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60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる Posted on 2017/05/11 清水 玲奈 執筆家・翻訳家 ロンドン

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

寿命が伸び続けている今日。先進国では近い将来、100歳まで生きる人も珍しくなくなります。
一方、年金制度は崩壊し、60歳定年は過去の話に。

そんな中、長い人生を幸せに全うする方法を研究しているのが、名門ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン先生です。同校のアンドリュー・スコット教授との共著に『The 100 Year Life』(邦題は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)-100年時代の人生戦略』)があります。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

本によれば、私の世代が死ぬまで人間的な生活を送るには、80歳すぎまで働かなくてはなりません。
私の親たちの人生は「学習・勤労・老後」という3段階で形成されていましたが、これからは、「マルチステージ」、つまり複数の段階で構成される人生を歩むことが求められます。
一生を通じて好きなことや自分らしい仕事を探求し、人工知能やロボットに職を奪われないよう創造性やコラボレーションの技術を磨きながら、常にその時々にふさわしい活動内容をフレキシブルに渡っていくのです。
楽しそうだけれどリスクも多そう。

そんなマルチステージの人生を成功させるための秘訣をリンダ先生に尋ねようと、エル・ジャポン誌のお仕事特集の取材で、ロンドン・ビジネススクールの研究室にお話を伺いに行きました。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

先生は62歳。抽象柄の白いドレスを着こなし、笑顔を絶やさず、メモを取りながらきびきび話す様子は、年齢に磨かれた魅力に満ちています。

先生の議論に説得力があるのは、ご自身が見事にマルチステージの人生を実践中だから。
20代で就職するとスピード昇進を果たし、そのかたわら結婚、出産。給料が激減するのに30代初めでロンドン・ビジネススクールに転職。
現在は教職のかたわら、会社社長として、また執筆や講演でも活躍しています。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

「以前は自分のことはあまり話さなかったけれど、下の世代にお手本を示すことの大切さに気付いて、積極的に話すようになった」と語るリンダ先生。

私生活ではシングルマザーとして息子たちを寄宿学校に入れて仕事に励んできましたが、外科医になった長男をはじめ、ふたりとも立派に成人。最近の先生は、研究資料として医学的データを見るうち、長い人生を幸せに生きるには健康管理が重要と認識してダイエットに成功、今年6月には結婚を予定していて、かっこいいフィアンセとアフリカ旅行で撮ったというツーショット写真を見せてくれました。
また、50年来続く女友達との友情を大切にし、2か月に1度は「女子会」を開いているそうです。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

インタビュー当日、撮影を担当したのはスイス人フォトグラファーのフレデリック。オクスフォード大学卒で完璧に日本語ができる秀才です。
リンダ先生に「写真を撮るようになったきっかけは」と聞かれて、彼はこう説明しました。
「離婚して落ち込んでいた母に自信をつけてもらおうと、好きなファッションに身を包んだ写真を撮ってあげました。それで、きれいな写真を撮ってあげることで、どんなに人を幸せにできるかに気付いたんです。母は今では好きなデザインを仕事にしています」。
リンダ先生は「それは素敵。お母さんに本をプレゼントするわ」と言い、手元にあった著書に「すばらしい息子さんにお会いできてうれしかったです」とさっと書いて手渡しました。

そこで私も、手持ちの本を差し出してサインをもらいました。さらに「かつての先生のように私もシングルマザーなのですが、アドバイスをいただけますか」と伺うと、「罪悪感を持たないこと。必要十分であればよいと考えて、その時の最善を尽くすこと」と、まっすぐ私の目を見て言われました。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

今のリンダ先生の年齢に私が到達するのは2035年。
ちょうど20歳になる娘のお手本になれるよう、知的で美しく幸せな60代になっていたいもの。

さらに素敵な婚約者がいたら最高ですが、まだまだ続く人生、結婚はさらに先のお楽しみにとっておくのもよさそうです。
 

60代で結婚、80代でも現役で働き、100歳まで幸せに生きる

Posted by 清水 玲奈

清水 玲奈

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Reina Shimizu
執筆家・翻訳家。東京大学大学院総合文化研究科修了(表象文化論)。著書に『世界の美しい本屋さん』など。ウェブサイトDOTPLACEで「英国書店探訪」を連載中。