PANORAMA STORIES

ぼく、きみ、みんなの居場所って? Posted on 2017/10/22 七種 諭 写真家 パリ

「久しぶりっ!」
と言って、辻氏は多くの友達と一緒にオープニングに来てくれた。

今回の展覧会は17番地のGALERIE DA-ENDと19番地のGalerie 2ArtAngelsの2つのギャラリーで行われている。何を隠そう、Saikusa SatoshiのNo-Zarashi展とWhite Devils展。

事の始まりは隣のギャラリーのAnne Sophieが僕の作品をアートフェアーで見て、「面白い! 作品たくさんあるの? うちで個展やらない?」という言葉をかけてくれた事だ。

ええっ、隣のギャラリーで? と躊躇しながらも、ちょうどその頃スイスのギャラリーから声をかけてもらって進めていた個展の企画がこじれ、ネゴシエーションの段階で頓挫してしまっていた。
少し考え、パートナーでありワイフでもあるQuynhとも相談して、ギャラリーの思考は違うけども、ありがたい話ではないか!? ということで承諾することにした。
 

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

だけどDA-ENDでその話をすると、アシスタントのFannyが、
「ありえない! SatoshiはDA-ENDのアーティストでグループ展の時は作品出してるけど、個展をパリでやるのであればやはりDA-ENDが最初じゃないと筋が通らないでしょう!?」

____「それはごもっとも!」という事になり、それまで進めていたスケジュールを調整して2つの会場で展覧会をすることになった。

2ArtAngelsではセレブリティとモードのヴィンテージプリントを展示。
セレブリティの作品は、出会った時の印象を掘り起こして手を加えた作品を並べ、ヴィンテージプリントは、リタッチの施されていないままのものや個人的にはプッシュしたけど雑誌の傾向にあわずに日の目を見ないままアーカイブに眠っていた不運な作品を並べた。
 

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

DA-ENDではプライベートな作品。
2016から2017をベースにした、コラージュ、セラミック、アッソンブラージュ、立体の作品、ビデオ作品を展示している。
 

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

僕の作品のコレクターやギャラリー、他の顔見知りのアーテイスト達、またはポートレート、モード写真家として多少でも僕の作品を知る人達も多く訪れてくれた。(ありがたい事です。感謝!)


興味深いのは、DA-ENDの展示において僕の過去の作品を知る人が、「これ、全部、Satoshiの作品?……?」という反応。

____「はい、ぼくの個展ですから、これ全部ぼくの作品です……!」


他者は自分のことをどのように観て、理解するのだろう?
自分はどのように観られたい?
自分の立ってる場所ってどうやって決まるのかな?
自分の居場所って自分だけではで決めれないのかも?

ポートレートを撮る場合によく考え、迷うのは、被写体についてリサーチを良くしておくべきか? それとも情報に影響されないでダイレクトにぶつかってその場においてのセッションにおける関係を大切にすべきか。ということ。
それらの情報、または環境によって僕にとって被写体の印象がまず変わる可能性がある…… ということは、勿論撮影されたイメージにはぼくの心の持ち様が投影される可能性が大きいのです。

他者、家族、もの、コミュニティ、社会、経済、ナショナリティー、政治、国、世界、自然……
自己と他者という大きい課題、身近なことから始まるいろんなものとの関係。
その関係で成り立つ自分は、どのように居場所を作っていくのでしょうかね?

誰かご指導ください!


PS. 展覧会は11月11日までです。11月の頭にカタログのお披露目します、是非いらしてください。
 

ぼく、きみ、みんなの居場所って?

NO-ZARASHI
2017年9月22日(金)〜11月11日(土)
GALERIE DA-END
17,rue Guénégaud Paris 75006
 
White Devils
2017年9月22日(金)〜11月11日(土)
2ArtAngels
19,rue Guénégard Paris 75006
 

Posted by 七種 諭

七種 諭

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Satoshi Saikusa
写真家。1984年に渡仏して現在に至るまでVogue Paris,Numero,i-D,Flair,Harper’s Bazaar UK、10、GQといった最先端のファッション雑誌とコラボレーションを続ける。数々の有名メゾンの広告撮影に携わり、コマーシャルフィルムも多く手掛ける。ポートレートでは、Monica Bellucci,Angelina Jolie,Sofia Coppola,Vanessa Paradisをクライアント・リストにもち、アーティストやセレブリティーの間でも評価が高い。アートの活動として2010年にSt Germain des Présに本格的なヴンダーカンマー(驚異の部屋)のギャラリーDa-endをオープン。自ら作家としてVanite,Curiosaシリーズを創作する傍ら、ギャラリストとしてアートフェアに出展、2014年にはUNDERCOVERとのコラボレーションで限定エディション作品を製作、2016年に成山画廊にて個展を開催など活動は多岐にわたる。