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滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」 Posted on 2019/06/28 辻 仁成 作家 パリ

 
某月某日、実はチョコ好きなんだけど、特に好きなのがミルクチョコである。チョコと言えば、メゾン・ド・ショコラ、アラン・デュカス、ジャック・ジュナン、などが有名だけど、一粒で200円前後はしてしまう。200円あれば日本ではコンビニで美味しい板チョコが一枚買えてしまう。しかも、一粒200円の高級チョコって、めっちゃうまいんだけど、高級ワインと一緒で、高級和牛と一緒で、毎日食べたいとはならない、僕の場合。でも、朝起きて、仕事はじめにコーヒーとチョコレートで気分をあげるのが僕の日課なので、この毎朝ちょっと齧れる板チョコというのに結構命をかけている。安くてうまくて毎日食べても胃にもたれない濃厚過ぎない美味しいミルク板チョコというのを常日頃僕は買いだめしている。今日、選んだのはこの五枚である。

もし、見つけたらためらわずに買うのはエクレール・ド・ジェニーというエクレア専門店が出している板チョコ、おススメは二種あって、イラン産のピスタチオのプラリネのホワイトチョコレート(あ、ミルクじゃなかった、いきなり)とヘーゼルナッツのプラリネのミルクチョコレート。この二つはスーパーで買える域をはるかに超えている。モノプリというスーパーで売っているので、パリに旅行に行くことがあればゲットしなさい、と友人たちには教えている。一つ、4ユーロちょっとかな。
 

滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」

滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」

次にこれはフランプリというスーパーなどで買えるスイスのミルクチョコレートだけど、これが美味い!まず、コーヒーにあう。どっちかというとイタリアのエスプレッソなんかと相性がいい。濃いめのカフェでこれを溶かすと口の中が別世界!!! スイスのミルクチョコレートは個人的にはトップだと思う。
 

滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」

そして、残りの二つはベルギーの大手チョコレート会社、コートドールが出している、塩粒をまぶしたアーモンド・ミルクチョコとカリカリサクサクのヘーゼルナッツ(ノアゼット)ミルクチョコなんだけど、これはどこでも本当に、その辺のスーパーなら手軽に手に入る庶民的なチョコ。とはいっても、フランスは日本より物価がとっても高いので、3ユーロくらいする。上の三つに比べるとちょっと安くて手に入りやすい。ベルギーのミルクチョコは有名だけど、高級品というよりとっても大衆的なチョコだと思う。ベルギーらしいと言えばベルギーらしい。スイスのミルクチョコの方が深みがあって個人的には好きだ。ああ、でも、ベルギーの人は大好きなんだけど、でも、嘘は付けないから、スイスのミルクチョコ一票。フランスのミルクチョコはその中間という感じで、でも、ジャンポール・エヴァンのミルク板チョコとか、絶品だった。(今もあるかどうかわからないけど)
 

滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」

滞仏日記「パリのスーパーで買える板チョコ5選」

僕は、朝食は食べない。その代わりに、コーヒーとチョコレートは欠かさない。なんとなく、チョコを齧ると頭の回転がよくなる気がする。気がするだけだと思うけど、朝起きて、前日の出来事を思い出しながらこの日記に向かう時に、コーヒーとチョコレートが僕に想像の速度を与えてくれる。一日は頭をフル回転させてから動き出す。コーヒーとチョコはその刺激剤ということになる。生きていく上での小さな贅沢なのである。