WORLD FOOD STORIES

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ Posted on 2018/03/01 久田 早苗 チーズ熟成士 パリ

今月ご紹介するチーズは、世界中の人気者「カマンベール」です。
小さくて丸い白カビチーズは世界的に「カマンベール」として知られていますが、本家本元、正式名称は「カマンベール・ド・ノルマンディ」。フランスの北西部カマンベール地方で作られたAOPチーズ(*)です。

日本でチーズを販売する際、お客様の好みを探るために「お好きなのはどんなチーズですか?」とお伺いするのですが、カマンベールが好き、とお答えいただくと正直なところ悩んでしまいます。
一般的に表現されるカマンベールのお味は、”マイルド、クリーミィ。癖がなくミルクがそのままチーズになったような食べやすいチーズ” ではないでしょうか。だけど、それは世界の至るところで作られている「カマンベールタイプ」のこと。クリームを添加したアイスクリームのように濃厚で食べやすい「カマンベール”タイプ”」は日本でもよく見かけられます。
 

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ

無殺菌乳で作られた本家本元のカマンベール・ド・ノルマンディはまるっきり味が異なります。カマンベール・ド・ノルマンディとカマンベールタイプの一番大きな違いは「香り」。
生乳で作られると様々な微生菌が含まれ、熟成度によって味も濃厚になり、香りも独特なものへと変化します。食べ慣れてくるとその香りはカマンベールになくてはならないものになってくるはずです。
特徴的な香りと濃厚な味ですので、目をつぶって召し上がってもカマンベール・ド・ノルマンディだと分かるでしょう。
土地の特色、そこで生息する動物、ミルクの違いが「テロワール(生育環境)」という言葉で表現されます。その違いが、地域限定で作られるチーズの個性となって現れるのです。
 

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ

<作りたてのカマンベール・ド・ノルマンディはふわふわのカビに覆われ真っ白>

 

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ

<味を引き出し組織が柔らかくなるに従い外皮は白から段々と茶色く変化していきます>

 
りんごの木に囲まれた放牧地の家並みは石と板で作られた壁を持つ ”コロンバージュ” と呼ばれる独特な造りをしています。雨も多く、潮風通る高温多湿のため、年間を通して穏やかな気候。緑色のなだらかな放牧地には常に牛が群れており、良質のミネラル豊富な草を食べたその牛たちのミルクがカマンベール・ド・ノルマンディの原料となります。

本家本元のカマンベール・ド・ノルマンディを召し上がって、ノルマンディーの穏やかな風景を同時に感じてくださいね。
 

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ

☆ チーズ豆知識 ☆

カマンベールチーズは250gの大きさで、木箱入り。チーズ自身が木箱の中で熟成してくれます。冷蔵庫の野菜室で箱を逆さにして待ってみてください。ほんのり沢庵のような香りがし出したら食べごろです。

カットの部分を見て全体に同じ組織になっていたら食べ頃と言われていますが、芯が残っていてもまた違った味わいで美味しいものです。
赤ワインとの相性が非常によく、完熟はタンニンの効いたコクのあるワインにピッタリです。

*AOPとは
EU統一の保護原産地呼称(=Appelation d’Origine Protege)の略称で、酪農製品、農産製品を対象に指定された地域、製法で生産され、最終的な品質評価にて特定の条件を満たされたものに対してのみ付与される、品質保証。
 

世界で人気ナンバーワン、本家本元カマンベール・ド・ノルマンディ

基本的にはバゲットが非常によく合いますが、時にはパンドエピスの上にたっぷりカットを乗せて召し上がれ!

 

 
 

posted by 久田 早苗

久田 早苗

▷記事一覧

Sanae Hisada
チーズ熟成士 株式会社 久田 取締役 副社長。1985年、東京立川市にチーズ専門小売店「チーズ王国」1号店を開店。2004年にはパリ16区に「Fromagerie HISADA」、2010年にはパリ1区に熟成チーズの販売とチーズカフェを併設したSalon du Fromage HISADAをオープンする。2008年、日本人で初めてのチーズ熟成士最高位の称号「Maitre Fromager」を受勲。2013年にはフランス共和国農事功労賞シュヴァリエ勲位、2015 年にはフランス共和国農事功労賞オフィシエ勲位を綬章。