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パリ最新情報「ロックダウンの問題点、そして何が感染を拡大させるのか」 Posted on 2020/11/15 辻 仁成 作家 パリ

※この記事は辻仁成が書いています。

昨夜、土曜日だったせいもあるが、新しいアパルトマンの上の階の若いカップルのところに大勢が集まり、騒ぎ声が聞こえてきた。そればかりか、通りを挟んだ最上階の部屋でもフェット(パーティ)が行われているじゃないか。ぼくらが今暮らす地区はオデオン地区に近いので、若者も確かに多い。外出禁止なのに、二か所で乱痴気騒ぎが起こり、結局、誰かが通報して深夜0時頃警察がやってきて、乱痴気騒ぎは収まったが、実は、これが今、パリ全域で、とくに郊外の若者たちが居住する地区で頻発し、大問題になっている。

パリ最新情報「ロックダウンの問題点、そして何が感染を拡大させるのか」



同じく、昨日、パリ郊外の住宅地、Joinville-le-Pontにて300人以上が集まる大パーティが開かれ、警察が突入する騒ぎがあった。閑静な住宅地だが、その家は昔からいわく付きのパーピー館で、その日も、ワインや食べ物を箱に詰めた連中が集合し大騒ぎとなった。警察が突入し、パーティが中止されたまではよかったが、PCR検査をしたところコロナ陽性患者が混じっていた、という衝撃。当然、数日後、クラスター化するのは間違いない。ロックダウンの成果を急ぐ政府の対応に反し、若い人たちの反ロックダウン活動も活発化して、先行きが見通せない状況にある。厳しくすれば暴動を招く可能性もあり、緩めると水面下でクラスターが増大、フランス政府は頭を痛めている。

パリ最新情報「ロックダウンの問題点、そして何が感染を拡大させるのか」

パリ最新情報「ロックダウンの問題点、そして何が感染を拡大させるのか」



ところでロックダウンの成果はそのような中でもじわじわと出てきているようだ。最新型のコロナ追跡アプリ「トゥ―ス・アンティコヴィッド」によると、先週8万6000人だった感染者が、昨日、23794人にまで下がっていた。毎日、「感染者数、集中治療室患者数、ベッドの占有率」が出てくる。さらに、陽性率、新しく集中治療室に入った人の数、実行再生数(フランスは現在、0.81まで下がり、日本より低くなった)10万人に対する感染率、いろいろとあるが、このアプリの現在の登録者数(8952743人)も出た。このアプリで追跡できた人の数、など、だいたいのことがわかる。外出許可証もここから申請できるので便利だ。ぼくもアプリを入れたのでどこかで感染した人と一緒だったら連絡が来ることになる。ある意味、出歩きたくなくなるアプリでもある。政府が今回は力を入れたので、一号機は失敗だったが、最新型はダウンロードする人がかなり増えている模様だ。フランス国民、7人に1人がアプリを入れてる。

パリ最新情報「ロックダウンの問題点、そして何が感染を拡大させるのか」



緩やかなロックダウンではあるが、やはり最後はロックダウンしか感染者を減らす方法はない。若者だって遊びたいので、どこまで感染が長引くか、ぼくらは日々、見守っている。

※在仏日本人の皆さんは「TousAntiCovid」で検索!外出許可証の更新が楽になります。便利だよ。

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Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。