を比べつつ、両国の愛のカタチを紐解いてみたい。
 

「贈る側が、つくす側??」

バレンタインデー、日本では女性が男性にチョコレートを贈る。その習慣のはじまりは1950年代後半まで遡り、現在のバレンタイン商戦に至る。バレンタインデーは女性が男性に愛情を表明する機会とされ、それを ”チョコレート” が代弁する。当時、某製菓会社が恋い焦がれる女性たちに「チョコレートを贈る」という手段を「バレンタインデー」に重ねて提案したのがきっかけとなった。

ところがここフランスでは、チョコレートが  ”バラ” に代わる。そして、女性ではなく、男性が女性に贈る。2月14日の花屋では、売れる花の8割が ”バラ” で、一日で通常の一週間相当の売上を出す店もある。確かに、花束を贈るのはフランス人の習慣だ。知人の家に招待された時には、もてなしてくれるマダムへの無難な手土産となるし、特別な行事がなくても、男性はときどき恋人や奥さんに花束をプレゼントする。この様に、日本とフランスでは、バレンタインデーの中身がまるきり逆なのだ。

バレンタインデー、その習慣はお国柄を物語っている。つまり、日仏男女関係を覗くひとつの計りになるのではないか。当時、1950年代のことだろうが、日本の恋愛は「女性が尽すもの」、対してフランスでは「男性が尽すもの」ということだったのかもしれない。さて、今もそうかどうか、私にはわからないけれど。
 

愛を祝うバレンタインデー

<愛のメッセージが記されたレトロなカード>

 
「2人きりの行事、バレンタイン流逢引き」

義理堅い国 日本には、その名の通り「義理チョコ」なるものが存在する。フランスには、もちろん存在しない。日本の場合、バレンタインデーをきっかけにスタートする恋もあるのだろう。しかし、フランスではもともと恋人だった者同士だけの行事なのだ。プレゼントを贈り合うカップルもあれば、全く祝わないカップルもいる。「そんな商業作戦には乗らないよ」とかっこつける男女もいたり。
いづれにしても、フランスのバレンタインデーはカップルのお祝いなのだ。日々の生活で忘れてしまう愛情表現や感謝の気持ちを確かめ合う日。カップルとしての課題を出し合う日。時には切ないロマンチックな報告会の日となる。
バレンタインにおける日仏の恋愛観の差が面白い。
 

愛を祝うバレンタインデー

<クリスマスにも使うアドベントカレンダーのバレンタインデー版>

 
バレンタインは殉教者

ここフランスでは、バレンタインデーは聖バレンタインの日。キリスト教の国では今でも使われている聖人歴の2月14日に「バレンタイン」が記されている。その由来については諸説あるが、一説に<遥か昔のローマ時代、バレンタイン司祭は結婚が許されなかった者たちの婚姻を密かに行っていた。しかしその行動を知り怒った教皇は司祭を女性の結婚を守護する神、ユーノーの祝日であった2月14日に処刑した。その後バチカンがバレンタイン司祭は殉教したと判断し、司祭に聖人の地位を与え、その処刑日を聖バレンタインの日と決めた>とある。

事実はどうであれ、2月14日は愛を祝う日なのだ! 
細かいことは曖昧なままでもいい。肝心なのは「恋愛」というものが万国共通であること。人類を残すための本能は、繊細な感性を持つ人間によってセンチメンタルに綴られて、ロマンスと化した。
チョコレートでもお花でもいい。何もなくてもいいから大事な言葉や態度で気持ちを示すのがいいだろう。恥ずかしがらず、たまには「愛している」を伝えてみてはどうか。いや、それは余計なお世話だろうから、そっとしておこう。どちらの国でも愛は恋人たちのものだから。

愛を忘れないために愛を祝うのがよい。ハッピーバレンタインデー!!
 

愛を祝うバレンタインデー

<愛を伝える101本のバラ>

 
 

Posted by エベルソルト 真理

エベルソルト 真理

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Marie Ebersolt
日仏翻訳・フランス語講師
2012年よりピラミッド界隈の翻訳事務所・フランス語教室を拠点に活動中