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リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」 Posted on 2023/01/24 辻 仁成 作家 パリ

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」

回想:ある日の息子とぼくのキッチンでのやりとり。笑。

男性はムッシュって呼ばれるじゃないか、パパも、通りを歩くと、「ムッシューツジー」って言われる。笑。
実はね、パパは「ムッシュ・ツジ」って呼び止められるの、気に入ってるんだ。
ムッシュ~って、可愛らしいものね。
「ムッシュー!」
君はまだ、ムッシュと呼ばれることは滅多にない。若いから当然だね、でも、だんだん、言われるようになる。
フランスの男の子たちにとって、ムッシュと言われることはある種の憧れであり、同じように、女の子たちもみんな一日も早くマダムになりたがってる。そうだろ?
日本はいつまでも子供でいたいという大人がパパの時代には多かった。
ピーターパン症候群とかモラトリアム人間、とか、言われていた。



日本ではモラトリアムの猶予期間を精一杯利用してぐずぐずと大人になることを目指す若者が多かったけど(今は知らない。日本を離れて20年)、そういう意味じゃ、フランスの若者たちは背伸びして今すぐ大人扱いされたい子ばかり、ある意味、早熟なんだな。

パパの知り合いの日本人のS君なんて、在仏20年を超えるのに、なかなかムッシュと呼んでもらえないと落ち込んでいたけど、パパは、自慢じゃないが、最初からムッシュだったぞ!
君が生まれる前から、ずっとムッシュ・ツジだった。笑。
ムッシュというのは、紳士的振る舞いがきちんとできる人に使われる呼称だから、(爆笑)、S君の生活態度がどこかいつまでも子供っぽいからじゃないのか、と言ってやったこともある。えへへ。
わかるだろ、パパを見てたら、威厳のかたまりのムッシュでしかない。
おい、なんで笑うんだ。そこ笑うとこちゃうで! 
あはは。

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」

※ クロックムッシュは、ベシャメルソースから作るんだよ。

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」



ムッシュと呼ばれれば、逆に大人として扱われたという証拠でもある。君も頑張って、みんなにムッシュと呼ばれるように、がんばりたまえ・・・。

そういえば、街の哲学者のアドリアンに、「しかし、フランス人って世界一変わっているよね」とこの前、言ってやったら、「ムッシュ辻、それは違う。個性的と言ってくれよ。日本みたいにみんなが同じじゃないといじめられる社会って逆にどうなの? 我々は個性を尊重する。一人一人に人格があり個性が認められている。いいかい、自由という言葉はフランスで生まれたんだよ。君たちももっと個性を尊重すべきだ」と逆に、怒られちゃった。

そういえば10年ほど前に、サンジェルマンのカフェで女優のカトリーヌ・ドヌーブさんがお茶をしてたんだけど、日本だったら、きゃ~きゃ~大騒ぎになるところだろうにねぇ。
しかし周囲のマダムたち「ふん、私の方がもっと綺麗よ」みたいな感じで誰一人彼女を見ようともしない、…。笑。
で、全員がつんと鼻を高くさせて大女優みたいになって、お茶を飲んでた。
そういうのを見ると、めっちゃフランス~、笑。
「有名だからなに? 私も生きているし、私だってたくさん恋をしてきたし、私の人生だって誇らしいのだからミーハーなことは出来ません」みたいなちょっと無理した感じのつっぱり感、なんて素敵なこと。
でも、内心は「あ、カトリーヌドヌーブがいるわ」とそわそわしているはずなんだけど、笑。
自分を中心に世界が回ってるという、ある意味自分を大切にした生き方、パパももっと見習いたいと思う。え? もう十分だって? 
あはは。

ということで今日はフランスの紳士淑女たちが大昔からこよなく愛してきた、1910年にパリのオペラ座近くのカフェではじまったとされるホットチーズトースト、いわゆるクロックムッシュを作ってみることにしよう。
でも、普通のクロックムッシュじゃ面白くないからね、上に目玉焼きを載せた「クロックマダム」だ。
なんとも、このユーモア、最高じゃないか!

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」



まず、オーブン(グリル)を200度に予熱する。小さなフライパンにバターを溶かし、小麦粉をふるい入れ、ふつふつとするまでよく混ぜ合わせる。
牛乳を少しずつ4回くらいに分けて加え、中火でダマにならないようその都度よく混ぜ合わせていくんだ。
すると、とろっとしたベシャメルソースが出来上がる。
食パンにハムとベシャメルソースを載せ食パンで閉じ、さらにチーズを載せオーブンに入れ10分ほど焼き、チーズに焼き色がついたら完成だよ。
簡単だよね。
そこに目玉焼きをのせればクロックマダムになる。
コケコッコーー。けっこーでした。
パリのカフェの味をご家庭でどうぞ。
さぁ、喰うか! ボナペティ!

リサイクル・父ちゃんの料理教室「ムッシュじゃなくて、マダムだよ。クロック・マダムが最高!」

材料、
クロックムッシュ・クロックマダム材料:バター15g、小麦粉15g、牛乳150ml、塩こしょう適宜、食パン(できれば薄切り)、ハム、とろけるチーズ、卵

さて、1月29日の日曜日に父ちゃんのオンライン・熱血文章教室を開催いたします。締め切ったエッセイを今、読み込んでいますが、かなりいいですよ。その中から、3作品くらいをピックアップし、そこを入り口に、じっくりと文章の書き方を勉強していきましょうね。気まぐれ文章教室ですから、脱線もありつつ、楽しく文章を学んでいくような講座になれば、辻父ちゃん講師も本望です。
ご参加を希望される皆さん、こちらをクリックください。

地球カレッジ

5月29日のオランピア劇場での父ちゃんの単独ライブ、これはね、たぶん、もう生涯で一度しかできないライブだと思います。間違いなく、ぼくの歴史の中で、最高の瞬間になるはずだから、見に来てほしいです。DeepForestのゲスト出演も決まったことだし!!!!!
JALパック・パリが企画したライブ翌日のランチ会が「完売」したことを受け、参加できなかった人のために、当日、追加でランチ会がもう一回行われることになりました。まだ、先のことですが、パリ旅行を計画されている皆さん、ご参考ください。詳しくはこちらの、URLをクリックしてみてください。

5月30日 辻仁成 オランピア公演記念 『感謝!Merci!』 トーク&ランチ会 《追加設定》



そして、NHKの「パリごはん」来月、新作(秋冬編)が登場をします。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】です。ついにちくわず男の義和Dが編集に入った模様です。4か月半に及ぶ、父ちゃんのアフター子育ての記録です。引っ越しあり、三四郎との旅もあり、てんこもりですぞ。
「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分)
そして、再放送もあります。
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送



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