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パリ最新情報「不意にくる、新型コロナ、重症化へのシグナル」 Posted on 2020/04/24 Design Stories  

フランスでも、自宅で経過観察をしていたのに、患者さんの容体が急変し、亡くなられるケースが多くあります。そこで、フランスでは早い段階から、医師との遠隔診察が出来る仕組みが整えられました。重症と判断されたら、すぐに救急車が患者を迎えに行く体制が整っています。急変からわずか20分でICUに入らないとならないほどに悪化するケースも少なくありません。不意に訪れるシグナルは様々ですが、見逃さないことが重要となります。

新型コロナ感染症の主な症状は、発熱、喉の痛み、咳、倦怠感などと言われていますが、感染者が増えるにつれて、頭痛、目の痛み、鼻水、脱力感、疲労感、筋肉痛、吐き気、腹痛、嘔吐、下痢、臭覚、味覚の喪失、結膜炎など、様々な症状が次々と報告されています。

新型コロナ感染症の怖いところは、感染者の80%は軽度であると言われているものの、その軽度の症状から、深刻な症状へと進行する可能性があるということ。もし、自分に新型コロナ感染の疑いがあれば、自宅療養中、特に一人暮らしの場合はしっかり自分の症状を観察しておくことが大切になります。しかし、悪化するかどうかを見分けるにはどうすればいいのでしょうか?そのシグナルはあるのでしょうか?

先日、俳優の岡江久美子さんが新型コロナ肺炎でお亡くなりになられました。志村けんさんもそうでしたが、陽性とわかってから数日後に容体が急変するケースがあります。また、重症化しだしたら、そこから一気に容体が変わる人もいます。



ストラスブール大学病院の感染症学者ステファン・ガイエ博士によると、フランスでは入院している患者(=重症患者)は全体の感染者の約20%にあたり、そのうち5%の患者が集中治療室での入院が必要となっているようです。中国の発表では、最初の症状が現れてから悪化し入院するまでに平均1週間が経過しているとされており、発症から7〜10日目が重症化への分かれ道となっているようです。

重症化の典型的な症状としては、呼吸困難や咳など呼吸器の異常で、WHOは「発症した人の約6人に1人が重症化する可能性。熱がある人、咳がある人、呼吸が苦しい人は医師に相談を」と警告しています。しかし、フランスでは、「重症」化するまで救急はなかなか迎えにきてはくれません。一体、どのような状態を「重症」と呼ぶのでしょうか。それにはいくつかのシグナルがあるようです。

パリ最新情報「不意にくる、新型コロナ、重症化へのシグナル」

ガイエ博士が指摘するシグナルとは、

-呼吸困難
呼吸困難は、この感染症で一番心配しなければならない症状の一つでしょう。激しい息切れや違和感のある浅い呼吸、普段は無意識に行なっている呼吸を意識的に努力しなければいけなくなれば、「呼吸困難」と言えるでしょう。新型コロナ感染者のうち30%の患者が中度の呼吸困難を経験しており、呼吸困難が悪化してきた場合は、必ず救急を呼ばなければなりません。では、どれくらいの状態が「悪化」なのかと言うと、「走っている時の息苦しさが続く場合」なのだそうです。感染者の多いパリでは救急に電話してもなかなか繋がらず、繋がっても「数字が5まで数えられなくなったらもう一度電話する」ように指示されるようで、その頃にはおそらく、話すのも困難な状態となっているでしょう。一人暮らしの場合は注意が必要です。

-血圧の低下と頻脈
血圧の低下(フランス人の数値で100〜90以下(普段の数値による)フランス人の標準血圧は140/90、日本人は129/84)、腹部や下半身に大理石状の潮紅(リベド)ができたり、頻脈(1分間に85以上)がある場合も十分に警戒する必要があるようです。科学者によると、新型コロナは慢性心臓病の患者が合併症を引き起こすだけでなく、全く疾患のない患者にも心臓障害を引き起こす可能性があるとされています。(動脈硬化から心筋梗塞、動脈炎、狭心症、血栓症、心不全、不整脈など)

-チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる状態。血液中の酸素濃度が低下し、爪先や唇周辺にあられやすい)
“唇と爪のチアノーゼ “にも気をつけなければなりません。チアノーゼは指や顔などの局部のみに現れることもあれば、臓器全体に影響を及ぼすこともあるとのこと。

-発熱
新型コロナの一般的な症状で、90%の患者が発熱を経験しているようです。安静にしているのに37.5度以上の熱が下がらない場合は注意する必要があります。

パリ最新情報「不意にくる、新型コロナ、重症化へのシグナル」

これらのいくつかのシグナルが重なれば、重症化している可能性が高いと言えるでしょう。フランスのある救急医が、朝、病院に運ばれてきた時は歩けていたのに、夕方には集中治療室に入らなければならないほど症状が進行してしまう患者がたくさんいる。だからこの病気は本当に怖いのだ、とテレビで訴えていました。たった20分で容体が急変することもあるようです。

また、新型コロナ感染症は、当初、若者にはあまり影響がないと発表されており、年配者と慢性疾患のある人が気をつけなければならない病気、と受け捉えられてきましたが、若者の中にも重症化し、集中治療室に入る人が結構います。中には急に重症化が進み、亡くなってしまう例も報告されていて、科学者によると、その原因は免疫システムにあると言われています。免疫は低下しているとウイルスに感染しやすく、深刻な合併症を引き起こす可能性が高くなりますが、健康な人でも影響を受ける可能性が十分にあるというのです。どういうことかと言うと、若くて健康な人の中にある免疫システムがウイルスの侵入で過剰に反応し、肺や他の臓器が大きな炎症を引き起こしてしまうということ、なのです。問題となるのは、免疫系の老化や弱体化ではなく、免疫システムがうまく機能しすぎてしまうことだったのです。自分には影響が少ないと思っていた若者が、あまり注意を払わずに高用量のウイルスにさらされた場合、このような症状を引き起こす可能性があると考えられています。

経過観察をしている軽症の時に、実は不意に重症化するか可能性があり、そこが新型コロナの怖いところなのです。異変に気が付いたら、早め早めに自分の症状を医師に伝えることが大事です。軽症で安定していたのに、急変というのがフランスでも多くあり、経過観察をしている方は、とくに、注意が必要となります。

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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