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パリ最新情報2、「仏保健大臣、生放送で2時間メモ見ず国民に説明する」 Posted on 2020/03/04 Design Stories  

フランス国営放送 FRANCE 2は昨夜、生放送で『コロナウイルス:心配しなければいけないのか?』という特番を組んだ。並んだのは、感染症センター所長、感染症専門医、SAMU(院外救急医療)医、ウイルス専門医、一般医、パスツール研究所所長、薬剤師、そして、連帯、保健省オリヴィエ・ヴェラン大臣だった。

パリ最新情報2、「仏保健大臣、生放送で2時間メモ見ず国民に説明する」

大臣は冒頭で「ゴールデンタイムなので、より多くの国民にコロナウイルスについて知ってもらう事ができる。この機会を与えてくれてありがとうございます」と封切り、「フランスはこれまでも先手の対応をしてきたが、パニックにならない、恐れない、そのためにはコロナウイルスについて知ること、理解することが何より大切である」と続けた。

国民からの質問に専門家たちが順に答えていくという形で番組は進むことになるのだが、オリヴィエ・ヴェラン大臣はコロナウイルスに対する政府の対応など、投げかけられた質問に司会者や専門家の目を見ながら、確実に答えを出し、結局、2時間びっちり生放送番組に出演した。

つい最近、日本の首相や厚労省のお粗末な記者会見について話題になったが、この番組で、フランスの政治家の討論スキルの高さを改めて見せつけられた。フランスの学校では小さい頃から議論の訓練をさせるが、政治家に限らずグランゼコール(高等専門学校)の学生は一つのお題について20分以上話せて当たり前だという。

ちなみに、このオリヴィエ・ヴェラン大臣はアニエス・ビュザン元大臣から2020年2月16日、コロナウイルスが流行り始めた最中に大臣のバトンを受け取ったばかり。現在39歳でありながら、神経科医であり、連帯・保健大臣である。日本政府のコロナウイルスに対する知識の乏しさと、後手後手で唐突な対応を見ていると、専門家から政治家を選ぶことの大切さがよくわかる。これはフランスだけに限らない。世界では特に、台湾とシンガポールの首相の評価が高いが、どちらも大臣には専門家が集まっていて、かなり早い時点からコロナウイルスに対する措置を決断、国民を安心させる対策をとってきている。

パリ最新情報2、「仏保健大臣、生放送で2時間メモ見ず国民に説明する」



さて、この生放送は3時間ほど続いたのだが、そこで投げかけられた質問により、わかったことをまとめておきたい。

ー 妊婦がコロナウイルスに感染した場合、胎児にうつるのか。

胎内感染はしない。

ー 乳児には?

不確か。

ー 手や物に付着したウイルスはどれくらい感染するのか。

温度と湿度によって前後するが、20−25℃の環境で2、3時間であろう。ちなみに、ウイルスが死滅する温度は56℃。(ウイルスが外気温、室温で56℃に晒された状態)

ー 家族が感染した場合、他の家族は必ずうつるのか。

家族内で感染する確率は35%である。家の中での隔離、消毒が感染を防ぐ。

ー 感染予防にマスクは必要か。

国民の60%がマスクをつければ感染を防げるかもしれないが、それ以下であれば意味がない。

ー タバコとコロナウイルスの関係は。

ヘビースモーカーがコロナウイルスにかかった場合、吸わない人より死亡する確率は高い。

ー インフルエンザとコロナウイルスの違いは何か? インフルエンザより死者が少ないのにどうしてそんなに騒ぐのか。

インフルエンザで亡くなる人はフランスで年間約8000人いて、25万人がインフルエンザにかかる。一方、コロナウイルスは現在国内で約200人の感染者である。そのうち、10人に8人は無症状、もしくは軽い症状で終わる。そして、15%は肺炎の症状を起こす(お年寄りや持病を持っている人であることが多い)。実際、コロナウイルスの致死率は1−2%しかない。しかしながら、インフルエンザとの違いは、1週間無症状だった患者が、2週目にして急に症状が重くなる、しかも、持病などなく、全く元気だった成人がその症状を起こすというケースも報告されている。これはインフルエンザとの大きな違いで、医療の世界では私たちが想定できない、不確かなものに対して最大の注意と対策を考える必要がある。

ー コロナウイルスはどうやったら感染するのか。

コロナウイルスは空気感染ではなく飛沫感染であり、15分間、1m以内の距離で過ごすと感染するだろう。主な感染源は目と手と考えられる。(手や物に付着した菌は2、3時間残る)だから握手は避けたい。人間は1時間に約60回、無意識に顔を触っている。

・こまめに手を洗うこと
・ハンカチがない場合、腕の内側で咳やくしゃみを止めること
・ティッシュは一回使ったら捨てる(フランス人はティッシュを使い回す人が多いため)
・ビズや握手の挨拶は避け、肘の角と角をぶつけ合う挨拶、足(靴の側部)と足(靴の側部)をぶつけるなどの挨拶を推奨する。

※フランス人の慣習にてらした発言であることをご理解ください。

これら小さなジェスチャーの積み重ねがウイルスから私たちを守るのだ、とウイルス専門医が繰り返していた。



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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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