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パリジャン、パリジェンヌが選ぶ結婚という選択 Posted on 2017/08/09 エベルソルト 真理 日仏翻訳・フランス語講師 パリ

毎年恒例の結婚式のシーズンがやってきた!
パリのさわやかな夏はまさに結婚式にうってつけ。郊外の広々としたお庭のある会場を借りて、親戚や友人を招く。ところが穏やかな風景とは打って変わってフランス流結婚式、実際にはとっても慌ただしいのである。市役所での公的手続にはじまり、教会での儀式、そのあとに続く晩餐会、ごく親しい仲間たちに囲まれての宴が一晩中続く。
今日は、特別に、パリジャン、パリジェンヌの結婚式について、詳しく解説をしてみよう。

ステージ1、公的手続

役所の最もきれいな部屋に新郎新婦と招待客が通される。まもなくフランス国旗の三色たすきをかけた市長さんがやってくる。いや、市長は通常土日はお休みなので代理人がほとんどとなる。婚姻関係に許ずく法律文を読み上げたり、立会人が苦笑いを隠せないスピーチをしたり。結婚によって生じる様々な義務や権利が言い渡され、涙目のマダムとムッシュは「ウイ」と誓い合う。毎回お約束のこの流れだが、親しい友人や親族に囲まれ、ここはもっとも心に迫る場面といえる。新郎新婦にとっては、二人が生涯のパートナーになったのだ、ともっとも実感する瞬間といってもいいだろう。
 

パリジャン、パリジェンヌが選ぶ結婚という選択

証人として婚姻届けに署名している

 
 
ステージ2、教会式

伝統を大事にしていたり信仰のあるカップルは神様の前でも愛を誓い合う。神父さんのお説教は言葉が違っても法律の内容とほぼ一緒。幸不幸を問わず、支え合う事で愛を育む姿勢を伝える。ここでもまた、主役の二人から心のこもった真剣な「ウイ」が告げられる。退屈な公務員と聖職者の力説が続くが、この時ばかりは、この決められた言葉たちでさえ、参列する人々の心にじんわり降り注いでくる。

ステージ3、ディナー

さて、夕刻、会場にマダム・ムッシュ御一行の到着。待ちに待ったパーティーのはじまりである。ずらりと並んだ美味しいご飯とお酒の数々、シャトーを囲むお庭でお喋りをして、泣いたり笑ったり、参加者は夜通し踊る。世代を超えて人々が集い、思わぬ場所で再会したり、双方の友人たちがここで知り合ったり。ともかくこの瞬間だけはあらゆることが幸せで彩られる。踊り疲れ飲み潰れたら、用意された部屋で休めばよい。新郎新婦の幸福が参加者をやさしく包み込む。このように、一泊二日の結婚式、誰もが幸福を満喫する。
 

パリジャン、パリジェンヌが選ぶ結婚という選択

とあるシャトーのダイニングルーム

 
 
ところで、肝心の「結婚」についてフランス人はどう思っているのか?

フランス人は結婚しないとよく言われるが、フランスの国立研究所INSSEによると、カップルの72%が婚姻関係にあると発表している。そう、この国の男女は結婚を意識して恋愛している。それでは、男性と女性の結婚に対する考え方に違いはあるのか?プロポーズは男性の役割なので、プロセスとして男性の意思がなければ成立しない結婚は女性よりも男性が望むケースが多い。よく言えば責任感、悪く言えば女性を守る本能が働く、のだとか。女性は生涯の愛情を誓い、良き妻、理想の母、素敵な女性、自立したキャリアウーマンを目指すことになる。

その一方で、結婚にはリアルな事情の一面もある。結婚によって税金も安くなるし、独身の時には無かった、どこで働くかを選べる(転勤など)有利さが与えられる。子供が増えれば増えるほど、さらに税金が安くなる。結婚、出産による税制の優遇が、フランスの若者たちを今、結婚へと向かわせているのだ。
フランス人は、少しでも居心地のいい環境を手に入れるために、結婚を選択する。さて、日本風結婚適齢期を迎えた私はどうしたいのであろう? 友人たちの結婚式に参加するたびに、自分の未来をあれこれ想像してしまうのだ。そのことについては、また次回に、筆を譲ることにする。
 

パリジャン、パリジェンヌが選ぶ結婚という選択

とあるお庭での集合写真

 
 

Posted by エベルソルト 真理

エベルソルト 真理

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Marie Ebersolt
日仏翻訳・フランス語講師
2012年よりピラミッド界隈の翻訳事務所・フランス語教室を拠点に活動中