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息子のための料理教室「一生を大事に生き切るための、イタリアンステーキ、タリアータ!」 Posted on 2022/08/07 辻 仁成 作家 パリ

いいかい、今日は一生についての話しだよ。一生っていうのは君が生まれてから死ぬまでの時間のことだ。
一生というものは人間の数だけあるんだよ。パパの一生もあれば、ウイリアムの一生もあるし、リサやロベルトの一生も、もちろん、君の一生もある。人間にも生き物すべてに、一生は与えられているんだよ。

でも、一生というのは簡単じゃない、楽しいこともいっぱいあるけれど、基本は厄介だ。なかなか思う通りには生きられないからだ。とくに、人間というものは、たくさんの後悔を持って生きていく・・・、それが人間というものだ。

後悔も反省もない一生なんてないだろう? それだけ、一生は過酷ということなんだよ。

息子のための料理教室「一生を大事に生き切るための、イタリアンステーキ、タリアータ!」



人が一生を生きはじめる時、誰もが人生の初心者でもある。
生きながら、人間は、自分の一生をコントロールしなきゃならない。しかしだな、失敗や過ちのお陰で人は自分の人生を軌道修正することができるんだ。
最初から一生を上手に操ることのできた人なんかいないよ。
大きな失敗の後にはじめて小さな成功を手にするように出来ている。そして、失敗を繰り返していくうちに、徐々に失敗しないようになっていくという寸法だ。これを経験というけど、人生は経験によって、少しずつ逞しくなっていく。

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なんとなくここはおとなしくしておこう、とか、なんとなくここはでしゃばってみよう、とか、なんとなくだけど、これは気を付けた方がいいだろう、とか、わかってくる。じゃない?
経験がやがていい教師になってくれるというわけだ。そうやって人は一生を旅していきます。

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時には冒険をしてみるのがいい。失敗を覚悟して。
時には長い休暇をとったらいい。人生を見つめ直すためにも。

最近、パパはちょっとだけ自分の半生を振り返ってみた
すると、とっても幸せな時があったことに気がついたんだ。その時はそれが幸せだとは気が付かず、もったいないことをしたよ。
今、この瞬間、自分は幸せなんだな、と気が付ける人は幸せ者と呼ぶのだろう。
逆に、はたからみたらとっても幸せなのに、その幸せをないがしろにしている不幸な人もいる。幸せに気づけない人は不幸だと思う。パパもそういう時期があったよ。
だからね、ぼくは君に言いたい。
いいかい、今を大事に生きなさい、とね。
簡単なことじゃないか? 今を大事に生きさえすれば、一生は君の味方になるんだからね。



そして、その一生をどう生きるのか、それが難題になる。
後悔はあっても恨んだり憎んだりすることのない、最終的には穏やかな一生を生きて終えたいなぁ、とパパはいつも自分に言い聞かせている。

人は毎日忘れて、人は毎日覚えていくのだから。

いつか訪れる最後の日まで、パパは自分に嘘をつかず、パパは自分に正直に、パパは自分の生にどっぷりと浸って、生きてゆこうと思って
いるんだ。
さぁ、お腹が空いてきたね。今日は、ずっしりと元気になるステーキを作ろう。君の大好物の、イタリアンステーキ、タリアータだ。

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今日はフライパンじゃない、グリルパンで作る。網焼きの網目がつくこのグリルパンじゃないと美味しく出来ないから、要注意だ。
まずだな、最初に、グリルパンを強火にかけ表面から煙が上がってくる位まで温める。
これが驚くほど、重要なコツになるので、ここだけは絶対に守ってほしい。
フライパンって、温まったらすぐに油を引いて肉を焼くけど、今回はそうじゃない!
グリルパンには脂もひかないし、パンが熱くなるまで、注意しながら、強火にかけ続けるんだ。
するとまもなく、煙がちょろちょろっと上がってくるから、ほら、いい感じ…。
こういう料理の時は、気を抜くなよ、強い火にかけるから、危険だからな。しっかり目視して注意深く火加減を見つめていくことだ。

室温に戻しておいた肉に塩胡椒をする。
グリルパンに油はひかず、肉を片面からしっかり焦げ目がつくまで焼く。
ダイナミックな料理だよ。焦げ目がついたら肉の角度を変え、格子状に柄がつくように焼く。パパはやたら肉の位置を動かすから、きれいな格子柄がつかないけど、気にすんな。グリルパンで焼くことが大事なんだ!
3~4分焼いたらまた別の面を同じように焼き、全体にしっかりと焼き色をつける。

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肉の焼き具合を確かめるための方法がある。
いちいち切って、肉の火加減を確かめるわけにはいかないから、シェフたちがやって来た方法だ。親指と人差し指を合わせてOKサインを作ってみろ。
で、親指と人差し指の付け根の肉の付け根を押してみる。
OKサインは軽くでいいからな。
仏像の手の感じ。この付け根の硬さと肉の硬さが同じになるのがいい焼き具合の目安と言われている。
自分のOKの付け根を反対の手で揉んで弾力を確かめたら、その指で、今度はグリルパンの上の肉の中心を押してみるんだ。
同じ弾力だったら、完成ということになる。火を止めよう。

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肉が焼けたらアルミホイルに包み15~20分ほど休ませる。

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食べる直前に薄く切り分ける。
この薄切りのことをイタリア語で、「タリアータ」というんだ。
イタリアで結構分厚く切ってくるけど、タリアータと呼ばれる。
ま、食べやすいサイズに薄切りしたらいいよ。
この料理は豪快でいい、細かいことは大目に見るから、気にするな。
そして、好みのソースでいただく。※本場イタリアではルッコラとパルメザンチーズを散らし、塩とレモンで食べることが多いよ! パパは余計なものは一切使わない。フラー・ド・セル(塩の華)だけで食べる。めっちゃこれがうまいんだ!!!
さあ、出来た。喰うか!!!

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材料
タリアータ用牛ステーキ肉 800g〜1kg

胡椒
※お好みでルッコラ、パルメザンチーズ、オリーブ油、レモン

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※昨日、作ったニョッキなどを添えてもいいね。

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