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息子のための料理教室「こだわれボンゴレ」 Posted on 2021/01/13 辻 仁成 作家 パリ

人間はポジティブでなきゃいけないって言うけどね、まぁ、その通りだ。でも、そうは言っても、そう簡単にポジティブになれるんならだれも苦労はしないわけだよ。人間というのはポジティブな時もあればネガティブな時もある。一生、ネガティブな人だって大勢いるんだ、分かるだろ? むしろ、ずっとポジティブな人よりも多いかもしれない。

ちょっと想像してみろ。ここに、グラスがあって、誰かがそこにジュースを注いでくれたとしよう、いいか、それはちょうど半分の量だった。それを見て、息子よ、君はどう思う? 「え?半分しか注いでくれないの」とがっかりするならば、君はネガティブな人間ということになるね。「え、嬉しいな。リンゴジュース大好物なんです」と量の多い少ないではなくそのことを喜べるならポジティブってことにならないかな? 

息子のための料理教室「こだわれボンゴレ」



パパ? パパは、それがもし好物のワインならば、ちょっとだけ不満かもしれないな。笑。もっと飲みたいと思うはずだ。飲んでもいないくせに…。でも、これも考えようで、実は、パパは、ネガティブな自分が嫌いじゃないんだよ。グラスに半分注がれたシャンパンを見て満足していたら、それ以上のシャンパンは手に入らないわけだから、不満や文句があるということを向上心と捉えるならネガティブであることも実はまんざら、悪いわけじゃない。わかるか? 面白いよね、人間の欲望の回路って。



人生は出来るかぎりポジティブで、でも時々ネガティブくらいがちょうどいいのかもしれない。一生ポジティブというのも疲れるからさ。ま、気楽にやりなさい。そういう話しからはじまったけど、さて、今日は君もパパもみんな大好きボンゴレスパゲティの作り方を教えてあげるよ。ただのボンゴレじゃない。最高に美味しいボンゴレの作り方なんだ。題して、「こだわれボンゴレ!」
笑。

息子のための料理教室「こだわれボンゴレ」



あさりはごしごしとまず貝をぶつけるようにして洗わなきゃならい。石がぶつかるような音が響き渡るような感じだ、わかるか?
じゃあ、まず、こだわりの1。
水に対して3%の塩水であさりの砂抜きをしよう。バットにあさりを並べ、あさりの頭がちょっと出るくらいまで塩水を入れ、キッチンペーパーなどでふんわり蓋をしてだな、薄暗い場所に置くんだ。スーパーや魚屋さんで買ったあさりならば2時間くらいで大丈夫。
この砂抜きをきちんとやることが超大事。いいね?

続いて、こだわりの2。
ニンニクは超みじん切りにするべし。粒が最小になるくらい、これでもかというくらいにカットする。最後は叩いてちょっとネバっと、ペーストに近づけばベストだ。ペペロンチーノも一緒だけど、イタリア人はここに一番こだわる!!!
マジで、時間がかかるよ。だいたい7~10分くらいかけなきゃならない。
次に大きな鍋で多めに湯を沸かし、タイミングをみてリングイーネを投入。指定された茹で時間よりちょっと早めにあげることが大事! アルデンテであることがこだわりの3になる。

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同時進行で、フライパンに油をひき、火をつけ、弱火で、種をとった鷹の爪とニンニクを一緒に投入し、香りを油に移していく。これはパスタの基本ね。
ニンニクが香ばしく色づいてきたら、水をよく切った先のあさり、パセリを投入。それから白ワインを回し掛けし、蓋をかぶせ蒸し焼きにするんだ。
あさりが次々に開いていきたら少し火を弱め、煮詰めていく。茹であがった麺をここでフライパンに移し混ぜ合わせ、火力を強くしよう。
そこにオタマで軽く二杯くらいのゆで汁を投入しなきゃならない。これがこだわりの4になる。乳化作用を起こし、リングイーネにとろみが宿るんだな。

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あさり汁と混ざり合って、しかも、これがパスタと絡みあって、もう最高にうまい、辻家のボンゴレが出来る。おススメのパスタは、リングイーネだけど、スパゲットーニでもいい。パパはスパゲットーニでやることが多いかな。
出来あがったら、君はコップに半分のリンゴジュースで、パパはグラスに半分の白ワインで、こだわって食べることにしよう。
ボナペティ!

材料二人分:リングイーネ160g、あさり450g、ニンニク二個、鷹の爪二つ、白ワイン100cc、乾燥(もしくは生)パセリ大匙1程度、塩胡椒適宜。 

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