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父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」 Posted on 2024/02/28 辻 仁成 作家 パリ

東京にて、初個展初日ですが、それはさておき、笑・・・
キッシュロレーヌが食べたい!!!!

ということで、話はいきなりかわりますが、
キッシュ・ロレーヌ、フランスの子供たち、大好きなんです。
というか、作ったら、絶対に子供受けしますよ。みんな大好きです。
うちの子も、本当に好きで、でも、
不思議なのは、卵はあまり好きじゃないくせに、日本の卵焼きとフランスのキッシュ・ロレーヌだけはよく食べてくれたものです。
父ちゃんと二人暮らしをするようになった10歳の頃、「キッシュが食べたい」とよくせがまれました。
ぼくはキッシュ作りの名人ではなかったけれど、工夫していろいろと作ることになりました。
辻家ではキッシュと言えば、父ちゃんの味だったのです。
イタリアだったら、ピザでしょうね。
日本だったら、お好み焼き、かなァ。
あはは。

そして、フランスといえばキッシュなので、
つまり、キッシュというのは家庭の数だけ味が存在する自由な料理でもあるので、
さらに、焼きあがるまでの間に室内に広がる香りと温かみがまさにキッシュを作る醍醐味であって、
もっと言えば、息子がキッシュ食べたいなという時はだいたい、どこか物寂しさを埋めたい時だったから、二人でオーブンの中でじわっと膨らんでいくキッシュ・ロレーヌを眺めながら、同時に、欠落した心を膨らませたものでした。はい。笑。
いいですね、家庭の味なんですよ。
暖かい気持ちになります。
この季節にぴったりですね。

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」



父ちゃんが作るキッシュ・ロレーヌは実にシンプルなものです。
薄目で、カリカリ、ビールのおつまみにもあいます。はーい。
気取らない、本当に家庭の味で、だから飽きないし、美味しいのです。
ロレーヌ地方はドイツに近いので、キッシュという料理はドイツの影響をもろに受けています。
見た目は大きな円形だから、ピザみたいなものかな、と最初は思いがちですが、ぜんぜん違って、どちらかというと元々はケーキのイメージで発想されて生まれた料理なのです。なんとなく、分かりますよね?
砂糖のかわりにサレ(塩味)な味わいのケーキだと思うとしっくりします。
だから、子供たちはキッシュが好きなのかもしれない。
パイ生地を使いますし、あのサクサク感がまた、たまらないのです。
パイ生地は日本でも売っていますから、作るのは、簡単!!!

息子君を野菜好きな少年に育てるのに、父ちゃんはキッシュを結構利用しました。
彼がほうれん草を食べられるようになるのはキッシュのおかげでした。
ほうれん草キッシュ、おいしいですよー。
父ちゃんはこのサクサクキッシュの中に、いろんな野菜を隠すようになるのです。
なんでも隠したけど、でも、やっぱり一番シンプルなキッシュ・ロレーヌが美味しいかなァ。
ロレーヌ地方で生まれた普通のキッシュ、これを日曜日の昼に焼いて、皿の上に載せ、よこにちょっと葉っぱを添えたりして、よく食べていましたっけ・・・。
辻家では、日曜日のランチの定番でした。
じゃあ、今日は、フランスの伝統料理、キッシュの作り方をお教えいたしましょう。
いいですかァ!!!!

まず、材料から、
☟☟☟
材料(直径21〜22cmのタルト型1台分)
<A>
卵            2個
卵黄           2個
生クリーム        150ml
牛乳           75ml
チーズ          30g
ナツメグ         少々
塩            小さじ1/3
胡椒           少々
〈その他の材料〉
ベーコン(ブロックの物) 150g
玉ねぎ          小1個
冷凍パイシート      150〜180gのもの1枚
仕上げ用 チーズ     適量

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」



オーブンはいつものように予熱しておかないとなりません。
今日はちょっと高め、200度で予熱しておきましょう。
次に、ベーコンは7〜8mmの棒状に、玉ねぎは薄切りに切っておいてください。
これらの材料〈Aの材料〉で卵液を作らなきゃならないのです。
ピカール(冷凍食材店)で買ったパイ生地を使います。便利だよね、昔は手作りだったけど、もうこの冷凍のパオシートが便利過ぎちゃって、笑。
パイシートをタルト型より一回り大きく伸ばし、上に載せるような感じで、敷くのですが、隅のところも空気を抜く用にしっかりとおさえ、型からはみ出た分は指でつまんでねじるように形成してくださいね。
このはみ出た部分をねじ込むのが大事なポイントになります。ここがオーブンで焼かれて、カリカリの耳タブになるのだから・・・ふふふ。

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」



敷き込んだ生地の全体にフォークで穴を開け、12〜15分軽く焼き色がつくまで空焼きをすします。もしも、途中で、底が膨らんでくるようなら、フォークでつぶしておきましょう。いいですね、これで準備完了となります。

フライパンを火にかけ、ベーコンは油をひかずに炒めます。
十分、オイリーだから油なんか必要ないのです。ベーコンから脂が出てきたら、そこに玉ねぎを加えてしんなりするまで炒め合わせてください。
いい香りがする。ほら、これこそ、昔の辻家のキッチンの香りなのです。
タルト生地にこの香ばしく焼きあがったベーコンと玉ねぎを満遍なく敷いて、そこへ、卵液を流し込みます。
最後に、仕上げ用のチーズをかけたら再び200度のオーブンで約20分表面に焼き色がつくまで焼けば、完成です。
あの、キッシュが膨らんで、こんがりとしていく時間が愛おしい。それこそ、生活の醍醐味というものなのです。

美味しくできたね、さぁ、ボナペティ!

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」

今日も読んでくれてありがとうございます。
個展が始まったので、なかなか、料理はできませんが、ちょっと古いレシピをリサイクルしてみました。風が強い日本ですから、(この時期)、ぜひ、やってみてくださいね。
さて、お知らせです。
・現在、個展開催中、3月5日まで。

●小説「十年後の恋」集英社文庫版、重版!
●小説「東京デシベル」がイタリア、Rizzoli社から刊行されました。
●3月3日、両国国技館、ギタージャンボリー出演。
●3月6日、ツジビル・ライブ(SOLD OUT)
●4月19日、ロンドン、ライブ。詳細はこちらから☟

https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

●6月28日、ボルドー・ライブ、予定。(詳細待って)
●6月30日、パリ・ライブ決定(詳細、待って)
●7月3日、リヨンでライブ。(詳細、お待ちー)

https://www.instagram.com/japan.stories?igsh=MTA2dWFjODdsZnNrZA%3D%3D&utm_source=qr
新しいデザインストーリーズのインスタも再始動! 
https://www.instagram.com/designstories_paris?igsh=cHlpdGFvdWkyYmdj&utm_source=qr
・それから、ぼくのなりすましが、ファイスブックで暗躍していて、問題が起きている、というので、皆さん、フェイスブック、ぼくのなりすましには、近づかないように、友だち申請とかしないでくださいね。要注意です。
以上です。

父ちゃんの料理教室「やっぱり、作りたい! かんたん、さくさく、キッシュ・ロレーヌ」

自分流×帝京大学