某月某日、ぼくはコロッケを揚げて、二コラの家に届けるつもりだったが、結局、二コラが昨日ぼくが拵えたコロッケをとりに来た。家にいたくないから、取りに来た、というではないか。
「何で家にいたくないの？」
「うーん、なんかね、マモンの彼がいる」
なるほど・・・。
「でも、いい人じゃん。なんか、この前、たまたまスケボー教えてもらってるところ、見たよ、セーヌ川のところで・・・」
「うん、優しいけど、でも、ぼく、居場所がない」
あはは。
「パパのところにも新しい家族がいるし、ママも幸せそうだし、ぼく、どうしたらいいのかわからないから、一時間くらい、ここにいてもいい？」
「なるほど、いいよ」
息子は自分の部屋から出てこないし、家はがらんとしているし、どうぞどうぞ・・・
「あ！」

そういえば、NHKの制作会社のLさんから「二コラにあげて」とノートとかお菓子が送られてきていたことをすっかり忘れていた。探して、手渡すと、
「ええええ？」
と二コラ君、大喜び。ぼくも嬉しい。顔が緩んだ。
そこに息子が登場！
「なんで、ぼくにはないの？」
「え？　いらないでしょ？　ポケットモンスター自由帳なんか」
息子が笑いながら、ノートを手に取り、
「二コラ、一冊はぼくが貰うね。ぼくもあの番組手伝ったからさ」
と意地悪を言った。あはは。おもろい。
「ノー、ノー、それはぼくがNHKからもらったんだよ」
「パパ、なんで、ぼくにはないの？」
「あげたじゃん。靴下」
「どの？」
「ほら、なんか、ちょっと変な、っていうか、なんか、日本っぽい」
「あああ！」
話しはここで終わり・・・。Lさん、ありがとう。
息子は喜んでおります。

で、お昼までにちょっと時間があったので、スコーンを子供たちに作ってあげることにした。
実はマーシャルの八百屋で撮影用に買った黒いちじくが冷蔵庫で腐りかけていた、・・・のを今朝、発見したのである。
朝、これを大急ぎで煮詰めてジャムにしておいたのだ。
これとスコーンが絶対にあうはずだ！！！
((´∀｀))ｹﾗｹﾗ。

※　なんか、Lさんから頂いたガチャガチャのおもちゃにハマった二コラ君。子供心は万国共通である。

スコーンは自分のレシピもあるけど、今日は、友達の料理研究家が出したお菓子の本のスコーンが簡単そうだったので、それで作ってみた・・・。えへへ。
やっぱ、人によって、いろいろな作り方があるからね・・・。人生と一緒だ。
牛乳、バター、小麦粉、ベーキングパウダーで作る。たまごは使わない。
「手伝う？」
「うん」
キッチンで、大急ぎで作った。
というのも、昼過ぎに、人に会わないとならない用事がある・・・。
助手君、頼りになる。
二コラ助手君、最近、漫画の影響で、日本語も覚えてきた。
「はい、はい、はい」
を連発。
「はいは、一度でいいよ」
((´∀｀))ｹﾗｹﾗ。

美味しそうなスコーンが出来たので、コーヒーをいれて、ジャムとクレームフレッシュのあわせて、味見した。
「美味しい？」
「はい」
それから、コロッケを揚げて、アルミホイルに入れ、二コラにもたせた。
「一人で帰れる？」
「うん。もうぼく、子供じゃないよ」
「了解。ママの彼とも仲良くね」
「はい！」
と、日本語でしめて、帰っていった。
めでたしめでたし、ああああああああ！！！！

ぼくが大きな声をだしたので、通りかかった息子が、どうした、と訊いてきた。
「ビデオ撮るの忘れた」
「ビデオ？？？　なんで？」
「いや、今、あの番組、編集中なんだ。NHKの秋ごはん。ほら、この前君がキッチンで料理作ってくれたじゃん」
「え？　あれ、まだ撮影していたの？」
「一昨日、終わったから、もう、すっかり、忘れてたよ。今だったら、まだ入れ込むことが出来たのに。なかなか、絵になる料理教室だったから・・・。残念だなぁ」
息子が肩を竦めながら、ぶつぶつ言いながら、自分の部屋に戻っていった。
「パパ、何でも仕事にしない方がいいよ」
「たしかに」
「撮影終わったなら、もう、忘れて、ちょっと休まないと」
「おっしゃるとおり」
Lさん、ごめんなさい。
じゃあ、ぼくは出かけますね。
みなさん、良い週末を！！！
ボン・ウイークエンド！！！！

つづく。