今朝の日記で宣言した通り、パリを出る計画のため情報を集め始めた。
やると言ったらとことんやる父ちゃんだ。
今夜あたり息子にもエクソダス計画について理解を得るため、話し合いをする予定だけど、とりあえず、ネットなどで情報を集め出した。
まずはどこら辺なら現実的に住めるのかなどの調査も、必要だからだ。
こういう次へ向かう作業って意外と楽しい。
現状を打破するのに、希望が役に立つ。←今ココ。

変異ウイルスが、フランスの８地域で発見されてしまった。
ほとんどが英国からの年末の帰国者たちからで、マルセイユで見つかり大騒ぎをしていた翌日に既にこのような状態、…。←今ココ。
予想を上回る速度で変異ウイルスは欧州で拡大を続けているということであろう。
メディアはこの状態を「エピデミー(感染症)の中のエピデミー」と言い始めた。
想像したくもないような、畳みかける最悪な世界の始まり、でなければいいが。
このペースで行けば週末にはフランス全土で変異ウイルスが発見されてしまう。
フランス政府はマルセイユなどの下水の調査を開始し、変異株ウイルスがどの程度市中感染をしているか、徹底調査を始めた。
そのニュースを見る限り、調査員が防護服をつけて、下水に降りて、採取し、研究所で分析をしているわけだが、あまりに地道な作業で、これがこれから全世界で行われるのか、と想像して目の前が暗くなった。←今ココ、なのである。

実はちょうど一年前、ぼくの友人の主治医が彼に語ったことを思い出した。
その医師は、まだ中国で最初の死者が出た時期に、「フランスでいずれ１０万人が死亡する。今すぐマスクを付けて行動をしないとならない」と言ったのだ。まだ、６万人超だけれど、１０万という数字はその枠内に入っている。イギリスでは８万人が命を落としている。
当時、フランス政府は「マスクなどつける必要がない」と頓珍漢なメッセージを国民に発信しており、現在、当時の首相が訴えられている最中。
友人の主治医はさらに「ワクチンの副作用は数年後に出ることもあるので、ぼくは慎重になっている」とメッセージを発している。
ぼくはこの人と直接知り合いではないけど、友人を介して伝わってくる話しから、毎回実に的確な今を見極められる医学的見地を持っており、出来る限り、彼の言葉には耳を傾けるようにしている。
フランス人にアンチ・ワクチンが多いのは、実は９０年代にワクチン(Ｂ型肝炎など)を接種した人の中から大きな副作用が出て社会問題になったことがあるからだ。
なので、欧州でワクチン接種が始まった当初、フランスは一週間で５００人という接種規模であった。
大統領が激怒して、ワクチンの接種を早める計画が後押しされ、昨日は一日で１３万８千人もの人が接種したのだけど、実は、そもそもフランスは出遅れていて、ワクチンの確保が間に合わず、勢いが出たのはいいが、ワクチンは二度打たないとならないこともあり、この先、ワクチン不足が深刻化し、暫く停滞するだろうとも言われている。
イスラエルはすでに国民の２割以上の人が接種を終えており、国民性の違いが鮮明となっている。←今ココ。

ワクチンが間に合わない現状、フランス政府がやるべきことは、感染者が再び増えつつある現状を止めないとならないのだけど、第三回目のロックダウンに政府は慎重だ。
ロックダウンの解除後、店舗の再開により市民生活に多少の光りがさしているからだ。
そこで、カステックス首相らが今協議しているのが、夜間外出禁止令(クーブルフー)の制限の強化である。
現在、２０時以降の外出が禁止されているのを、全土で１８時以降、外出禁止にするというもの。
これはフランス領ギアナで感染爆発をした時にとった政策(ギアナは１７時以降の外出制限)が大きな成果を出した事例からによる。
ロックダウンをやると経済が回らなくなるので、学校が終わる時間などにあわせての外出禁止令に踏み切ることを視野にフランス政府は調整に入っているものと思われる。
しかし、それでも学校は、つまり教育をこれ以上停滞させたくないようで、学校の閉鎖だけは断固やらない、と決めている。

しかし、これら、今囁かれている現状の政策や方針も、変異種感染拡大がもたらす影響の大きさによって、一瞬でひっくり返る危うさを孕んでいる。
３回目のロックダウンが本当に回避されるのか、ワクチンの確保がどこまで続くのか、学校は本当に閉鎖にならないのか、すべてはエピデミーの中のエピデミーの進行状況による、というところが、今、現時点での、ココ、なのである。
つねに、今ココ、の状態のフランスであり、世界なのだ。ぼくのエクソダス計画はこの不安定な世界の中の「今ココ」から抜け出すための、個人的な希望回復作戦になるのだろうか。