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オランダが誇る至極のゴーダチーズ Posted on 2018/01/27 久田 早苗 チーズ熟成士 パリ

今月は皆さまにも馴染み深い「ゴーダチーズ」をご紹介します。
最近では誰もが好きなチーズの筆頭にフランス産のハードタイプ「コンテ」の名があがるようになりましたが、早い時期から日本人に好まれ、食べ継がれているオランダ産のゴーダチーズの存在を無視することは出来ません。

ゴーダチーズはオランダのゴーダ村で作られたことからこの名前が付けられました。
生産量はオランダチーズの60%を占め、一般的に製造後、最低3ヶ月の熟成を経て市場にお目見えします。
日本への輸出量も多く、加工してプロセスチーズにする際の原料として、また、熱によく溶ける事から、ピザやグラタンなどお料理にも向いています。
3ヶ月から6ヶ月熟成の状態は、組織も柔らかく、乳酸菌の優しい酸味と甘さが際立った日本人好みの味。生産は多くが大工場製によるもので、その規模は圧巻。イタリアのパルメジャーノの熟成庫に負けず劣らずの数が並びます。
 

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

熟成度が増していくと、組織はだんだんと硬くなってきますが、その分アミノ酸の旨味成分が増して、なんとも言えないゴーダ独特の美味しさを醸し出します。
1年熟成から、2年、3年、ホロホロとした組織と比例するようにその美味しさは独特なものへと変化していきます。

今回は、私の大好きな、甲乙つけがたい至極のゴーダチーズ3点をご紹介します。
ともに農家製で、無殺菌乳で作られた物なので価格的にも贅沢品になってしまいますが、この美味しさはどなたにも納得して頂けると思っています。

先ずは「ゴーダメイ」と名付けられた、こだわりのゴーダ。
製造は5月のみ。名前の如く、5月に生える一番草だけを食べた牛から作るゴーダチーズです。5月は干草から自然草に切り替わる時期にあたり、自然草が牛の体内に入ると水分、栄養、カロチンなどが微妙に変化していきます。そんな構造を利用して、優しさ溢れた味わいのチーズが誕生するのです。

市場に出回るのは、規定の3ヶ月から更に50日待った9月末。春に仕込まれ秋に旬のものとして私達に届けられますが、数に限りがあるため、楽しめるのはほんの僅かな期間です。
味わった方は、今までになかったゴーダの美味しさにきっと感動してくださると思います。
 

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

次に「ゴーダトリュフ」。
ゴーダの中にたっぷりとトリュフを混ぜ込んだものです。チーズとトリュフがマリアージュされながら10ヶ月以上熟成されたもの。香りと味のバランスが良く、贅沢過ぎる逸品です。
そのままテーブルチーズとしては勿論ですが、お料理の隠し味に使うとグレードアップ! 味も、演出も効果抜群で、クリスマス、お正月の豪華な演出にも最適です。
パリ店では、日本へのお土産品としてよくお求め頂いている特別なゴーダです。
 

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

最後は「トム・オ・サフラン」。
オランダで作られ、ロワールの自然洞窟の中で育てられたゴーダです。サフランが入っているため、見た目にも美味しそうなオレンジ色の組織をしています。
通常のゴーダは、外皮にパラフィンやワックスが施されていますが、さすがはフランス育ち。艶を帯びた茶色の自然外皮で仕上がっています。
チーズは自然界の植物などと合わせるといい熟成を施せると言われますが、サフランがその作用をするのでしょうか、調和のとれた味と旨味を引き出してくれました。
微かに感じるカラスミのような味わい、ほどよい塩味、あとに残る長い余韻……。ホクホクとした食感はおつまみチーズとして最高です。
 

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

ゴーダチーズは「乳」と「凝乳酵素」だけで作られた自然食品です。
カビの作用では無く、乳酸菌とタンパク質がアミノ酸に変化するだけで形成されるチーズ。だからこそ、素直な美味しさが醸し出せるのです。
美味しいチーズに出会えると笑顔になります。必ず笑顔になれる「ゴーダチーズ」を是非召し上がってくださいね。

☆ チーズ豆知識 ☆

オランダは早くからゴーダやエダムなどのチーズ作りが盛んで、チーズを作る道具が花嫁さんの嫁入り道具として欠かせられないものだったほど。
夏季には毎週木曜日にアルクマール村で開かれる有名なチーズ市があります。そこでは、天秤を使う昔ながらの方法でのチーズ量り売りショーが見学出来るとあり、観光客の人気を集めています。
 

オランダが誇る至極のゴーダチーズ

<オランダのチーズ屋さんに並ぶゴーダチーズ!>

 
 

posted by 久田 早苗

久田 早苗

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Sanae Hisada
チーズ熟成士 株式会社 久田 取締役 副社長。1985年、東京立川市にチーズ専門小売店「チーズ王国」1号店を開店。2004年にはパリ16区に「Fromagerie HISADA」、2010年にはパリ1区に熟成チーズの販売とチーズカフェを併設したSalon du Fromage HISADAをオープンする。2008年、日本人で初めてのチーズ熟成士最高位の称号「Maitre Fromager」を受勲。2013年にはフランス共和国農事功労賞シュヴァリエ勲位、2015 年にはフランス共和国農事功労賞オフィシエ勲位を綬章。