JINSEI STORIES

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」 Posted on 2020/10/20 辻 仁成 作家 パリ

シングルファザーになりたての頃、息子のために毎日、お弁当を作っていた。
彼が10歳の時からはじまり、中学二年生いっぱいまで続いたので、多分、1000箱は超えている。
学校に持っていくためのお弁当じゃない。
たんなる朝ごはんである。
なんか、給食がまずいというので、そうか、父ちゃんの出番だな、と頑張ってた。
そうおい口実だけど、実は父子の絆を強くするための、作戦…。
二人きりになった息子の寂しさを言葉じゃなく、料理で癒し、応援したかった。
なので、思えばあの日から、父ちゃんはお弁当作家になったのだ。



今日は、このパソコンの中に保存していたお弁当軍団の中から、思い出深いものを選んで、展示したい。
題して、父ちゃんのお弁当博物館、である。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

高菜ライスが息子の好物で、福岡の実家に戻ると高菜ライスの話ししかしない。そこで、せがまれて作った。高菜はパリの中華食材屋で手に入るのだ。明太子と卵焼きを載せて。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

薄いとんかつのサンドイッチだけど、ようは前日の残り物を工夫してパンで挟んだだけの…、あ、でも、パンはブリオッシュなので、甘くて子供にはたまらない。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

彩ってのは子供にとってアートの感覚を養う上でとっても大事な要素で、時々、見た目に華やかな弁当を作っていた。だいたい、そういう時は息子君、元気がない時なんだよね、…。



GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

鮭弁を作ろうと思ったのだけど、父ちゃんのスケールがでかすぎて、笑、でも、このくらい豪快だとでっかい子が育つよ。ガーリックのクリームソースを添えて。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

普通のハムサンドなんだけど、弁当箱に詰めると、なんか違った美味しさが演出されるでしょ? 野菜とかこう見えても結構入ってて。でも、うちのルールは残さず食べる、だから、…。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

ドライカレーにカレーをかけたお弁当ね。そのまんまなんですけど、これ、うまいんだよね。二重のおいしさ炸裂。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

焼きそばだって弁当箱につめると風格が出るでしょ? 絹さやと揚げ豆腐が主張しているけど、あくまでも、メインは焼きそばなんだよ。



GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

これね、覚えてる。苦肉の策で作ったお弁当で、こういう遊び心のあるものは土曜日とか日曜日の週末弁当に多いです。よく見て、下に引いてあるのはイタリアンロースハムなんだよね。えへへ。これ、どうせいっちゅうねん。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

ちょっとジジ臭いお弁当ですけど、これもようは前日の残り物を詰めたもので、エスカベッシュのお弁当ですね。ちょっと酸っぱい酢漬けのお魚、美味しいですよ。地味弁ですけど…。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

でた、これが、本物のドライ弁当です。下は白ご飯で、上にひき肉のカレー炒めが載っていて、実は甘いんです。この頃、与えすぎで、息子くん肥ってました。父ちゃんのせいなんだけど、美味しいからしょうがないですね。お弁当って毎日だから悩んでる暇はなし。どんどん、作って、どんどん食え~。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

ぼくね、巻きずし作るの大好きで、たまに弁当箱に忍ばせておくと、息子が蓋を開けて、わああああ、と驚く声、笑顔がこぼれてました。特に、父ちゃんの太巻き、美味いんです。うっすらとマヨネーズ入れてますから、…。えへへ、マヨラーです。



GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

名古屋のね、天むすが食べたくなって作ったんだけど、ちょっとダイナミックですごいでしょ? 子供はこういう遊び心、大好き!

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

シンプルイズベストですね。見た目はこんな感じですけど、中にマヨネーズが入っているので、ジューシーで柔らかいんです、実際は!

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

これ、サーディンなんですよ。ひらいてかば焼きにするんです。鰻のかば焼きが食べたい時に作るんだけど、鰻には敵いません。でも、かば焼きにすることでやっぱ、美味しいですね。あまだれ、最高っす。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

あはは、これは見なかったことにしてください。このソーセージ、反則だね。でも、子供受けは一番。



GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

マルシェで買ったお魚はその日食べない場合、すぐに味噌漬けとか、麹に漬けるんだけど、やっぱ和食弁当はこうでなくっちゃね。蓮根なんてなかなか手に入らないんだよ。中華街までわざわざ買いに行くのです。父ちゃんの息子に和食を忘れてほしくないという一心ですね。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

お弁当にはこうやって味噌汁とか豚汁を付けることが多いです。和のバランスがとっても大事なので、息子はいまだに味噌汁青年なんですよ。

GOTOキッチン「父ちゃんが息子のために作ったお弁当1000箱」

10歳の時の息子とチャチャ君です。いつもお弁当を食べる時、隣にこの子がいました。今もまだ、いますよ、我が家に。もう、相当、ぼろぼろなんだけど、大事な家族ですからね、家族大事だね。
な、ちゃちゃ。

自分流×帝京大学
地球カレッジ