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退屈日記「ぼくが実際にやっている免疫力アップ習慣」 Posted on 2020/04/25 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、マスクとアルコール消毒、こまめな手洗い以外でコロナウイルスに打ち勝つために、ぼくが日ごろやっている免疫力をアップさせる習慣についてちょっと紹介させてもらいたい。ただこれらは、ぼくが勝手に身体にいいと思い込んでいるものばかりなので、科学的論拠があるかないかあまりよくわからない。でも、普通に身体にはいいものなので、こういう時期であるし、気になる人がいるならば参考にしてもらえたらうれしい。笑ってスルーもいいと思う。自分なりの免疫力アップ法を考え出すヒントになってもらえるならば、本望である。

まず、毎日必ず飲むように心がけている第一位はヨーグルトだ。その中でもロシアのコーカーサス地方の伝統的な牛乳やヤギのミルクを発酵させたケフィアをぼくは選んでいる。このドリンクには乳酸菌だけじゃなく、酵母も入っている。ちょっと飲みにくいかな。特に味もなく、ツンとした香りと口に入れた時、わずかにピリッとした感じが残るのが特徴的。ケフィアは腸内のビフィズス菌を増やし腸内環境を整え、免疫力をアップさせると言われている。アレルギー抑制の効果などもあるようだ。また、大腸菌など有害な菌への抗菌効果もあったり、ロシアでは潰瘍の治療にも使われているというのだから、胃潰瘍気味のぼくには最適である。フランスでは結構浸透した人気の健康食品で、どこのスーパーでも買うことが出来る。日本だとどうだろう、しかし、ケフィアじゃなくても、ヨーグルトでいい。※調べたら、日本ではケフィアヨーグルトは売ってないけど、ケフィアの種菌が販売されていた。YouTubeなどにケフィアヨーグルトの作り方動画などもあった。

退屈日記「ぼくが実際にやっている免疫力アップ習慣」



次は、にんじんだ。ぼくにとってにんじんも免疫力アップ作戦に欠かせない重要な食材となっている。うちの冷蔵庫の野菜室はにんじんだらけ!にんじんがどんなに凄い野菜か、ちょっと列記しみよう。これが思わず、へーっとなるくらい万能なのである。

まず、緑黄色野菜の中でもニンジンは100gあたり8600μgのβカロチンを含んでいる。ほうれん草、かぼちゃの2倍。βカロチンは強い抗酸化力を持っている栄養素の一つだ。老化、動脈硬化や癌の予防に効くとされている。βカロチンよりも効果のあるαカロチンも含まれているのだ。

続いて、ルテインも多く含まれているので目にもいい。パソコンのブルーライトから目を守る作用がルテインにはある。

さらに血液を固まりにくくする作用のあるクマリンも含まれている。血液、リンパ液の循環を改善してくれるようだ。血栓予防効果も期待できそうである。

その上、ペクチンなどの水溶性食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、善玉菌の増殖活性化を促す。

最後に、βカロチンは体内でビタミンAに変化するので、皮膚や粘膜を健やかに保つ効果があり、皮膚の新陳代謝を高め、結局はお肌のアンチエイジング効果もあるのだ。ぼくが調べただけでも、こんなにすごい野菜なのである。



人間は酸素を取り入れてエネルギーを作っているが、その過程で一部の酸素が、酸化力の強い活性酸素に変化してしまう。これが増えすぎると血管や細胞を傷つけ、動脈硬化など生活習慣病を引き起こすと言われている。これを抑える働きが、話題の「抗酸化作用」だ。ニンジンは野菜の中でも抜群にこの抗酸化作用の力が強いのである。

癌を宣告されたぼくの知り合いがにんじんには免疫力を高める効果あると信じて、ニンジンを有効的に摂取するようになった。有機ニンジンをジュースにして飲むと、自然治癒力が高まると彼は信じた。彼曰く、癌という病を「栄養と代謝の障害」ととらえ、上記の効能からニンジンを食べることで自然治癒力を高めるのだ、ということであった。彼はすでに5年以上、有機にんじんのジュースを毎日摂取し続けている。もちろん、元気に生き続けている。でも、科学的な論拠はわからない。一度、このことを新聞で書いたら、ボツにされた。その程度のものかもしれない。笑。しかし同じ分、信じる要素もあると思った。そもそも有機のニンジンを摂取するだけだから、身体に悪いはずはないじゃないか。ジュースにするときは低速回転のジューサーを使っている。(写真、後方の背の高いジューサーである)高速回転のジューサーだと熱が生まれてにんじんの大事な栄養素を破壊してしまうからである。本当は、手ですった方がいいらしいが、大変なのでぼくは彼の受け売りで低速回転のジューサーを探した。

このほかには納豆、チーズ、それから殺菌作用のある日本茶を摂取するように心がけているけれど、一番大事なことは編集部がまとめた免疫特集にも書かれている通り、ストレスをなるべく感じない生活をおくることだとか。なかなかここまで気が滅入るニュースが続く世の中になるとそうもいかない。しかし、ぼくはできるだけ日頃から笑うように心がけている。自分からジョークを飛ばし、息子を毎日笑わせている。心の底から笑うことでなんとなく免疫力がアップしている気がしてならない。50歳を過ぎると極端に免疫力が下がる、らしい(ぼくは上がったけど)。これに打ち勝つために、出来ることを自分なりに探して、試している。やらないでストレスを貯めていくより、やった方がいい。自分の身体は自分で守るしかない。自分が思う身体にいいこと、免疫が付きそうなことでいいと思う。コロナに対して、まだ特効薬もワクチンもないのだから、やらんよりはいいか、でいいんじゃないの?ともかく、誰か一人でも、参考になれば幸いである。

追記。ニンジンにはアスコルキナーゼという酵素が含まれており、これがビタミンCを破壊するので他の野菜や果物と一緒にジュースにはしてはいけない。ニンジン食事法などの書物はかなり出回っているので、皆様独自の健康法をそこから導きだされるのがよろしいかもしれない。



退屈日記「ぼくが実際にやっている免疫力アップ習慣」

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