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自分流塾「どうやったら疲れない人生を生きられるか、10の鉄則」 Posted on 2021/07/23 辻 仁成 作家 パリ

なぜ、人間は疲れるのだろう。気が付くとへとへとになっている。
いろいろな人から「疲れた」というメッセージを貰うのだけど、そんなに疲れるのはどうしてだろう。
なぜ、人間が疲れるのか、暇だから、分析してみた。

1、それは明らかにやりたくないことをやるからだろう。自分が好きなことをやってる分には疲れない。ぼくがギターが好きだけど、ギターを弾いて「疲れた」ということは滅多にない。楽しいことだから、「楽しい」気が巡って、元気になるのだ。

2、無理して頑張るから疲れるのだ。それは間違いない。しかし、生きているとどうしても無理をしてしまう。疲れた、と思う時、それはどこかで無理をしているということだから、そういう時は頑張るのをちょっと止めてみるのがいい。

自分流塾「どうやったら疲れない人生を生きられるか、10の鉄則」



3、我慢をするから疲れる、ということもある。生きていると人間関係などで特に、我慢を強いられる。我慢をするから、疲れるのは当然のことだ。しかし、我慢をしない人間というのは滅多にいないし、いたとしたら社会的問題を抱えている人だったりする。ぼくみたいに、笑・・・。せめて、我慢しすぎない自分を目指せるといいのかもしれない。

4、なんでも引き受けてしまうから疲れる人もいる。あまりにいい人であろうとし過ぎて、頼まれたら断れない、という人・・・。それで疲れる。基本は絶対引き受けないくらいのスタンスで生きているのがちょうどいい。どうしても仕方ない場合もあるので、そういう時だけ疲れるのを覚悟で引き受ける。疲れるのを覚悟して引き受けると前もって予防線が張られていることになるので、意外なことに、そこまで疲れなかったりもする。

5、だいたい、他人と比較するから疲れる。これは気を付けないとならない。人間の一番悪い癖だと思う。どんな人も、必ず、誰かと自分を比較している。生まれながら人間には闘争心があるので、大なり小なり、相手のこと、あいつのこと、あの人のことが気になる。でも、これが疲れる原因に占める割合は大きい。他人は他人、自分は自分、というスタンスをきちんと持つことが疲れなくなるコツでもある。

自分流塾「どうやったら疲れない人生を生きられるか、10の鉄則」



6、よく周りを見てもらいたいが、疲れさせる人間がいないか? よく疲れるのは、周りにあなたを疲れさせる人間がいるからなのだ。愛しているから大丈夫です、という人がいるけど、愛というのも行き過ぎると疲弊する。愛の奴隷とか最悪なんだけど、愛は盲目という歌がある通り、分からなくなってしまう。どんなに好きでも、自分をないがしろにしてはいけない。距離をきちんと持って、いい付き合いを心がけたい。

7、なんでもかんでも信じすぎると疲れる。疑いの目をもって生きていけとは言わないけれど、すぐに信じるのは疲れる大きな原因の一つ。へー、そんなもんですかね、と軽くいなしておく程度が楽になるコツでもある。

8、誰にでも彼にでもいい顔をすると疲れる。これは当たり前のことなので、説明は不要だと思うけど、八方美人というのは、自分がない人のことなので、全部の人にいい顔、なんて普通出来ることじゃない。苦手な人にまで媚びうってればそれは疲れる。嫌いじゃなくても、自分とは考え方も生き方も違うというのが普通なのに、そのすべてにいい顔をしていたら、間違いなく、へとへとに疲れます。これはすぐにやめた方がいい。



9、成功だけを目指すのは疲れる。もちろん、成功を目指すことは大事な場合もあるし、成功って人によってぜんぜん違うので、一概に言えないけど、目指すなら、疲れるのは当然、と思ってがんがん目指せばいいと思う。その上で、成功を目指す過程の毎日のこともちょっと余裕をもって考えられると違った意味の成功が手に入るかもしれない。

10、自分を大事にしない人は疲れる。どんなに忙しくても、どんなに儲かっていても、どんなに人に頼られ友だちが多くても、それで自分が壊れたらおしまいだから、究極、自分をまず、大事にしてもらいたい。自分を大事にするというのは、それをやる前に、これをやったら、自分が苦しくなるか、冷静に判断をする余裕のこと。その余裕さえあれば、どんどん、人生をチャレンジしてもかまわないと思う。

ということで、好きなことは疲れない。これは最初に言ったことに戻るけど、嫌なことならやめる。好きなことなら三日間寝なくても疲れない。人間というのは実に現金なものなのである。そして、好きな人生を生きる人は豊かな一生を手に入れることが出来るかもしれない。ぼく? あはは、なかなか、分かっていても、そうはいかないのが人生である。ぼくは疲れても楽しい人生を生きる、と決めているので、多少は覚悟もできている。いい疲れ方と悪い疲れ方があるので、いい汗掻けるような日々を切磋琢磨していきたいものである。

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