WORLD FOOD STORIES

q.b.レシピのないレシピ帳 ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~ Posted on 2017/12/19 八重樫 圭輔 シェフ イタリア・イスキア

12月8日、イタリアでは重要なカトリックの祝日 ”無原罪の御宿りの日“ です。
聖母マリアをその母アンナが身籠った日とされ、この日を皮切りに本格的なクリスマスシーズンが始まるのです。
クリスマスツリーやプレゼーピオと呼ばれるキリスト生誕の場面を再現したジオラマが飾られ、それは1月6日の公現祭(東方三博士がキリストのもとを訪れて祝福した日)まで続きます。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

寂しい冬の街角にもイルミネーションが灯ってにわかに活気づきますが、クリスマスシーズンの訪れを告げるのはなんといってもザンポーニャの音。
ザンポーニャとは羊の皮と数本のパイプでできた楽器で、バグパイプと似たような音がします。ザンポーニャ奏者はザンポニャーリと呼ばれ、イタリア中部の山岳地帯からこの時期やってきて小路から小路、家から家へと伝統的なクリスマスの曲を演奏して回るのです。

独特の衣装に身を包んだ彼らは大抵二人組で(もう一人はチャラメッラという縦笛を吹きます)、主に12月8日と12月25日前の二度、約一週間にわたりその音色を響かせます。どこからともなく流れるザンポーニャの調べに季節を知ることができるのも、伝統を重んじるイスキアならではと言えるでしょう。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

わが町フォリオのクリスマスイブはとてもユニークです。
イブの早朝6時に教会で大きなミサが行われ、その後、宗教行列が街を練り歩き花火が上がります。広場に火がたかれ、温かい食べ物がふるまわれ、魚屋の屋台が並び、あいさつを交わす人々の声が溢れる時、町は一年で一番の賑わいを見せるのです。

僕が働くレストランでも24日の早朝は、赤ワインとインゲン豆のパスタ、クリスマスのお菓子をミサ帰りの人々に無料で振る舞うのが恒例となっています。
前日も普段通り営業しているため、この日の睡眠はほんのわずか。眠い目をこすりながらまだ暗い町をすり抜けると、何とか無事に終わりつつある一年が思い出され、感慨深くなるものです。
ただし、その日の夜から3日間は休業。クリスマスは家族で、という風習が強いため、かき入れ時に思えるこの日でも殆どの店が閉まります。また、日付が25日に変わる深夜零時にもミサやコンサートが開かれ、大勢の人が教会を訪れます。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

食事は24日が魚料理、25日が肉料理を食べるのが伝統的で、ここはマンマたちの腕の見せ所。
そしてプレゼントを開けたり、トランプやゲームをしたり、テレビを見たり散歩に繰り出したりしてゆったりと過ごす、静かな島のクリスマス。
シーズンオフのイスキア島のこうした一面こそ、島の本当の魅力の一つなのかも知れません。

さて今回は、クリスマスや年末年始などの食卓に何かもう一品欲しいという時に便利な、
簡単で見栄えのする一品をご紹介したいと思います。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

サーモンとポテトの前菜

                  ~材料~(4~5人前)

★サーモンの切り身(無塩) 約400グラム 
★岩塩&グラニュー糖 各100グラム
★粒黒胡椒&唐辛子 q.b.(適量) ★オレンジ&レモンの皮をすりおろしたもの q.b.
★ポテト 中4個 ★オリーブオイル q.b.  

   
※岩塩と砂糖の量はサーモンの大きさによって変わってきますが ”サーモンを覆えるだけの量”があればいいので大体で大丈夫です。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

~作り方~

①岩塩とグラニュー糖、レモンとオレンジの皮、粒胡椒と唐辛子を手でよくすり合わせ容器の底に少ししきます。

②その上に皮と小骨を取ったサーモンを置いて残りの岩塩と砂糖で覆い、
ラップをかけて冷蔵庫で休ませます。
時間が経つにつれ水分が出てきてサーモンの表面があめ色に変わります。
部位や大きさにより時間は異なりますが、一晩~三日で漬け上がります。
中心部まで色が変わったら出来上がりのサインです。
頃合いを見てお好みの感じになったら上げてください。スマークサーモンに似た食感です。

③サーモンを流水でサッと洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭きます。皮があった部分は色合いが悪くなるので薄くそぎ取りましょう。
ポテトは茹でて輪切りにし、軽くオリーブオイルとレモン汁、塩で下味をつけます。
薄切りにしたサーモンとあえて、オリーブオイルとレモン汁をかけて出来上がり!
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

ルーコラやベビーリーフ、サラダ菜などを散らしたり、茹でたムール貝やアサリを添えたりして一工夫加えるとぐっと華やかになりますよ。
今回は下にエンダイブをしいて、ほんの少しだけ茹でイカを加えてみました。
その他にもお好みのハーブを加えたりして、アレンジを楽しんでみてください。

年末年始にかけて、家にお客様をお迎えする機会も増えるかもしれません。
このサーモンは切った後、オイルに漬けておけば冷蔵庫で数日持つので、あらかじめ作っておけて便利です。
その他、パスタなどにも使えるのでぜひ覚えておいてくださいね。 
ゆくゆくご紹介してゆきたいと思います。

※タイトルのq.b.とは適量を意味するイタリア語 quanto basta(クアント バスタ) の略です。細かいことは気にせず臨機応変に、あなた次第のレシピにして頂けたら、という思いを込めて。
 

q.b.レシピのないレシピ帳  ~ザンポニャーリが運ぶクリスマス~

 
 

posted by 八重樫 圭輔

八重樫 圭輔

▷記事一覧

Keisuke Yaegashi
シェフ。函館市生まれ。大学在学中に料理人になることを決め、2000年に渡伊。現在は家族とともにイスキア島に在住。