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パリ最新情報「世界を騒がす頑固オヤジたち」 Posted on 2020/05/23 Design Stories  

フランス国内で、パリvsマルセイユの舌戦がヒートアップしている。パリーマルセイユといえば、サッカーにおいても超ライバル同士の関係だが、そのパリーマルセイユの熱き戦いが医学会でも繰り広げられている。

ヒドロキシクロロキンと抗生物質アズシロマイシンの組み合わせが新型コロナ感染症を制す、と、独自の見解を突き進んできたマルセイユのラウルト博士。しかし先日、パリの医師たちは「小さな治験結果でヒドロキシクロロキンが新型コロナ感染症の治療薬になるのでは、と世界を賑わせたが、この結果は人工呼吸器が必要な入院患者には当てはまらず、副作用にも注意が必要。よってヒドロキシクロロキンは新型コロナに有効とはいえない」とまとめ、ラウルト博士を遠回しに斬り落とした。初期の段階では感染初期の段階では体内のコロナウイルスが減少することがあったようだが、入院が必要な重症化した患者に対しての投与では、何も投与しない場合と入院必要日数や死亡率に違いが見られなかったということのようだ。

パリ最新情報「世界を騒がす頑固オヤジたち」




すると、その2日後、マルセイユのラウルト博士が「パリの病院が新型コロナ対策に失敗し、マルセイユと比べると5倍の死者を出した」という挑発的な動画を配信した。(ラウルト博士は動画配信が好きである)ラウルト博士は、住人100万人に対しての死者がパリ近郊で756人、マルセイユでは140人だった。この差は大きい。その地域の人たちが特別高齢であったわけではなく、これはその地域の病院の対応能力に問題があったのでは」と口撃。もちろん、パリの医師たちは「人口密度の問題や、生活スタイルの違いなど、いろいろなファクターが加わるため、この手の計算は非常に難しく、博士ともあろう人物がこのような誤った発表をするのはとても無責任なことだ」と激怒した。フランスには「迅速と性急を混同するな」という諺があるが、今まさにその状態にある。「ラウルト博士は微生物学の博士であり、感染症の博士ではい。そもそも専門が違う」と、付け加え、ラウルト博士の発言を否定した。

一方、アメリカではドナルド・トランプ大統領が「10日ほど前からヒドロキシクロロキンを服用している」と発言したことが話題になっていた。どうやら、コロナ予防のために毎日1錠、ヒドロキシクロロキンを服用しているらしい。ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領もクロロキン信仰者であるが、ボルソナロ大統領は「右翼はクロロキンを服用し、左翼はTubaina(安いソフトドリンク)を飲む」などと発言し、欧州でクロロキンが新型コロナの治療薬としての有効性に否定的になりつつあるなか、ブラジルはクロロキンを重症患者だけでなく発症した感染者全員に服用するという新ガイドラインを発表したという。
アメリカとブラジルの両大統領は大統領選を控えており、新型コロナの早い収束を急いでいるようだ。ワクチンに時間がかかるなら治療薬でどうにかさせよう、そのような焦りが感じられる。

どちらにしても、このコロナ禍で世界の頑固オヤジが出揃い、日々話題を振りまいている。

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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