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泥棒に押し入られたら、寝たふりをしないと命が危ない、パリの泥棒事情 Posted on 2020/02/15 Design Stories  

パリで気を付けなければならないのはスリだけじゃありません。怖いのは泥棒と強盗です。ホテルにもよりますが、よく物を盗まれます。私の知り合いが日本から来ると「携帯がない」とか「パソコンが消えた」というSOSの電話がしょっちゅう。ホテル内部の人がグルになってる可能性が高いと思ってください。私の知り合いで、ホテルの部屋に戻ったら、中に人がいて、「ソーリー」と言って出て行ったという出来事もありました。トランクごと盗まれることもありますが、携帯の充電器などは普通に持っていかれます。予約をする前に、ホテルの評価を確かめ、ユーザーのコメントで「泥棒にあった」と書かれてあるようなところは避ける方が無難でしょう。

私の知り合いの家に先日、泥棒が真昼間、押し入りました。その時、知り合いは寝ていたのですが、寝たふりをし続けて難を逃れています。ヘタに起きて騒ぐとボコボコにやられるかもしれないからです。命と金品とどっちが大事か、知り合いは寝たふりを続け、一命をとりとめています。逆に、別の知り合いは自分の家に入ろうとして背後から二人の男に押し入られ、ボコボコに殴られ、逆らう間もなく、貴金属のある金庫の場所を教えて全部持っていかれたりしています。死ぬことはありませんでしたが全治一か月の重傷です。



泥棒たちはスリと同じようにグループで行動をしています。まずはその地区のお金もちが狙われます。この辺の情報はその建物に出入りしている各業者、たとえば清掃員、管理人、近くのスーパーの店員さんなどからもたらされていると言われています。そして、目を付けられたお金もちは泥棒組織の監視下に置かれます。だいたい、見張りの子が日中張り込み、お金持ち一家の日常行動を探ります。近所の家が泥棒にあったのですが、その一週間くらい前から建物の反対側の通りに若い女の子が立っていました。その子がお金持ち住人の行動を分析し、仲間に伝えていたのです。どんな家も家族が不在になる時間というのが必ずあります。調べ上げた泥棒は白昼堂々やってきて、ドアをこじ開け、押し入ります。ドアを開けるのも2分とかかりません。プロはレントゲンフィルムを使って、隙間に潜らせ、扉の下部を足でとんとんと蹴りながら、鍵の位置を特定し、フィルムでさっと鍵をあけてしまうのです。一度、私がカギを部屋の中に置き忘れて業者さんを呼んだ時にこれと同じ方法で、ドアは一瞬で開いてしまいました。この人が泥棒だったら、と思って震えたのを覚えています。どんなに立派な鍵を付けても意味がないわけです。

強盗もいます。特にアジア人はお金を持っているので狙われます。空港の出口に見張りがいて、お金持ちそうな女性が狙われます。お金持ちの旅行者はタクシーを利用するので、バイクで尾行されます。二人組です。後ろの男は金づちを持っています。シャルル・ド・ゴール空港からパリに入る直前の、サンドニ地区に必ず渋滞するトンネルがあります。車がそこで渋滞に巻き込まれると、バイクで横づけし、金づちで窓を破壊します。粉々に飛び散るガラス片の恐ろしさに旅行者は震えあがり何もできません。運転手も何もできません。割れた窓から手が伸びて、ひざの上のハンドバックを持っていかれるという事件が頻発しています。下手に逆らうと、金づちで殴られるので、あきらめましょう。



最後に、ここ最近、頻発しているケースですが、郊外の不良たちが「度胸試し」と称して、アジア人の女性を襲い、ボコボコにして、金品を奪い取るというのが流行っています。この被害がうなぎのぼりで、ターゲットはアジア系の女性たちです。不良の度胸試しなので、お金持ちとか関係ありません。やることが彼らの勲章になるのですから…。夜の一人歩きなどは控えてください。危険な地区には絶対に立ち入らないこと。このケースで命を落とした人がいます。

恐れてばかりいても、旅行が台無しになるので、
1、 夜間は一人で行動しない
2、 危険そうな地区には踏み入らない
3、 ハンドバックには貴重品を入れず、大事なものは腹巻(?)の中に隠す
4、 ホテルで泥棒に遭遇したらすぐに逃げる
など、注意が必要です。できるだけ、ちゃんとしたホテルに滞在をする方が安全です。巨大駅周辺には麻薬のバイヤーなどが屯しているので、ホテル選びをするときには十分注意が必要となります。これはパリだけではなく、欧州全体でみられる昨今の傾向です。自分の身を守るのは自分しかいません。楽しいことと危険は背中合わせなのです。気を付けましょう。

泥棒に押し入られたら、寝たふりをしないと命が危ない、パリの泥棒事情

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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