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父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」 Posted on 2022/02/01 辻 仁成 作家 パリ

三四郎を連れて、スーパーに行った。
腕に抱っこしていれば、スーパーへの犬の入店が可能だとわかり、社会勉強のため、三四郎にスーパー見学をさせることにした。笑。
肉コーナーに、ちょうどチャーシューに手ごろな豚の三枚肉があったので、ゲット。
そうだ、明日の昼は手作りチャーシュー麺にしよう、と思い立った。
冷凍庫に、焼き鳥を作った時に出た鳥の骨で作ったダシが冷凍してあったことも思い出した!!!
おおお、それでスープを作ればいいじゃないか。
焼き鳥は毎回、自分で肉と骨を切り分けているので、骨が出る。この方が焼き鳥は断然、新鮮で、うまい。
そして、この骨こそ、財宝なのである。
捨てるものなどはない、が父ちゃんの料理哲学なのであった。
ならば、そうだ、ここはやはり父ちゃんの半熟味付け卵、通称「煮卵」も一緒に仕込んでやろう、と思い立ち、小躍りした父ちゃんだった。
煮豚の煮汁を利用すれば一石二鳥じゃ!
三四郎はきょとん・・・
「ぼくはどうせドッグフードしか知らないもんね~」

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」



豚の三枚肉は食べやすいサイズにカットし、豚の脂を使って全面にこんがりと焼き色を付けたら、ひたひたになるまで水を加え、焼酎、生唐辛子少々、生姜、ニンニク、ネギ、セロリの葉などをお好みで入れ、弱火で煮込む。
とにかく、柔らかくなるまで根気強く煮込むしかない。
途中で塩胡椒、醤油などで旨味を整える。
半熟卵はジップロックにいれ、そこに、チャーシューの煮汁を少々加え、空気を抜き、冷蔵庫に~。
明日の昼には味がしみ込み、極上の半熟味付け煮卵が出来る、という寸法である。
煮汁は全体にいきわたる程度でよい。
空気を抜けば煮汁が自然と卵を包む感じになる。えへへ。

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」



翌朝、三四郎の目覚めと共に、一日が始まった辻家、そこでもう一度火を入れ、ここから昼まで、4時間程度煮込むのだ。
とにかく、弱火で、コトコト、火を入れる。(寝ている間は火を止めてくださいね)
これが王道なのであーる。
朝、例の冷凍してあった鳥の骨のストックを解凍し、鍋にいれ、そこに玉ねぎ一個、にんにく、生姜、ネギの青い部分などを入れて、スープのベースを作った。
完成間際で、味噌とかごま油とかを加えればラーメンのスープっぽくなる。

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

※ こちらが鳥骨ダシのスープ。よかったのになー---。

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

今回は札幌ラーメンを目指したのだけど、な、なんと、三四郎の世話と確定申告の書類整理の二股仕事をやっていたら、こ、
焦がしてしまった。
えええええ、大ショック~、涙ちょちょぎれたー!!!

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

※ とにかく悪戯好きな三四郎!!! この子がぼくのパーカーを噛むから、・・・。と、サンシーのせいにしたくなる、父ちゃん・・・。

父ちゃんの料理教室「不意にラーメンが食べたくなって。一昼夜のラーメン」

※ そして、起死回生の再挑戦、急遽、作った、和風スープがこちら!!!!



しかし、後悔などする暇はない。
落ち込む時間がもったいない。捨てる食材無し、落ち込む人生も無しじゃあ!!!
そこで別の鍋を取り出し、水を入れ、熱した。
そこに、茅乃舎さんの顎だしパックがあったので、それを投入。茅乃舎、ありがとう。
酒、生姜、ニンニク、玉ねぎ、ポワローネギ、など各種ネギと、マーシャルのところで買っておいたシイタケがあったのでこれを4個いれて、札幌から京都の和風ラーメンに方向転換を図った、父ちゃんであった。
沸騰したら、だしパックを取り出して捨て、味見。
うん、美味しい。
煮豚の汁をおたまで二杯移して、肉感を加え、ごま油、醤油、塩胡椒、米酢、で味を整え、スープが完成。魚と肉の海と山の合体スープはうまいんだよねー。
ふー。
三四郎が呼んでいるのでちょっと相手をしてから、12時になったところで、ちゃちゃっと麺を茹で、器に盛り、チャーシューをカットして、煮卵を添え、シブレットのみじん切りを散らし、さ、パリ発、辻家の和風ラーメンの完成とあいなった。
いかがであろう。
いやぁ、三四郎には申し訳ないけど、美味かったぁ。
模擬試験を終えて戻ってきた息子には白ご飯付きにしてあげた。
一昼夜煮込んだ辻家定番、自家製チャーシューは格別であった。まる。

つづく。・・・つづくんかい!!!

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