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滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」 Posted on 2021/10/14 辻 仁成 作家 パリ

地球カレッジ

某月某日、明日はぼくの田舎の、(まだそんなに多くはない)友人たちの中から、田舎生活を応援してくれている2人、B&B経営のジャンさん、不動産屋のマリーさんをお招きして、デジュネ(ランチ)会をやるのだ、と意気込んでいる父ちゃん!
料理がしたいから人を招くんでしょ、と息子に言われたこともあるが、あながち、外れてもいない。
この新居、最初のゲストは、ブリュノ&アリス夫妻であった。ジャンとマリーは40代なので、ちょっと若いゲストになる。
家具もそろってきたし、小ぶりの対面キッチンは、カウンターバーみたいになっているので、料理人のぼくを囲む感じで、ちょっとしたステージになる!
さて、メニューを考えることから今日ははじまった。というのは、今日は隣町にマルシェが立つので、そこまで食材を買いに行く日。
食材と相談をしながら、メニューを考えるのが父ちゃんスタイル。
マルシェはスーパーと違い、新鮮なものが揃うので、ただし、何が並ぶかわからないのが難点、そこで軒先を覗いてから献立を決めていくことになる・・・。
意外なものに出会えるかもしれない!

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

※今は黒イチジクと茸の季節だから、八百屋もご覧の通り。シロクマが可愛い。

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

※田舎のマルシェのチーズ屋さん、チーズに見えないでしょ? 車輪のようなものがすべて、チーズなのである。これを切り分けて量り売りするのだ。



朝、一番にマルシェに行くと、魚屋が軒を連ねていた。
驚いたのは、ホタテが解禁になっていたこと。
フランスでは5月15日から9月末までホタテが禁漁となる。(国が禁漁の期間をきっちり決めている。貝の直系が11センチ以下は解禁になっても獲っていけない)
解禁だ、やった!
鯛のカルパッチョにしようと思っていたけれど、当初の計画はあっさり変更、・・・ホタテのカルパッチョに決めた。
フランス人はホタテがみんな大好き。
北海道に住んでいたことのある父ちゃん、ホタテにはうるさい。しかし、北海道に負けないくらいに、ここのは美味い!!!
ということで2キロのホタテを買った。
どうやって食べるか、ちょっと悩んでいるが、まずは、殻をこじ開け、ヒモなどを除去し、貝柱をオイルにつける。
そうすると、ねっとりとした触感の美味しいホタテの刺身が出来るのだ。いひひ。

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

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滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

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ホタテの横に、鯖が並んでいた。
こっちの鯖の売り方が面白い。クラッシュアイスの中に頭から突き刺して、立たせて売っている。鯖の棒!!!(写真を撮り忘れました)
その光景を眺めつつ、サっと頭を過ったのが、焼き鯖寿司であった。
ちょうど、冷蔵庫にガリがあったし、美味しい寿司酢もある、おお、ちょうどいいじゃないか!!!
鯖の内臓を取り出し、オーブンでじっくり火をいれ、ガリをしゃりとの間に挟む。
前日に仕込んでおくと、鯖の味が染みてうまくなるのだ。
今夜、仕込んでしまえば、明日はゆっくり起きることが出来るし、慌てないで済む。二尾、買った。
焼き鯖寿司は残っても、翌日も食べられるから、なお、都合がいい。いひひ。

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

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それから、ついでに牡蠣も買った。得意の牡蠣パスタにしよう。
今夜、牡蠣をむいて、身を、オイル漬けにしておくのだ。
そうすれば、明日の作業の手間が省ける、というものだ。
牡蠣の和風オイルパスタの作り方だが、軽くフライパンで火を入れ、オイルに唐辛子&ニンニクと一緒に漬け込んで、あとはパスタと炒めるだけ・・・。これがシンプルで、めっちゃ、美味いのだ。
ブリュノとアリスが来た時にも作ったけれど、2人がめん玉ひん剥いて、絶賛してくれた、父ちゃんの自慢料理の一つであーる。
ともかく、全て、前日仕込みが出来るものばかりになった。これさえ仕込んでおけば、勝ったも、同然!!! ←誰に???
当日、ゲストを退屈させることもない。いひひ。

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

※塩水で洗うことが大事。汚れが出てくるのである・・・。

滞仏日記「友人を招いてのホームパーティ、父ちゃんの下ごしらえ術」

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ということで、午後、仕事がひと段落した後、ぼくは仕込みの作業に入った。魚介の処理は、手間がかかるけど、超新鮮だから、間違いなく、美味しいはず。
愛情料理研究家としては、喜ぶゲストの顔を想像しながら、作るのが愉しみの一つでもある。明日は、ジャンとマリーの顔をほころばせたい!!!
と思っていたら、マリーさんからメールが!!!
「ごめんなさい。明日、急に息子を11時45分までに学校に迎えにいかないとならなくなったの。ひとなり、よければ、別の機会にまた、いいかしら? せっかくのお招きなのに、残念だわ・・・」
ああ、予期せぬキャンセル。なので、ぼくはジャンにメールをいれた。
「ジャン、明日なんだけど、よければ君の奥さんもつれて来ないか?」
今のところ返事がないけど、ま、焼き鯖も持つし、牡蠣も牡蠣も時間が経てば経つほどに美味しくなるので、週末、息子と食べることもできる。
なので、なんも、問題はないのである。
さて、仕込みの続きがあるので、今日はここまで・・・。いひひ。

つづく。



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