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「不満に負けず、満足に甘んじず」 Posted on 2018/02/04 岡崎 慎司 プロサッカー選手 英国・レスター

選手にとって、不満が出る時とはどんな時だと思う? 試合に出られない時、点が取れない時、チャンスがない時、理不尽な扱いを受けた時、選手であるならば誰もが不満を持つ。僕もそういう不満と戦ってきた。
「べつに、毎日、サッカーやれてりゃいいじゃない」
なんて能天気なこと口にしてるやつにプロは務まらない。そんな甘い世界じゃない。
じゃあ、プロ選手にとって、不満はなぜ起きる? 何がいったい不満の原因だと思う? 自問自答することがある。しょっちゅう、選手生活の中で、何が不満なんだって問いかけてきた。


個人的な見解だけど、過剰な自信、あるいはその自信のせいで、周りに「自分への期待」を求めてしまうことがあって、それが不満を爆発させる引き金になることがあるんだ。
自分自身が周りに求める期待と、周りが自分に求める期待との間にギャップを感じた時、選手という存在は不満を覚えるのじゃないかな。
「俺をこう使ってくれればもっと出来るし、もっと成長できるんだけどな」
こんな風に考えるやつ、自信を持たないやつなんかいるのかな? 誰だって選手ならこう思う瞬間がある。悔しくて、奥歯を噛み締める瞬間がある。
いくら周囲が選手に満足していたとしても、なんていうのかな、みんなが「お前にはもっとこうなってほしい」っていう強い期待を抱いてくれないと、変な話、不満が出るものなんだよ。いくら自分の調子が上向いている時であっても、周りの期待感というものを選手は気にするし、欲するんだ。この気持ち、うまく説明できないけど、「もっと期待してくれよ!」と、僕なんかは心の中で叫んでいたりする。


僕自身のことでいえばレスターでのこの2年間、あるいは、ここ最近の日本代表は、そんな期待と不満の押し問答の渦の中にいたんじゃないか、と思う。
だから僕は、今シーズン一切の期待を持たずにスタートした。ただ密かに、自分にだけ期待しつつ、このレスターというチームでの立ち位置、日本代表での立ち位置をしっかり理解した上で、自分のプレーのみに集中するよう努力してきたと言ってもいい。それはつまり周りには期待せずに、ってこと。


それがよかったかどうかの結論はまだ出てないけれど、すくなくとも、気持ちの切り替えは出来ている。人に期待しないで、周囲の期待を求めずに、やれるところまでやってやる、という意志。
ただ、「期待を抱かない」という戦い方が自分にとっていいことなのか、そうじゃないのか、悩むこともある。だって自信や期待を求める事はサッカー選手として当然のことだし、それがなければ最初に言った通りサッカー選手としては終わってるということになるじゃないか。
誰にも負けたくない強い気持ち、俺ならもっとやれる、という気持ちが競争の中で必要になるんだ。想像してほしい。不満を持ちながらのプレーはいつか選手のモチベーションを崩壊させるんだよ。そもそも、何のためにサッカーやってるのか分からなくなる。こうなれば本末転倒ってことになる。不満と期待、そして自信と満足のはざまで僕らは戦ってるんだ。この押し問答の中にこそプロの選手たちは存在している。


「期待するのは自分にだけ。周りには求めない」
当然の事なのにいつも失敗して、ふと気がつく。
よく考えたらおかしなことなんだよな。周りに自分の成長を期待してもらおうだなんて! この明らかな矛盾の中に選手はいる。いや、すくなくとも僕はいた。そして、自分で自分の存在理由を証明する以外にやれることはない、と気が付くこともできた。


今、自分にできることだけを見つめている。今シーズン終わりまでに二桁、チームが良い順位で終わるように、ただ、コツコツ頑張りたい。これは希望じゃないし、期待じゃない。僕は自分を信じている。信じるということが今は僕自身の一つの答えでもある。
 

「不満に負けず、満足に甘んじず」

Posted by 岡崎 慎司

岡崎 慎司

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Shinji Okazaki
プロサッカー選手。1986年4月16日、兵庫県宝塚市生まれ。滝川第二高校を経て2005年、Jリーグ清水エスパルスに入団。チームの中心選手として活躍する。2011年ドイツ・ブンデスリーガのVfBシュツットガルトへ移籍。2013年マインツでプレー後、2015年イングランド・プレミアリーグのレスター・シティに移籍。レスターがプレミアリーグ初優勝。現在もプレー中。日本代表。ポジションはFW。