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パリ最新情報「セールの達人からのアドバイス!」 Posted on 2020/01/11 辻 仁成 作家 パリ

ついに、パリのセール(ソルド)の季節到来である。ぼくも今日「な~にがセールだよ」などと毒づきながらも、お財布さんに尻を叩かれて、息子が学校に行っているあいだ散歩がてら、サンジェルマン・デ・プレ界隈のブティックを物色した。セール初日だというのに、いきなりの70%OFFの字を見つけて、おおお、とのけぞってしまった。もちろん、ブランド物で、普段なら手が出ないものを観光客の方々は狙って来仏されるわけだが、パリで生活していると、ブランドよりも日常の服でちょっと普段は買おうと思わないようなものが欲しい。半額以下で買えるこの時期は、生活のための爆買い時期でもある。

フランスは年に2回、夏と冬に大規模なセールがあり、その二回の日程は国が定めている。基本的に冬は1月の第2水曜日から、夏は6月の最後の水曜日から、期間はどちらも4週間となる。ボジョレーヌーボーじゃないけれど、デパートも小売店も一斉にセールをスタートさせ、客を世界中から集めている。(今年は、大規模なストが続いているので観光客が少なく、逆に、ねらい目なセールとなった)
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パリ最新情報「セールの達人からのアドバイス!」

2週目の水曜日から割引率がぐんとアップしていき、4週目になると70%引きからの、さらに20%OFFなんていうとんでもない価格までが登場する。けれども、正直、売れ残りの売れ残りなので、その頃にはろくなものが残っていない。さて、ここで、セールの達人より一言。ぼくのような達人ともなると、セールが始まる直前に下見をする。そして、だいたいめぼしいものを見つけておいて、翌日、セール開始と同時にそれをゲットするのだ。売れ残り品なので、そもそも、早く買わないとサイズがなくなる。正直、一週間を過ぎるとめぼしいものなんてない。しかしである。特に欲しいわけではないけど、でも、あればいいよね、というような服とかお皿とか電化製品とか、たとえば子供服なんかは、逆に4週目が穴場だ。前に一度、息子のパジャマを9割引きでゲットしたことがあった。こういう時の高揚感をどう表現していいのだろう。幸せだ~。

今日はとあるブランドの素敵な洋服を3点ゲットしたが、全部70%OFFであった。(達人からのアドバイス。気が大きくなって、買う必要のないものまで買ってしまうので要注意。必ず試着はするように。試着して満足しないものは買ってはいけない)

パリ最新情報「セールの達人からのアドバイス!」



商品は限られているが、シャネルやディオールなどハイブランドもセールを行うので、お好きな人はこまめなチェックが必要である。日本だとハイブランドのセールはやらないので、旅の目的に加えておくのがいいかもしれない。結局、ぼくの場合、いいものはちゃんとしたものをそれなりの金額をつぎ込んで死ぬ気で買う。いいものは20年、30年、着続けることが出来るから、結局、お得なのだ。同時に、セールで買うものがダメとも思わない。気楽に着ることが出来るし、買い物をする喜びを貰えるので楽しい。大人買いをしている時の自分の子供っぽさに出会える優雅なひと時でもある。

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。