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パリ最新情報「テロの後、英雄になりたかった青年の悲劇」 Posted on 2020/09/30 Design Stories  

25日に速報をお届けしたパリのテロ、犯人は捕まりましたが、逮捕された2人のうち、一人は犯人ではなく、犯人を捕まえようとしたアルジェリア人の若者、ユセフ(33)だったのです。彼はたまたま、その日、事故現場にいました。現場は連続テロが起こった風刺画雑誌シャルリーエブド社の旧社屋の近くでした。若いパキスタン系のテロリストはそこを襲撃するためにやってきたのですが、ぜんぜん関係ない編集プロダクションの二人を襲撃しました。その時、熱血青年のユセフが家から出て、路駐していた自分の車に乗り込もうとしていたのです。不意に女性の叫び声、続いて男の「ノーノーノー」という悲鳴が…。ただ事ではないと思ったユセフ君、果敢にも犯人を追いかけ始めることになります。凄いです。まるで映画みたいに、彼は道を斜めに横断し、人々や車を避け、前を逃げる犯人を追いかけました。

犯人はリシャール・ルノワー駅へと降りていったので、ユセフ君もそこへ飛び込みます。ところが犯人はホームで、不意に変貌するのです。まるで普通に電車を待つ青年のような感じに…、慌てる様子もありません。肩で息をつきながら、ユセフは男に近づき、呼び止めました。「お前は何したんだ」と言ったら、犯人は素早くカッターを取り出し、ユセフを威嚇したのです。犯人は一言を喋らなかった、と言います。危険を感じたユセフはそれ以上は公道を起こしませんでした。電車がホームに滑り込み、犯人はカッターで威嚇しながら電車に乗り込んでいってしまうのです。

ユセフは犯人を捕まえようとしたけれど、出来ませんでした。するとそこに警察が来たのです。ユセフは「バスティーユの方に犯人は行った」と告げ、その場を離れることになります。しかし、熱血ユセフは考えました。
「犯人を知ってるのは自分だけだ、じゃあ、証言をしなければ」
ということになり、彼は一度自分の車に戻り、その足で警察に出頭をすることになるのです。ところが…。

警察署にのこのこ証言にやってきたユセフはその場で逮捕されてしまいました。布袋を頭から被せられ尋問されたのです。混乱するユセフ。自分が何をやったというのだ、と叫ぶのですが、聞き入れてもらえません。なぜなら、地下鉄の駅での犯人とのやり取りが構内のビデオに残されていたからです。警察はその写真をもとに、現場周辺で聞き取りをしたところ、ユセフの家の管理人が、こいつ、知ってるよ、と言い出します。犯人はパキスタン系、ユセフはアルジェリア系、肌の色が似ていたこともあり、共犯者として、報道されてしまったのです。

しかし、警察は結局、ユセフは犯人じゃなく、英雄になりたかった青年だった、と結論付けました。彼の話しに嘘がないことが弁護士や周囲の人々の証言で明らかになるからです。そして、その夜に釈放されました。
ユセフはメディアの取材でこう言いました。
「ぼくは英雄になりたかった。でも、残念なことに牢屋に入れられてしまったんだ」

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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