JINSEI STORIES

退屈日記「家族のカタチはいろいろとあります。父さんとパパとのあいだ」 Posted on 2022/09/27   

某月某日、最近、息子と仲がいい。
そういえば、息子のおにいちゃんのお嫁さんから、先日のNHKの「パリごはん」が映されているテレビのアップ写真が送られてきた。
「後半にかけて感動」というお嫁さんからのコメント。えへへ。
春ごはんの時も自宅で、じっと食い入るように見入るお兄ちゃんの映像、横顔が、ぼくにいろいろな光を投げつけてきたのであった。
お兄ちゃん、弟、ぼくは、カタチのない船に乗って大河を下っているような気がする。
日記ではこれまでほとんど書いてこなかったけれど、ツイッターでも書けなかったけれど、三人はひっそりと繋がってきた。
結婚をし、素晴らしいお嫁さんが彼に寄り添うようになって、ますます、よく会うようになった。
そこに十斗も合流し、不思議なトライアングルだ。
遠くへたどり着いてしまったなぁ、という思いに揺さぶられる日々である。「パリごはん」あれはあれで、人と人を繋ぐ、ぼくにとっては個人的なドラマなのかもしれない。さすが、自撮り棒番組だけのことはある。
今日、三四郎をジュリアの家に送り届けた後、引っ越しの整理をしていたら、なんと、パリ市のメトロの地図の中から、こんなものが出てきた。

退屈日記「家族のカタチはいろいろとあります。父さんとパパとのあいだ」



ええ!!!! これって、父さんが生きていた頃の十斗への「おとしだま」じゃん。
中身を確認したら、3万円、入っていた。
十数年前、たぶん、14,5年前くらいかなぁ。
十斗はおじいちゃんっ子で、ぼくは滅多に行かないけど、あの子は日本に帰省するたび、父さんの墓参りに行く。欠かさず行っている。先祖のお墓を掃除し、帰って来る。ぼくなんかよりも、うんと先祖孝行の子なのだ。
「すごい」
とその息子から、メッセージが戻ってきた。
速攻、帰ってきたので、相当にうれしかったのであろう。
「次回、渡すね。3万円も入っていたぞ」
すると、二枚の写真が送られてきた。
自分で作った、焼きそばと炒飯の写真であった。
一昨日、彼がうちに来た時に、そうそう、タイ・レストランで食事をした時だったかな、パパ、今度、炒飯と焼きそばと餃子に挑戦したいんだ、と宣言していた。
炒飯は前にも作ってたじゃないか、と言い返したら、もっと、本格的なパラパラの炒飯だよ、と腕組みをして返された。あはは。
ということで、この二日間の成果がこの写真ということになる。すごい。

退屈日記「家族のカタチはいろいろとあります。父さんとパパとのあいだ」

※ この目玉焼きがにくいなぁ。あと、焼きそばの色が本格的なので、ソース味? 何味なんだろう、と気になっているのであった。

退屈日記「家族のカタチはいろいろとあります。父さんとパパとのあいだ」

※ ふふふ。若いのォ。次回、コツを教えてやるか!!!



中学生から高校生にかけて、反抗期もあったが、近ごろは、ちゃんと寄り添ってくれるようになった。大人になったということであろう。
ぼくが気管支炎になったら、心配をしてくれたし・・・。
一方で、十斗のおにいちゃんも「パリごはん」を観て、この複雑な親子関係を、それでも、つなごうとしてくれている。三人で、食事をするときは、無口な息子たちを前に、一人、めっちゃ饒舌になる父ちゃんなのであった。
お兄ちゃんはぼくのことを「父さん」と呼ぶ。
弟はぼくのことを「パパ」と呼ぶ。
父さんとパパのあいだに、父ちゃん、はいるのだ。
焼きそば、食べたーい。



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
焼きそば、美味しそうな色をしていますね。来週には、きっと、手作り餃子の写真が届くんじゃないかな~、と期待しております。豚肉のあっしぇ(ひき肉)にする方法を先日は訊いてきました。あまり、上手になり過ぎてしまうと、父ちゃんの役目が終わってしまうので、・・・いけません。やっぱり、料理の仕方を教えていられるうちが花ですからね、・・・。鼻です。ふふふ。
さて、そして、今日、ですよ。皆さん、「夏ごはん」の再放送があります。見逃した皆さん、ぜひ、ご覧ください。
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●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022 夏」(59分)
【再放送日時】2022/9/27 (火)23:00~23:59<BSPのみ>
       2022/9/27 (火)17:00~17:59<4Kのみ>
そして、そして、10月31日にオンライン講演会「プロの編集者から学ぶ。物書きを目指す方々への最強アドバイス」を開催いたします。そうなんです。父ちゃん、映画が完成をするので、10月の後半からまたまた日本出張になります。気管支炎、治さないと。
今回は、辻仁成のエッセイ集「息子とぼくの3000日」や、小説「孤独にさようなら」を担当した現役担当編集者2名を招いて、編集者サイドから考える、作家のあり方、物書きになるための道、新しい書き手へ向けての編集者側からのアドバイスなどを、オンライン講演会形式でお送りいたします。父ちゃんが物書きへの道を語りつつ、その都度、お二人にご意見を聞いて、より、深い講座にさせてみせます。ごほごほ。本当に一つ上の書き手を目指される方々に必要な講座となるでしょう。
同日、都内某所の特別教室にご出席希望される方から抽選で40名の方をご招待させて頂きます。
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退屈日記「家族のカタチはいろいろとあります。父さんとパパとのあいだ」

※ これが父ちゃんの炒飯、焼きめし、であーる。



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