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リサイクル日記「自分が大切にされているかわからないあなたへの回答」 Posted on 2022/07/29 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ぼくの知り合いから、自分が相手にどう思われているのか、大切にされてないんじゃないか、とっても悩んでいるのです、という電話を貰った。詳しいことはここには書けないけど、以下が、ぼくがその人に戻したぼくの考えである。もしかしたら、参考になる人もいるかな、と思って・・・。

リサイクル日記「自分が大切にされているかわからないあなたへの回答」



「自分はどれだけ信頼されているのか。自分はどれだけ必要とされているのか。自分はどれだけ大切にされているのか。自分はどれだけの敬意を向けられているのか。これらは他人と向き合う時の大きなバロメーターになる。信頼も、必要も、大切も、敬意もない相手ならば、それはいいパートナーではない。いや、悪い人間関係だと思うべきだろう。もしも、あなたのパートナーがあなたのことを、どこかで小ばかにし、大切にしないのであれば、その人の近くにいる必要があるだろうか? ぼくの対人間との関係基準はすべてそこに集約される。敬意を持たれているのか、そうじゃないのか、で傍にいるか、離れるか、を決めればいい。

リサイクル日記「自分が大切にされているかわからないあなたへの回答」



仕事の上でも、恋愛でも、家族関係の中であっても、だいたい同じだ。自分の上司が、もしくは同僚でもいいし、恋人も一緒だけど、どこか大なり小なりあなたに対して尊敬があるかどうかは、とっても重要で、これやっといてね、と何かを放り投げられるのか、これ任せたよ、と信頼されて依頼されるかは見極める必要がある。もちろん、信頼を勝ち取るためにあなたはプライドを持って仕事や人間関係に向き合わないとならないのだけど、自分がベストを尽くしても、その姿勢を評価せず、ないがしろにするばかりか、鼻で笑うような態度をとられたら、いくら上司でも、目上の人でも、愛する人でも、その関係が続いていくと、あなた自身の人間性が壊れてしまうことになるので、その場合は、そこにいるべきかどうかを真剣に、慎重に、考えた方がいい。結論は自分で決めないとならないけれど、自分を大事にしたらいいと思うよ。ぼくは、自分をまず大事に考え、そして、自分を大事にしてくれる人の傍で仕事なら働き、恋愛なら寄りそうのがいいように思う。自分をリスペクトしていない人だとわかったのに、こちらがその人に尽くすのは、自分のためにならないのでやめなさい。仕事なら、心をオフにしてでも最悪はできるけど、恋愛はそうはいかないよね。なにより、自分を大事にしてください」

リサイクル日記「自分が大切にされているかわからないあなたへの回答」



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