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退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」 Posted on 2023/03/21 辻 仁成 作家 パリ

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」

某月某日、昨日、地球カレッジ(文章教室)が終わったばかりだが、もう、次の話になっていて、文章教室の次が、料理教室になることが昨日、決定してしまったのである。
ぼくのことを知らない人は、あんた作家じゃないの、どうなってるの、と思うのだろうけれど、説明がややこしいので省略します。料理研究家です。
前回の第一回カフェ飯教室があまりに反響があって(なんと、チケットが売り切れたのだ。ぼくは料理人じゃないので、申し訳ない・・・)、実はちょっと驚いた父ちゃん本人なのであった。
アーカイブを一週間にしたこともあり、みんなレシピと動画をみながら、あの父ちゃんカフェのフルコースを作ったというのだから、さらに、びっくりぽん。
地球カレッジのツイッターを覗いたら、食レポみたいなのがあがっていた。
しかも、事務局の山下さんまでもが、家族に作ってふるまった、というのだから、驚いた。どうやら、男性(お父さん)の受講生も多かったようである。
で、どういう時に作るのかを調べたら、お客さんが来る時に、これを全部、再現して出すのだという。おお、なるほど、お客さんが来る時に、フルコース作るのか、失敗しても、レシピはあのロン毛の作家だからさ、と言えば、笑ってもらえるしね、はー、確かに、それはいい手であーる。
で、またやってほしい、という意見が相次いだ。

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」



これが、けっこう、大変なのである。
カメラマン、雇わないとならないし、何よりも、レシピを決めて、何度か練習をしないとならないのである。
練習は別に最悪しないでも作ることは出来るのだけれど、90分という制限時間の中で、全部を順序よく作るというのが大変なのである。
そのために、2度、3度、リハーサルをやって、カメラマンにも流れを掴んでもらう必要がある。
だから、本番前に、下準備をきちんと終えて、お皿の位置とか、材料とか順番通りに並べないとならないのだけれど、・・・前回、御覧になった皆さんはご承知の通り・・・、スタッフさんが遅刻してきて、大丈夫なの? と聞いたら、大丈夫ですよ、と余裕ぶっこいていたから、任せていたら、本番15分前になっても、下準備がおいつかない感じなのである。
「大丈夫じゃないんじゃないの」
と聞いたら、青筋たてて、「辻さん、ちょっと手伝ってくれます」とか逆切れして、そこから慌てたのは、何を隠そう、このぼくなのであった。
結局、本番がはじまると、フライパンは用意されてないわ、材料もカットされてないし、結局、ほとんどぼくがその場で対応をすることに・・・。
その下準備版をお願いしたスタッフさんは、じゃがいもをゆっくり剥いてほぼほぼ時間を使い切ったのであった。やれやれ。
次回は、下準備はもういいですから、カメラマン助手でもお願いします。あはは。

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」



なので、本番中、あんなに練習したのに、順番通りにはいかなかった。
一番衝撃的だったのは、ゆで卵を使う料理があって、前もって茹でておくはずだったが、そんなものはなかった。
カメラマンさんが、レシピとぼくの顔を交互に見ているので、どうしたの? と合図を送ったら、「タ・マ・ゴ・な・い」と口で合図を送って来た。
「卵がない????」
見ると、ゆで卵が、ないのである。箱に入っている卵が積んであった。
前の料理をやっている最中だったが、どっひゃあああああああ、と頭がぶっとんだ父ちゃんだった。
でも、そこは63年も生きていると人間ずうずうしくなるもので、何食わぬ顔で、ゆで卵を茹で始め、ことなきをえたのである。さすが、百戦錬磨の父ちゃん、すごいわ、と思った瞬間であった。

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」



こういう大変がてんこ盛りだったが、終わってみれば反響がよく、信じられない・・・。
そのドジをやったスタッフのお母さんから終演後、「ゆで卵を作るシーンが一番人間味がありました」というメッセージが届き、ドジをやったスタッフがさも自分の手柄のようにそのメッセージをみんなの前で読みあげるものだから、ぼくはもう二度と料理教室なんかやるものか、と思った次第なのであーる。あはは。
ところが、2年続いている地球カレッジの看板講座「エッセイ教室」もここで一度、リニューアルしたいタイミングだし、オランピア公演があるので、楽しくやれるものがいいし、いろいろと悩んで、結局、もう一度、カフェ飯教室をやろうということに・・・。
(エッセイ講座などは、それなりに読み込まないとならないので、また違った意味で準備に時間がかかるのである。どっちにしても簡単なものは無い)
ならば、楽しんで、遊び心満載でやれるものがいいだろうということになり、4月はカフェ飯教室2にしよう、ということになったのである。
今回は、ぼくが普段家で作っているカフェ飯というのが、大前提になる。
ぼくがしょっちゅう食べるようなものを皆さんにご紹介しようということになり、現在、メニューを考案中なのであった。
さて、どのような回になるのか、自分が一番不安だけれども、発表したからには全力でやり切る所存である。今度は、下準備に抜かりが無いように、スタッフの皆さん、よろしくお願いいたしますね・・・。熱血。

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」

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つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、前菜を中心にしたアペロ的メニューになるかな、と思っているところであります。メインは一品、デザートはどうしましょう、悩ましいところですが、まだ一月あるので、考えます。お楽しみに、お待ちくださいませ。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリック!!!

地球カレッジ

退屈日記「カフェ飯教室をもう一回やってみることになった。悩んだけれど」

オランピア劇場ライブの翌日、日本からお越しの皆さん、JALパックさんがパリの(父ちゃん推薦の)レストランでランチ会を開催します。父ちゃんも、ライブの翌日ですがちらっと顔を出しますので、パリ旅行を計画されてる皆さん、チェックしてみてください。

エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
席のご予約はオランピア劇場のサイトから、どうぞ。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

フランス国内、もしくは周辺国、あるいは世界各地にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。旅慣れていない皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

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自分流×帝京大学