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パリ最新情報「テロとコロナの板挟みの中、明日から学校再開のフランス」 Posted on 2020/11/01 Design Stories  

いよいよ、秋のバカンスが終わり、明日から一斉に子供たちの学校が再開する。
2週間前、このバカンスが始まる前日に、中学校教師、サミュエル・パティ氏を狙った残虐な殺害テロが起きたのは記憶に新しい。
その後、トルコのエルドワン大統領が風刺画をやめないと表明したマクロン大統領を「精神治療をした方が良い」などと発言し、それが引き金となって、フランスとイスラム教国は風刺画をめぐって対立が深まった。エジプトやパキスタン、マレーシアの首脳らが次々、マクロン大統領への非難を開始した。
アラブ諸国ではマクロン大統領の写真が焼かれ、領事館などへの攻撃を含め、フランス製品のボイコット運動などが広がることになる。

パリ最新情報「テロとコロナの板挟みの中、明日から学校再開のフランス」



イスラム世界との対立を深める一方で、フランスでは新型コロナの感染が急速に拡大している。
病院は重症化するコロナ患者で3月4月と同じような緊迫した状況が続き、10月29日より12月1日まで全土再ロックダウンが発令された。
2度目の全土ロックダウンにフランス国民が動揺する中、今度はニースの教会でまたしても斬首テロが起き、さらにはリオン市でギリシャ正教会の襲撃された。
関連するテロ行為が相次いでいる。

これに対し、マクロン大統領は中東カタールの衛星テレビ局アルジャジーラのインタビューを受け「風刺画がイスラム教徒に与えたショックを理解するが、それがフランス政府の仕業だという主張は嘘だ」と反論し、フランスは今後もあらゆる表現(書くこと、描くこと、発言)の自由を守ると力強く語った。
大統領は「宗教を持ち出しその宗教観を利用して殺人を正当化する人たちがいる」と強く主張している。

パリ最新情報「テロとコロナの板挟みの中、明日から学校再開のフランス」

一方で、今後、国内はもとより、中東諸国で展開するフランス企業やフランス人従業員がテロの対象になる可能性が高くなった。
同時に、今以上の緊張が高まることが予想され、経済への影響も計り知れないものになるだろう。
まさに、フランスは今、踏んだり蹴ったり、の状況と言える。

そのような政治的状況の中、春に続き、第二次のロックダウンがスタートしたが、今回は1回目のロックダウンよりソフトなロックダウンと言われている。
仕事は続行可能、学校も閉鎖しないという緩やかな基準が特徴と言える。
街の雰囲気も3月4月のような緊迫した様子はなく、一度経験したことにより慣れもあるのだろう、当初のような緊迫した空気はない。

しかし、前回は、国民の90%が支持したロックダウンだったのに対し、今回のロックダウンの支持率は67%と、政府への信頼が大幅に低下していることもうかがえる。
レストラン、バー、生活必需品以外の商店は閉鎖という措置に、商店を営む人たちは不満を爆発させており、政府の判断に逆らい、市長が商店の営業を許可する地域も出ている。

生活必需品を販売する大手スーパーは営業許可が出ている。
しかし、そこには必需品でない玩具や本なども売られている。小さな店舗は営業が認められていないこともあり、不公平だという声がくすぶる。
玩具や書店小売り業界がこれに強く反発をした。
ヨーロッパ諸国で夜間禁止令やロックダウンに対する不満が爆発し始めており、イタリアやドイツのように、今後、暴動へと発展する可能性も否めない。



そのような状況下で、いよいよ明日から始まる新学期(約1200万人が登校する)に全フランス国民が注目している。
まず、明日、全土の中学校と高校で斬首テロの犠牲者であるサミュエル・パティ氏の追悼行事(11時より一斉黙祷)が行われることになっている。
各クラスで今回の事件の根本となった「表現の自由」についての授業(道徳公民)が行われた後、追悼行事が行われる。

さらに、特筆すべきは、これまで11歳以下のこどもたちはマスクが義務化されていなかったが、これが6歳以上になり、小学校以上の子供たちがマスクを着け授業をすることになった。
また、テロの警戒レベルも最大になっており、学校周辺や宗教施設周辺で集まることは禁止となった。
子供たちは学校と家をただひたすら往復する1ヶ月のはじまりである。
学校と巻き込んだテロ、そしてコロナ感染爆発の中での学校再開。
この11月はフランスの学校から目が離せない季節の始まりである。

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