JINSEI STORIES
豪快父ちゃん料理教室「誕生日ケーキのような丸ごとキャベツのファルシ」 Posted on 2023/01/11 辻 仁成 作家 パリ
これは、ずいんぶんと前のおはなし。
まだ、息子が今よりもうんとうんと子供で、少年で、ぼくと会話をしていた頃のおはなし。
だれもが経験する、親子の通過点・・・。
思えば、懐かしい。
ああ、いい時代であった。
ぼくは息子に言ったものである。
「昔のことだから、覚えてないかもしれないけどね、甘いものが好きじゃなかった君に、誕生日ケーキ作っても腐らせるだけだな、と思って、パパは苦心して、特大のロールキャベツならぬミルフィーユキャベツを作って、その真ん中にろうそくを立てて食卓に載せ、それを君がふっと消した日のことがあったんだけどね」
まさか、忘れたわけじゃないだろうな?
「覚えてるよ」
「あん時、君は11歳か12歳だった。
ま、もう、誕生日会やって喜ぶような年齢でもなかったから、で、パパは思いついて、おかずをケーキにしてしまえって!で、ちりめんキャベツを買ってきて、中をくりぬいて、君はハンバーグが好きだったから、詰めて、煮込んでファルシにしてやったら、うまいうまいって、騒いでた。覚えてないか?」
「・・・」
「でも、この丸ごとキャベツファルシの作り方を覚えておくと、結婚したら、子供が出来た時に、便利だ。喜ばれる」
ぼくらは笑いあった。
というわけで、そんな日があったことを思い出しながら、今日は、キャベツのファルシを皆さんと一緒に作ってみたいと思うのであーる。
まず、大きめの鍋に湯を沸かし、芯をくりぬいたキャベツを丸ごと10分ほど塩茹でにしておいてください。
茹で上がったキャベツは湯をきって、一度冷まし、葉は1枚ずつ水気を切っておくのがベストです。
キャベツ以外のキャベツケーキの材料をボールに入れ、しっかりと捏ね、四等分か5等分くらいにわけておきましょう。
直径20センチくらいのボールに放射線状にたこ糸をセットし、キャベツの葉を数枚おき、タネを満遍なく敷き詰めてください。
その上からまたキャベツの葉を重ねタネを詰めていきます。
ミルフィーユ仕立ての作業を繰り返し最後はキャベツの葉で蓋をしてたこ糸で縛り形を整えたら、オッケー。
めっちゃ、ケーキ職人っぽくないですか?
オーブンは予め180度で予熱しておきます。
その一方で、ココット鍋にオリーブ油をひき、潰したニンニクを加え中火にかけましょう。
人参、玉ねぎ、パセリを炒め、玉ねぎが透明になったらトマトピューレと水1カップ、牛ブイヨンを加えて煮溶かしてください。
ここにタコ糸で包んだまんまるキャベツケーキを加え一煮立ちさせたら蓋をしてオーブンに入れて1時間半焼いたら完成となります。
ちょっと寒い日に、これを家族でつつく、最高なのであーる。
※ココット鍋がない場合は鍋でソースを作りキャベツケーキを加えてから一煮立ちさせてから耐熱容器に移しアルミホイルで覆い1時間半焼くとよかです。
材料:<キャベツケーキ>
キャベツ 1玉(あればちりめんキャベツ)
牛ひき肉 400g
ベーコン 100g(粗みじん)
パセリ 大さじ3(みじん)
玉ねぎ 1/2個(みじん)
柚子胡椒 小さじ2
酒 大さじ1
卵 1個
パン粉 40g
牛乳 大さじ2
黒七味 少々
生クリーム 少々
オリーブ油 大さじ1
タコ糸
材料2;<トマトソース>
人参 小1本(粗みじん)
玉ねぎ 1/2個(みじん)
パセリ 少々(粗みじん)
ニンニク 2片分
トマトピューレ 200g
牛ブイヨン 1個
塩 小さじ1/2
胡椒 適宜
オリーブ油 適量
ボナペティ!!!!!!!!!!!!