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パリ最新情報「ロックダウンをやって、成果は出るのか?」 Posted on 2020/03/30 Design Stories  

日本はなかなか非常事態宣言が出ない。日本政府は「ぎりぎりの状態が保てている」という認識を繰り返している。そんな中、30日、日本医師会が「非常事態宣言を出して、それに対応する時期ではないか」と提案している。提案というよりも、やってほしい、今すぐに、というように読み取れる切実な訴えに思えた。感染拡大が急激に増えると、患者を収容できない状態になる、と警告しているのだ。日本政府は「ぎりぎり持ちこたえているという状況にある」という立場を崩していないが、その認識に海外とはかなり違う姿勢がうかがえる。むしろ、日本政府の責任ある決断に目が離させない状況が、ぎりぎり、続いている。

フランスではロックダウンが始まる直前「ロックダウンに必要な時間は45日間」という説、噂が人々の間で流布していた。「いきなり45日間もの外出制限は辛い」というのが多くの人の感想だった。オリビエ・ヴェラン保健相も「6週間ほどかかるかもしれない」と発言していた。ところが蓋を開けてみると、実際には「2週間の期限」で外出制限が出され、フランスの人々はホッとしたのも実際であった。しかし、…

そこで、ロックダウンに次々踏み切る世界の政府首脳陣が、どのような成果をいつ頃出せると思って、踏み切ったのか、を検証してみることにした。まずは時系列で、フランスのロックダウンの流れを追いかけ、その流れの先まで想像し、それがいつ終わるのかを大胆に予想してみたいと思う。フランスは、3月16日に、マクロン大統領が国民にテレビを通して説明をし、翌日の17日の正午よりフランス全土での外出制限がはじまった。



理論上は、3月17日までに新型コロナに感染していた人が外出制限を守っていれば、発症した人も発症しなかった人も、当初の外出制限期限日であった3月31日にはウイルスの潜伏期間が終わる。もちろん個人差はあるが、感染から症状が出るまでの潜伏期間は1日から12日(最大14日間)、平均で5、6日と言われており、その約8日後に症状がおさまり、それから7日間は感染の可能性が残る、ということを踏まえると、感染した人が、感染したその日から最大30日間は他人に感染させる可能性があるということがわかる。

例えば、フランスのロックダウン初日、3月17日に感染した人の場合

平均的な潜伏期間は5~6日、最大14日間として

最大の潜伏期間の場合、発症が3月31日となる?

症状が治るまで約8日間が平均なので、4月8日ごろに症状が治まる?

感染能力が消えるで最大7日間かかるとして

4月15日完治?この4月15日というのは、数日前に、エドワー・フィリップ首相がさらに2週間の外出制限延期を表明した、まさにその最後の日にあたる。フランス政府はいきなりの「45日、6週間の外出制限」は国民への精神的負担を大きくすると考え、2週間からスタートする道を選んだのかもしれない。

とすると、外出制限発令後に家庭内で感染したり、例外も含めて、あともう2週間、人々の行動が抑えられれば、ウイルスのほとんどが消滅できるかもしれない。3月17日から6週間(45日間)かかるということになる。オリビエ・ヴェラン保健相が最初からずっと言い続けていた「6週間はウイルス撲滅に時間が必要かもしれない」の真意はそこにある。

3月17日より、最初の外出制限2週間

3月31日より、さらに2週間の延長

4月15日より、さらに2週間の延長

4月29日に、ロックダウン解除?

4月29日にめでたくロックダウン(外出制限)が解除されたとすると「ロックダウンは45日間を必要とする」という当初の噂にも符合することになる。

それでは、商店やレストランはどのタイミングで再開するのだろう。学校は? 現在、フランス人に向けたアンケート結果で、62%の人が「コロナウイルスが怖い」と感じているという。人々は政府が外出制限を解除した途端に、一気に、待っていましたとばかりに外に出て、何事もなかったようにカフェに集まり、満員のメトロに乗り、家族や友人とビズやハグをするだろうか? その光景にたどり着くまでには、さらにさらに長い心のリハビリ期間が必要な気がする。店も、人の心も、閉ざすのは簡単だが、開けるのは難しい。

パリ最新情報「ロックダウンをやって、成果は出るのか?」

オリヴィエ・ヴェラン保健相は外出制限の解除に向け、PCR検査の拡大を約束した。現在、フランスは検査キットの不足もあり、医師の処方がある人、または重症患者のみに検査を行なっているが、現在500万個の簡易PCR検査キットを発注しており、4月には1日につき3万件、5月には5万件/日、6月には10万/日の検査ができるように体制を整えているとのこと。また同時に、血清検査(抗体検査)を行うという。
スペインが中国から購入したPCR検査キットのほとんどが不良品で返品したというニュースを見たが、ここのところ、フランスでもPCR検査の正確性については議論されている。それに加え、PCR検査は粘液を採取する方法なのでテスト実施者は感染の危険も伴うのだ。一方、血清検査というのは、「感染しているかどうか」、「いつ頃感染したか」、「過去に感染したか」、という3つを確実に知ることができる。血清検査キットがあれば自分一人でも検査ができるという点も良い。ワクチンがない代わりに、ピークに達した時点で、人々がウイルスに感染したかどうかをクリアにしていけば、安心して社会生活を送ることができるというわけである。この検査が国民の大部分に行き渡るのであれば、大きな安心材料となるかもしれない。

季節はめぐり、昨日から欧州は夏時間になった。街に人が居ないことにも慣れ始め、一体、2週間前はどのような生活をしていたのか、昨年、この季節をどのように過ごしていたのか? 思い出せないくらい、とても遠い過去のことのように感じてしまう。これから夏に向けて、ヨーロッパはとても美しい季節。あの華やかなパリを心から楽しめる日に想いを馳せつつ、この外出制限生活と向き合う。日本はいつ政府が決断を下すのだろう、それとも、…



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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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