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「新世代賞、第二回グランプリの立花君、パリに着く」 Posted on 2020/01/13 辻 仁成 作家 パリ

新世代賞、第二回グランプリの立花和弥君(24)が新世代賞の副賞の留学システムを活用し、パリに4日前から入った。そこで歓迎の夕食会をやろうということになった。すると今日、南青山で器ギャラリーを経営する李大成君(29)が一泊二日でボルタンスキー展を観に入ったという知らせ、合流することになった。6区にある老舗カフェ、Au Sauvignonで待ち合わせ、ぼくらは建築からアートまで幅広い議論を繰り返し、周囲のフランス人たちの奇妙な熱視線を浴びた。熊本大を休学して「何かを掴む」ために渡仏した立花君は豪快な若者だった。ラグビーをやっているというごつい体躯がパリの街に妙に溶け込んでいるのは何故だろう。李君は澁澤龍彦を敬愛する繊細な芸術青年であった。ぼくの息子のような世代の二人だったけれど、文化談義が盛り上がり、カフェで二本もワインをあけたのに、そこから歩いてオデオンまで行き、インド料理店、Old Kashimirに入って、そこでまたひとしきり盛り上がってしまった。立花君は渡仏して四日目だったが、初日から語学学校に通っており、日本に戻るまでの間に仏語をマスターし仏語でプレゼンが出来るようになってみせると豪語していた。何とも頼もしい青年である。こういう若者を輩出出来た新世代賞を誇りに思う。パリ留学中はぼくが親代わりになって立花君がパリで多くのことを掴めるよう支援したい。ところで李君は一泊二日というもの凄い行程でのパリ滞在だったが、この子も祭日を利用しての強硬渡仏で、ボルタンスキーを追いかけているというのだから、いやはや、今時の子たちの行動力には頭が下がる。近頃の子はひ弱になったというのは間違いだ。帰りに李君のホテルまで一緒に歩き、そこで解散となった。立花君はこのストライキ中のパリ市内を一時間歩いて語学学校まで通い、一時間歩いてホームステイ先まで戻っているのだという。彼の輝く未来と精神については簡単なインタビューを行ったので後日紹介させて頂きたい。今年も第四回新世代賞の募集を開始する予定なので、若い諸君、若い才能ある子どもたちを知っている皆さん、ぜひ、多くの方々にこういう賞があることを広めて頂きたい。切によろしくお願いします。日本や世界の未来は若者たちの手の中にこそある。

「新世代賞、第二回グランプリの立花君、パリに着く」

※ 右が立花君、左が李君。



自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。