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リサイクル日記「一日はおいしい朝ごはんからはじまる」 Posted on 2022/06/25 辻 仁成 作家 パリ

リサイクル日記「一日はおいしい朝ごはんからはじまる」

某月某日、フランスの朝ごはんと言えば、クロワッサンがもっとも一般的である。
クロワッサン、サクサクっと美味しいね。
クロワッサンに負けず、フランス人が朝、頼むのがタルティーヌだ。
なんのことはない縦に切ったバケットにバターが塗られているだけのものだけど、こっちの人たちはそれをカフェオレに浸して柔らかくしてから食べる。
これが、最初はぎょえっと訝ったが、うまい。
白ご飯に味噌汁をかけて食べるようなものだな、と渡仏したばかりの頃に思った。えへへ。
お行儀がいいかどうかは分からないが、マダムたちが本を片手に、残った手でタルティーヌをカフェオレに浸しながら食べてる姿は、実に、絵になっている。

ぼくは朝まで仕事をしたときとか、馴染めのカフェとかでコンチネンタルの朝食を頼む。
朝定食についてくるオムレツがめっちゃ美味しいのだ。
プレーン、ハム、ハム&チーズから選ぶことが出来る。
卵を3個とか4個は使って作った特大のオムレツなのである。
そういう時は、思い切ってハム&チーズを頼んでしまう。
ハムとチーズの入ったオムレツ、これだけで豪華な一品になる。
他に、ヨーグルト、オレンジジュース、カフェオレ、クロワッサン、そしてタルティーヌまでついている。
まるでホテルのような豪華な朝食なのだ。
朝からここまで豪華な朝食を食べる時は、だいたい、昼は抜くことになるけど、それはそれでもいい。
日本の旅館に泊まり、豪華な朝食を食べた日の昼間はちょっと胃を休めたりするじゃないか、そういう感じである。

リサイクル日記「一日はおいしい朝ごはんからはじまる」

※この写真の左側の、半分、縦にカットされたものがタルティーヌ。バターとジャムをぬって食べてもいいし、そのままカフェオレに浸して食べてもいいのである。笑。

リサイクル日記「一日はおいしい朝ごはんからはじまる」



最近は朝寝坊が続いているので、優雅に、カフェで朝食というわけにはいかないけれど、少し何かかじってから、仕事をしたいので、クロワッサンなどを買いに出かける。
パン屋の馴染みの店員さんと、二言、三言やりとりがあって、クロワッサンとかパンオーショコラとかを一つ買って帰る。
焼きたてのクロワッサンは美味しいね。
家に戻り、コーヒーをいれ、窓辺の陽だまりで、ギターなんかつま弾きながら、ゆっくりと朝のひと時を過ごす。
さてと、ぼくの一日はこうやって、はじまる。
どんなに忙しくても、時間がなくても、面倒くさくても、温かいコーヒーと、何かちょっと齧れるもの、笑、があると、人生にはりがでます。
一日は、当たり前だけど、朝からはじまる。いっぱいのコーヒーとクロワッサンで、はじまるのだ。
さ、今日もがんばりましょう。



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