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滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」 Posted on 2022/01/02 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということで、辻家の2022年度版、おせちが完成したのでここに改めてご報告をさせて頂く・・・←いちいち偉そうですいません。
盛り付けたおせちを撮影していたのだけど、なかなかお泊りに行った息子君が戻ってこないので、おせちとピースポーズで記念撮影などをして時間を潰した父ちゃんであった。
毎年、代り映えしないおせちではあるのだが、縁起のいいものを頂くことで、もう一年頑張ろうという気持ちになるのも事実。幸せと家内安全を祈願して作ったのだった。
とくに、今はコロナの時期だし、息子は受験生だし、その上、やや高齢になりつつある父ちゃんの幸せ祈願などを、各食べ物に、それなりにぶつけて盛り付けてみた。
御覧頂きたい、これが、辻家のおせちであーる。

※ しかし、だいたい、毎年同じ布陣なので、笑える。これでも、いろいろと考え抜いているので、お許しを。実は、おせちとは、そういうものだ。

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」



これらの写真の中で、手作りは以下、
1, 筑前煮。
2, ローストビーフ
3, から揚げ
4, 伊達巻
5, 田作り
6, 手毬寿司
7, なます
となるが、庶民的な味つけが、あゝ、愛おしの家庭の味なのであった。ちなみに、日本から送られてきた貴重品はこちら、
1, 数の子
2, 栗きんとん
3, サーモン昆布巻き
4, 昆布にしん巻き
5, かまぼこ
6, 黒豆
7, 虎屋の羊羹
8, 昆布だしいくら
となる。これはさすがにフランスでは手に入りにくい。
ただ、かまぼこは、御覧のように、赤い部分を三つ編みにしたり、織り込んで立体感を出し、手作り感を演出してみた←芸が細かいおやじ、笑。
大きな赤い海老は、ラングストという。いわゆるフランスの伊勢海老であーる。伊勢ではないが、あはは・・・。

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」



息子は食べてはくれるけれど、フランスの子供たちに正直、おせちは受けない。
前に、近所の子供たちが試食をしたことがあったが、田作りとか、「ぎゃー、目が付いてる~」と怖がるし、にしんの昆布巻きなどは、「ぐえー、まずい、何、これは食べ物なのか」と言われてしまった。
なので、息子にはから揚げとローストビーフと手毬寿司を、日本的な縁起物の数の子とか、黒豆は父ちゃんが時間をかけて食べることに、そして、最後は全部混ぜでおせちチャーハンになるのが、辻家の例年の流れなのであーる。

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」



息子たちはいつもの仲良しおたく4人組が集まり、巻きすを使って、巻きずしとか餃子を作ってカウントダウンをやったのだとか、・・・。
ぼくが永久貸ししているキャノンのカメラで撮影したその時の映像を食事中に見せられたけど、コロナ下にあって、それなりに楽しそうな青春がそこには描かれており、ほのぼのとした。
中でも一番おたっきーなウイリアム君は、「ぼく、絶対日本人と結婚をするんだ」とみんなに宣言をしたのだとか・・・。
大学卒業後は、日本行きを希望しているそうで、なぜか、大和なでしこ様の人気は高い。
パリジェンヌには興味がないということで、息子が、肩をすくめて苦笑していた。
おせちを食べている息子を見ながら、この子は、どういう家族を作るんだろうな、と思って、微笑みを誘われた父ちゃんでもあった。
この子が十歳の時、二人でストラスブールを旅した時、
「パパがよければ、将来、ぼくの家族と一緒に暮らしてもいいよ」
と言ってくれた言葉はぼくの一生の宝物でもある。←もう、忘れていると思うけどね、あはは・・・。
食後、博多の母さんに電話をかけた。
息子と母さんのやり取りは自然で、すぐそこに母さんがいるような、愛にあふれるものであった。
最後に、ぼくも母さんに新年のあいさつをした。
その時、母さんが、ぼくに、こう告げたのだ。
「会いたかけどね、このコロナが落ち着くまでは会えないからね。あんたたちが、我慢をしなさい。帰るチャンスは、どうしても帰らないとならない人に譲りなさい。今は、我慢をしましょうね。わたしは大丈夫だから、日本の皆さんを不安にさせないためにも、お互い、時を待ちましょう。もう少ししたら、コロナは消え去ります。そして、わたしは、日本から二人の健康と幸せを祈っていますよ」

滞仏日記「ついに2022年度版辻家の和洋折衷おせちが完成したのであった」



新年早々の父ちゃんからのお知らせ。

来たる2022年1月16日、トリュフ産地の一つ、ドルドーニュ県まで父ちゃん一行は出向き、(パリから電車で6時間半・・・)地元のトリュフ栽培士さん、トリュフ犬わんちゃんとともに、黒トリュフを探す旅を行います。
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