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退屈日記「昨日は三四郎における、サラサラダ記念日、になった、ついに!」 Posted on 2022/06/20 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、三四郎が我が家にやってきて、5か月が経った。
田舎の山奥の犬の園から大都会パリに出てきた子犬は、車の音におびえ、隣人の犬たちにもまれ、慣れない都会の騒音に帯びながらも、カルチエ(地区)の人々に愛され、すくすくと成長をしてきたのであーる。
しかーし、前回の日記でも書いた通り、父ちゃんを悩ませ続けたのは、おしっこ(ピッピ)とうんち(ポッポ)を外で出来ず、しかも、おしっこシートから外す(こぼす)日々、時にはぜんぜん関係ない場所、たとえば十斗の部屋のドア前とかでやって、その片付けに追われて父ちゃんはへとへとなのだ、とは書いた通り。
そこで、一昨日、父ちゃんは心を鬼にして、三四郎がおしっこを外した時、しっかりと向き合い、鬼の形相で、叱ったのである。
鬼辻の出番であーる。

退屈日記「昨日は三四郎における、サラサラダ記念日、になった、ついに!」

その叱り方は、恐ろしいので、(笑)、ここには書かないが、閻魔大魔王のような形相で、棍棒を振り回し・・・、しかし、粗相が一生続くのは親の責任、やさしさを捨てて、厳しく指導をしないとこの子はどこにいってもお漏らしをする子になってしまう。
ということで、久々登場の鬼辻なのであった。
その日は、三四郎が分かるまで、ぼくは心を鬼にして、叱り続けたものだから、今度は父ちゃんのことを怖がって逃げ惑うようになり、悲しくなったのである。
ところがだ。ところであーる。
その翌日、新たな事態が、・・・な、なんと・・・

退屈日記「昨日は三四郎における、サラサラダ記念日、になった、ついに!」

※ これは昨日の日記で仕込んだ、南蛮漬けの完成写真なり、まいう~でした!!! 黄色いのがジャガイモのエクラゼになります。



驚くべきことに、昨日は、三四郎が我が家にやって来て、うまれてはじめて、家でピッピもポッポもしなかった、しなかった、のである。
すべて、外で、やってくれたのだ。凄い!!!!
ピッピが5回、ポッポが4回、全部パーフェクトにお外で出来たのである。感動で、目が潤んだ父ちゃんであった・・・。
「わん」
三四郎がトイレに行きたくなると、まず、吠えるようになった。
今までは「ピッピしたよー、ポッポしたよー」と教える時に吠えていたが、覗くとしてない・・・ん? 
もしかしたら、外でしたいよー、という合図かと思い、急いで着替えて、連れ出したら、おおおお、家の前の道路で、しゃーとやってるじゃーん。
続けて、ポッポもやった。すごいぞ、サンシー。
出来るようになったじゃん。
ということで、昨日は、おしっこシートが一日中、サラサラ、つまり、三四郎のサラサラダ記念日になったのであーる。(俵万智さま、借用ごめんなさい)
もう、ぼくは這いつくばって、三四郎の後始末をしないでもよくなった、ということだ。
わあ、これって、凄いことじゃないですか?
今世紀、最大の明るいニュースなのである。(大げさやろ!!!)

退屈日記「昨日は三四郎における、サラサラダ記念日、になった、ついに!」



でも、その分、三四郎を小まめに外に連れ出さないとならない。
そうじゃないと、彼にたくさんの我慢を強いることになるからだ。
一日、3回だった散歩(毎回、一時間、浜辺を走らせてきた)を5回に増やすことになるし、わん、と来たら、外へ連れ出すようにする必要がある。
ぼくがちょっと忙しくなるけれど、三四郎のピッピ、ポッポの回数も減ってきたので、そのうち、父ちゃんなりに、タイミングが分かってくるに違いない、のである。
一緒にこれからずっと生きていく相棒なのだから、ぼくももっと三四郎のメッセージに耳を傾け、理解してあげなければ、と思ったのであった。
家で一度もお漏らしどころか、ピッピもポッポもしなかった、三四郎。父ちゃんはますます、愛情を感じるのであーる。

つづく。

えへへ、お知らせですが、今朝、発売10日前にもかかわらずAmazon10位とお知らせした、父ちゃんのエッセイ集「パリの空の下で、息子とぼくの3000日」は9位に浮上していました。笑。
版元のマガジンハウス社の営業の皆さんがざわざわしているとのことで、全国の書店さんにきちんといきわたるように、お願いします。
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退屈日記「昨日は三四郎における、サラサラダ記念日、になった、ついに!」



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