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世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み Posted on 2018/02/02 まきの ななこ ライフスタイルキュレーター アムステルダム

オランダといえばチューリップ、チューリップといえばオランダというくらい、オランダとチューリップは切っても切れない関係にありますが、年間17億本(!)生産されるというチューリップの正式なシーズンは思いのほか短く、1月から4月くらいまでとされています。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

このチューリップシーズンの始まりを告げるのが、毎年1月、第3土曜日の”National Tulip Day”(チューリップの日)。オランダ中から集められたチューリップの庭園がアムステルダムの中心、ダム広場前に出現し、誰もがこのチューリップを摘み取ることができるというものです。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

1月のアムステルダムといえば、まだ春には程遠く寒さが厳しい季節ですが、この日ばかりは、開園の1時間前くらいから大勢の人々がダム広場を囲みます。並ぶのがちょっと苦手そうなおじいちゃんも、お花好きなおばあちゃんのために寒さをガマン。まだ人出が少ない時間に様々な栽培農家さんたちが、自分たちの育てたチューリップを大事そうに並べている姿を見るのが、私は好きです。

チューリップで世界中の家庭に春を届けたい。そんな想いで始まったイベントのようですが、実際にツンと澄みきった冬の空気の中で、ふんわりと漂うチューリップの匂いに包まれると、春が一歩近くなったような気がしてとても幸せな気持ちになります。

そんなオランダを代表する花、チューリップですが、実のところ起源はオスマン帝国からもたらされたもの。(チューリップという名前は、その形状が球根に似ていることから、トルコの人がよく頭に巻いているターバンに由来しているとも言われています)
折しも時代はオランダ黄金時代を迎えた17世紀。厳しい環境にも耐えうる球根の生命力とその鮮烈な色彩が人気を博し、チューリップは瞬く間にステイタスシンボルに、そしてオランダ東インド会社の貿易の中心にのぼりつめました。

ピーク時には、一つの球根が一つの家が買えるほど(!)の価格で取引をされていたというから驚きです。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

長い歴史と栽培家さんの情熱の結果、今では本当にこれがチューリップか!? と疑いたくなるような(笑)ものまで、本当にたくさんの種類が楽しめるようになったチューリップ。3月にはキューケンホフ公園も開園し、4月、5月にはまさに百花繚乱な風景が楽しめます。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

チューリップに限らずオランダの人たちは日常的に”花”のある生活をとても上手に楽しんでいます。同じお花でも花器を変えることで違った雰囲気を演出したり、花だけでなく球根にもリボンをつけて飾りつけしてみたり。各家庭で独創的なフラワーアレンジメントに出会えることが多々あります。

輸出大国であるオランダの中でもとりわけ重要な地位をしめるお花たち。そういえば、著者がロシアで結婚式を挙げた際も、お花はすべてオランダから取り寄せていました。チューリップは美しいだけでなくオランダ経済の担い手としてしっかり活躍している優等生のようです。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

正直なところオランダにはそんなに華やかな魅力や時代の最先端を行くような潮流はなく、どちらかといえば素朴な朴訥とした雰囲気が魅力な国です。それでも毎日のように目にするチューリップにあらためて注目してみると、その歴史的背景や起源に思いがけない発見などがあり、より深くオランダの文化を知るきっかけとなったりします。少し大袈裟かもしれませんが、人生を味わい深いものにするのは、そんなちょっとした好奇心や探究心の積み重ねなのかなと思うことが多い今日この頃です。

まだまだ本格的な春の訪れには遠いようですが、間違いなく日ごとに日は長くなり、吹く風には柔らかさが増しています。私は寒いのが大の苦手なのですが、毎日の中に少しずつ多くなる”春”を見つけてはウキウキしています。

海外で生活していると、四季があることがどんなに贅沢なものかを実感させられることがあります。
日本の皆さんにも素敵な春が訪れますように。オランダよりチューリップに願いをこめて。
 

世界中に春を! アムステルダム、王宮前でチューリップ摘み

 
 

Posted by まきの ななこ

まきの ななこ

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Nanako Makino
ライフスタイルキュレーター。シカゴ、東京、モスクワ、ロンドン、、、一期一会に生かされて。新しいホテルやブランドなどの立ち上げに携わりながら様々な都市を巡り、2014年よりアムステルダム在住。オランダ語見習い中。放浪癖あり。