JINSEI STORIES

滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」 Posted on 2022/08/08 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ということで、いったい何年ぶりか思い出せないのだが、父ちゃんは新幹線に乗ったのであーる。その自撮り写真をピエールやソフィアやアドリアンらに送って、
「どうでっか? ごっつええやろ、これが日本の新幹線やねん」
と自慢したのであった。
それから、父ちゃんの大好物、駅弁を車内で買った。なんと「新幹線弁当」である。
これが、普通に最高、であった。なぜなら、すでに味の染みたメンチカツとエビフライがどーん、深川飯とアナゴご飯もどどーん、蛸の煮つけ、がんも、野菜炊いたん、卵焼きがどーん、と父ちゃんの好きなものしか入ってない。
とくにメンチカツには目がない父ちゃんなのであった。
「うまい!!!」
新幹線の中なので、控え目に、うまいうまい、と言いながら日本を満喫なのであった。えへへ。
こういうぼくの日本旅日記をフランスの地元の友人たちに送るのがまた楽し。
半ば自慢なのだけど、フランス人は日本が大好きなのである。
なぜ、そんなに日本が気になるのか、よくわからないのだけれど、あまりに文化的違いが大きすぎて、好き、にしかならないようだ。
漫画ブームで育った連中も、今や、30代、40代、とフランス経済の中心的役割を担う中核世代、なかなか日本を悪く言う人を見つけるのが難しい。
日本のソフトパワーがまだ健在であることを意味している。
ここのところの円安で日本経済が気がかりではあったが、実際、日本に来てみると、ビルは巨大だし、人は優しいし、コンビニは元気なので、ひとまず、安心の父ちゃんであった。おほほ。
ということで、ぼくは今、大阪にいるのであーる。どないやねん!!!

滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」

滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」



で、大きなギター(ケースが特に目立つ)を抱えて、タクシーに乗った。このギターが目立つのだ。最近、クラシックギターに替えたのはいいけど、ケースがゴージャス過ぎる。
父ちゃん、一応、芸能人ではないのだけど、目立っちゃいけないので、変装をして大阪を目指した。父ちゃん、ブラッシングしないと髪の毛はくるくる天パーになる。マスクをして、眼鏡をかけて、くりくり頭、これなら、誰にもわからない。
タクシー乗り場で一台のタクシーに乗車したのであった。ヘーイ、タクシー。
「お客さん、あの、もしかして、有名人ちゃいまっか」
なんとなく、明石家さんまさん口調の気取らない運転手さんであった。
ぼくを振り返り、振り返り、笑顔で、そう言ったのである。
「テレビで、見た気がしますねん。誰やったかいな」
後半は、独り言のような感じであった・・・。
環状線みたいなところを走っている時に、ああ、と大きな声を出して、
「あ、お客さん、もしかして、葉加瀬太郎さん違いますか?」
どひゃあー-、葉加瀬さんに申し訳ないけれど、それは違うのだ。
「違います!」
「ええ、でも、それバイオリンでしょ?」
「ギターやがな!!!」
となぜか、ちょっと切れてる父ちゃんであった。どないなってんねん。

滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」



実は、秘書の菅間さん逝去の後、個人事務所は、ご縁がある大阪に移転した。ぼくの謎の多き個人事務所は現在、大阪が本社、福岡が支社となっているのであーる。
福岡と大阪、そしてタイタンが東京なので、主要都市はおさえた、実業家父ちゃん。
今回はライブ前だし、コロナのこともあるので、スタッフさんとは会わないことになった。明日、会場のお手伝いで、全員集合となるが、基本、楽屋でのご挨拶が禁止されているので、遠くから手を振るくらいの再会、になるのかな・・・。
でも、せっかくの大阪だし、ライブ前だから、大好きな商店街とかにはいけないけれど、FFP2マスクをして、道頓堀を散歩するくらいは許されるだろう。ということで、さっそく、夕暮れ時に運動も兼ねて散歩に出かけた元気な父ちゃんなのであった。いひひ。

滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」

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滞日日記「ついに大阪にたどり着いた父ちゃん。関西弁スイッチ・オン!」



今日も読んでくれてありがとう。
大阪ビルボードライブ、係員の指示に従って、よろしくお願いいたします。アコースティックを中心に、ジャズ、シャンソン、フォーク、そして、ECHOESのバラードなどをご用意してまっております。今現在、最高のコンディションでーす。3年ぶりのステージ愉しみですが、マイペースでやりますね。心の総立ち、おまかせください。(^_-)-☆

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