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滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」 Posted on 2021/11/27 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、息子にはまだ何も言えずに、日々が移行している、という感じ。
しかも、なんか、嫌われてるみたいだから、「ごはんだよー」以外の会話も無し。
しーーーーーーーーーーーん。
家の中に見事な棲み分けが出来上がっている。
鉄のカーテン、冷え切った冬なのであーる。
あんまり書くと怒られるから、やめとく。えへへ。
今日は、マーシャルの八百屋で、イタリアの冬野菜、プンタレッラを買ったので、焼きニョッキにして、息子に与えた。
最近、一緒に食べることもない。小言を言うのも嫌だし、そっけなくされるのも嫌だから、家庭内別居中、ご飯だけで繋がる辻家であーる。
こちらが、父ちゃんの力作、ニンニクと醤油でプンタレッラを炒め、ニョッキはベーコンと一緒にバターと醤油で炒め、あわせたもの。美味しくないわけないじゃんね・・・。恩を売るわけじゃないけど、30年後、思い出して、泣くなよ。
しーーーーーーーーーーーん。ま、いっか。

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」



ニョッキの載ったお皿を食堂のテーブルに置いて、ぼくは寝室に戻り、ベッドに寝転び、携帯を見て過ごした。
ちょっとずつ、現実が分かってきて、もう一度、頑張らなきゃ、と思って立ち上がった金曜日の午後だったが、明日は、オンラインでスープを作らなきゃならなかった。
この一週間、調子がのらず、その状態のままのひどいキッチンでオンライン教室をやるのか、と考えただけで、ちょっと気が滅入った。あはは・・・。
土曜日は中島君が掃除に来るのだけど、その時間にちょうど生配信をやっている感じになるので、キッチンの掃除が出来ないまま、このキッチンで料理作るのはちょっときついなぁ・・・。

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」



なんでも、南アに出現した新しい変異株がもの凄いというので、欧州は各国が厳戒態勢下に入りつつある。パリのデザインストーリーズの編集部員やライターさんたち(編集部は雲の上にあり、ネット編集部が存在する。イタリアやドイツ、スペイン、英国などと連携している)から、次々、情報が入ってくるのだけど、いまいち、士気があがらない、父ちゃん・・・。おい、がんがれよーーー。
仲間の不幸で塞いでいる父ちゃんの状況を知っているスタッフさんたちが、各国発のコロナ情報をまとめているところ・・・。
この冬は大変なことが起きそうな、予感がする、・・・分析中。
「パリ最新情報」は、すでに、ぼくの手を離れて編集部で発信が出来るまでに成長したので、助かる・・・。
お気づきかどうか、わからないけど、毎日、一本か二本は欧州の最新情報を発信できるところまで充実してきた。
父ちゃんは徐々に、編集部の片隅に追いやられつつある感じ・・・。
こういうコロナの時代だからこそ、欧州で何が起きているのかを新聞社や報道機関とは違う視点、角度、たとえば、主婦(主夫)目線でお届けできれば、とスタッフの皆さん、頑張ってくださっている。
(ウ)(聖)(み)(大)(マ)(林)(上)(井)(清)(る)etc・・・だいたい、主婦の方々であーる。
「編集長、AFPさんより早く情報出しましたぁ!!!」
「おお、やったな~。目指せ、主婦目線のAFP~」
※欧州の主婦の皆さんで、書くのが好き、執筆に自信のある皆さま、ぜひ、欧州最新情報クラブにご入会ください!!!アマチュア、プロ問いません。楽しい編集部です。

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」



今年は仲間や友人が、まだ若いのに、バタバタと旅立ったので、その寂しさというか悲しみに襲われ、ちょっと呆然として年末を迎えてる、62歳の父ちゃん・・・。
でも、オンライン教室では、笑顔で皆さんと向かい合いたいので、老体に鞭を打ち、塞ぐ気持ちを必死で取り繕って、がんばっている。
温かいオニオングラタンスープを食べて(飲んで)この冬を乗り切りましょう。

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」



とにかく、一度、カメラをセッティングして、オニオングラタンスープの手順の再確認しておくのがいいだろうと思って、近所のスーパーに買い物に行き、材料を買ってきた父ちゃん。
午後、オニオングラタンスープの手順の一人リハーサルをやることに・・・。
オニオングラタンスープは、パリに渡ったばかりの頃に、カフェで食べて衝撃を受け、それから作るようになった冬の定番スープなのだが、細かい部分をきちんとやれば、パリのカフェに負けない美味しいオニオングラタンスープが出来る。
そこを伝えるために一番父ちゃんが苦心したのは手元カメラの位置であった。
一台のカメラは父ちゃんのバストショットを、もう一台で手元を撮影しながら、2画面で、スープの制作過程をお届けする。
東京のスタッフがスイッチングして、しかも、東京のスタジオには料理雑誌ダンチューの植野さんがもう一つ別のスープを作っているという、東京とパリを繋ぐ二次元テレビ生中継さながらのオンライン教室なのであーる。
いや、毎回、大変なのだ!
テストで作った1人分のオニオングラタンスープを食べて、今日は、乗り切った父ちゃんなのであった。
生配信は、出来るだけ、笑顔でやらなきゃね・・・えいえいおー。

つづく。

お知らせ。

2021年11月27日(土)の地球カレッジは、dancyu編集長で料理人の植野さんをお招きし、辻仁成と、、、

「秋冬スープ対決!」


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今回の配信方法は、ZOOMになります。
 

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」

※ こちらは、オーブンの火加減チェック中のオニオングラタンスープ。下のが、だいたい完成予想図でありまする。

滞仏日記「息子と絶交中。どうしていいのかわかならい感染拡大パリでの雑感」



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