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退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」 Posted on 2023/01/27 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ピエールとの会議が終わった後、父ちゃんはお菓子屋のサダハルアオキまで散歩し、ライブのフライヤーを店員のゆいさんに託したのであった。
「すいません。どうも~。広報の篠崎さんからうかがっていますか?」
「あ、訊いています。フライヤー、お預かりします。でも、店舗では置けないルールがあるんですけど、いいんでしょうか?」
「知っています。大丈夫です。煮るなり焼くなりしてください」
「じゃあ、私の周りの音楽好きに配らせてもらいま~す」
やった~、ということで、アオキの新作のモンブラン・タルトを買って帰った父ちゃんであった。
地道過ぎて皆さん涙流さないでくださいね。コツコツ。
パリなんか、狭いから、こうやって地道にやっていればきっと満席になります。(?)
「地道に勝る近道はなし。by 父ちゃん」
おおお、名言が飛び出したぞ~、絶好調の父ちゃんであった。

退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」

※ 中が生クリーム!!!下がタルト!!!



ということで事務所に戻り、ピエールが飲んでいったコーヒーカップなどを片付けたところで、室内を見回してみたら、ううむ、・・・暗い、あか抜けない。
冬だから仕方がないのだけれど、事務所内があまりに辛気臭い。
銀座とかにある大正時代の建築物のような造りなので、しょうがないか。
本当ならば、この冬の間、三四郎と田舎の家で過ごしたいのだけれど、寒波襲来中な上に、ミュージック・ビデオの撮影が終わるまではパリを離れることが出来ないのであーる。取材なども始まるし・・・。
それにしても、この暗さ、明るくするにはどうしたらいいのだろう、と悩んだのだった。
今、シャンゼリゼ大通りのルイヴィトン屋上で巨大な草間彌生先生のモニュメントが、すごい存在感を放って話題になっている。
ビルを壊すゴジラのような大迫力なのである。
ああいう、アートな感覚が当事務所にも必要じゃないか、と思った父ちゃんであった。すぐ影響を受ける・・・。

退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」

とりあえず、お風呂に入り、髪の毛を洗った。
洗いざらしの髪の毛で自撮りをした父ちゃんであった。
三四郎が足元で呆れている。
実は父ちゃん、天然パーマなので、洗髪直後はパーマンみたいになるのだった。えへへ。
暗いのはいけない。芸術は爆発だぁ!!!

退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」



それにしても暗いので、なんとかしなきゃ・・・。
室内にアート感が足りないのかなぁ。
そこで、草間先生ではないが、派手な絵を描いたらどうなるだろう、と思って、マジックを取り出したぜ、絶好調父ちゃん。
どこかに絵を描きたくなってしまったのであーる。
どこだ!?
白い壁とかに現代アート、草間彌生先生のような水玉の絵を描いたら、明日、長谷っ地やスタッフさんらが驚くだろうか、と考えたら、愉快になってきた。
いや、それは悪くない・・・。
でも、草間彌生さんの真似っていうのもどうなんだろう。
いっそ、誰も絵を描きそうにない、やばい場所に描いた方がよくね? と思って見回したら、大きな窓ガラスが目に飛び込んで来た~。
おおお、ここじゃあ。
こうやって、いつも不意に画伯になってしまうのが、父ちゃんの変人なところ?
ご覧頂きたい、窓から見える冬景色があまりに暗いので、マジックで絵を描く、この人、なんとかしてくださ~い!!!

退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
さて、1月29日は、そんな画伯父ちゃんのオンライン・文章教室、今年最初の熱血授業になります。一味違った父ちゃんの気まぐれ文章教室、ぜひ、ご参加を。72時間のアーカイブ付きですから、復習もばっちりできますよー。(絵画教室も計画中!?)詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

地球カレッジ

退屈日記「草間彌生先生に続け、不意に画伯になった父ちゃんなのであった」

父ちゃん、いったい何者なんでしょうね、或る時は小説家、或る時は料理研究家、しかして、その実態は・・・、熱血歌手の父ちゃん。ということで、フランスの歴史的音楽ホール、パリ・オランピア劇場での父ちゃんの単独公演チケットは絶賛、発売中でーす。
直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。フナックでも買えます。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/

そして、新作「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分) 放送時間のお知らせです。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送
さらに、
●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん2022夏」の再放送が決まりました。
【NHK BSプレミアム】 2月12日(日)12:30〜13:29
(初回放送 2022年9月23日)
お知らせ多すぎますね・・・。メモしておいてねぇ。えへへ。



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