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滞仏日記「ラグビーの日本代表に見る国際色」 Posted on 2019/10/14 辻 仁成 作家 パリ

 
某月某日、日本対スコットランドのラグビーの試合をテレビで観戦した。まさか、あのスコットランドに日本が勝つだなんて!!! 実はぼくの父親が大のラグビー好きだったので、ぼくは小さな頃からラグビーを観て育った。くわえて、フランスはラグビー大国で、サッカーに負けないほどラグビーファンが多い。ラグビーの試合がある日のカフェはめっちゃ混雑している。フランスの友達ジェローム(大のラグビー好きなギタリスト)から「日本勝ったじゃん、すげ~。歴史的な快挙だよ」とメールが届いた。鼻が高かった。でも、ジェロームは「日本のチームも肌の色の違う選手が多いね。フランスのサッカーチームと一緒だ」と付け足した。

実は、これはちょっと事情が違う。サッカーとラグビーではこの点が異っている。フランスの場合、確かにほとんどの選手のオリジンがアフリカ系、アラブ系選手であり、白人の選手はかなり少ない。けれども、彼らは全員がフランス人なのだ。フランス国籍を持っている。フランス人じゃないと代表にはなれない。

前のサッカーのワールドカップの時に、何も勉強せずに「フランス人いないじゃん」と言ったら、息子が血相を変えて、パパはフランスを侮辱している、と怒った。「彼らはみんなフランス人だ。フランスは共和国なんだよ」と。なるほど、肌の色で国籍を判断した自分を恥じた。

ラグビーの場合は国籍が日本人じゃなくても、両親及び、祖父母のうち一人が日本出身で(血縁)があれば代表になることが出来る。そればかりか、日本に3年以上住んでいる地縁があって、なおかつ他の国の代表歴がなければ可能だ。この緩やかな枠組みが現在の日本代表を作っているのだと思う。とっても国際的なことだと気づかされる。

欧州の場合、多くの人がいくつものパスポートを持っており、地続きで、いわゆる多重国籍者が多い。ぼくの知り合いには3つ、4つパスポートを持っている人がざらにいる。二重国籍を認めていない、海に囲まれた日本とは異なる。英国ではじまったラグビーには、国籍を重視するよりも、その国のカラーを大事にしている緩やかな国際的感覚が、サッカーやバレーボールよりも強いのであろう。

今日の試合を通してぼくが感じたのは、日本代表チームはとっても日本的なラグビーセンスを持っている。子供の頃ファンだった松尾さん、平尾さんら日本ラグビーを創生してこられたラガーマンたちの遺伝子が踏襲されているだろうし、日本を勝利へと導いたジェイミー・ジョセフさんら歴代コーチの国際的視野、感覚、経験、英知によるところも大きい。その上、邪心のないチームワークがあったからこその勝利なのであろう。

文句なしに素晴らしい代表だと思う。20日の南アフリカとの試合も十分に期待できると思った。その日はもうフランスに戻っているので、あえて、近くのカフェに行き、ほっぺに日の丸でもペイントして息子と一緒に応援したいと思う。
 

滞仏日記「ラグビーの日本代表に見る国際色」