JINSEI STORIES

父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」 Posted on 2023/03/07 辻 仁成 作家 パリ

とにかく、腹が立つんです。そういう年ごろなんでしょうか? 
過去のことを思い出しては腹が立ち、誰かに言われたことを思い出しては腹が立ち、きりがありません。
人間だから仕方がないのですが、ぼくはサッサと小まめに腹を立てて、しょっちゅうガス抜きをすることで日々を上手に生き切っているような気がしています。
腹が立ったら、怒りましょう。
怒れば腹が減るので、もう立たなくなります。
ちょうどいいじゃありませんか? 

父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」



うちの母は、ひとなり、腹が立つなら横になって寝なさい、とよく言ってましたが、たしかに!
どうしようもなく腹が立つ時、昼寝でも、早寝でもしちゃうようにしています。
しかし、腹が立つって、とってもアクティブなことですから、ぼくは怒ることで前進しているようなところもあります。
怒るとそれがエネルギーになり、負けん気が生まれて、ぼくは前進出来ているのです。
さて、ぼくが子供の頃、けんかに負けて泣いて帰ってくると、「よかよか、すっきりしたろうが、今日はシウマイったい。うまかぞ」と作ってくれたのが、手作りシウマイでした。
これが本当に、怒ったことも忘れるくらいにおいしいシウマイだったのです。
母さんはシウマイのタネを皮で包みながら、こうやって、よく練ったタネをワンタンの皮で包んで、蒸すと、嫌なことが消えてなくなるんだよ。よく、見ときなさい、と言われて、蒸し器から昇る蒸気を見せられたものです。はい。
「こうやって人間は上等になっていくったい!」
なんだか、よくわかりませんでしたが、あの頃に食べたシウマイは世界一でした。
それを辻家では再現して、息子に食べさせている、という次第です。
「よかか、息子よ、こうやって人間は上等になっていくったい!」
えへへ。



毎日の献立を考えるのが大変で、いつも辻さんの料理レシピ参考にさせていただいています、と知り合いの主婦の皆さんに言われて、喜んでいる、父ちゃんです。
今日は、どうです? あらゆる感情をワンタンの皮で包んでシウマイにしてしまいませんか? 
それを家族でつついて笑顔に変えてしまいましょう。
世界一美味しい辻家のシウマイです。



父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」

「作り方」
みじん切り野菜に片栗粉まぶしておく。
肉に調味料全て加え、手の温度で脂がジワッとなるくらいよく練ること。よく練ることがものすごく大事。弾力を出すために。

父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」

野菜とエビと肉をざっくり混ぜ合わせる。
しゅうまい、又は、ワンタンの皮に40gずつ包み、15分強火で蒸す。

父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」

※バターナイフを使ってタネを詰めるとうまくいきます。父ちゃんのコツです。やってみてね。



「材料」
豚ひき肉400g
玉ねぎ半分
長ネギ15cm
レンコン半分
海老を包丁で細かく叩いたもの、6尾分
生姜小さじ2
醤油、ごま油大さじ1
塩6g
砂糖大さじ1半
オイスターソース小さじ1
コショウたっぷり
片栗粉大さじ6

父ちゃんのリサイクル料理教室「腹立つあなたに、辻家の極上シウマイ」



自分流×帝京大学
地球カレッジ