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フランス大統領選目前! 緊急アンケート パリジャンに聞いた。「あなたは誰が大統領になると思いますか?」 Posted on 2017/05/03 Design Stories  

フランス大統領選挙を5月7日、日曜日に控えたフランス。
去る5月1日、メーデーには最終候補に選ばれた中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相と極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首の「どちらにも投票したくない!」というフランス人、約14万人がフランス全土でデモを起こし、一部が暴徒化。

欧州各国でポピュリズムが台頭、イギリスのEU離脱、トランプ政権の誕生の中、世界が注視するフランス大統領選挙、デザインストーリーズでは、出口調査ならぬ、選挙前の入り口調査を行うことにした。選挙権のあるなしにかかわらず、パリ在住の任意のパリジャン・パリジェンヌに以下の質問を投げかけてみた。緊急アンケート。フランス大統領選の行方に迫ります。

1、あなたは誰が大統領に選ばれると思いますか?
2、もしその人が選ばれたらフランスの政治は改良されると思いますか? それとも悪化すると思いますか?
3、どうしてそう思うのですか?


政治に関心の高い編集部に近い友人たちから、熱い回答が続々と寄せられています。
 

フランス大統領選目前!  緊急アンケート  パリジャンに聞いた。「あなたは誰が大統領になると思いますか?」

オディール (主婦、57歳)

1、エマニュエル・マクロンです。

2、 マクロンが選ばれた場合、選挙直後の経済的な大惨事は避けられるでしょう。では、1、2年後はどうなっているか? マクロン政権が経済的改善をもたらすことを祈るしかないですね。

3、難しいですね。これはどちらかというと私の願いというか、願望です!
 

シルヴィ (ホテル経営、38歳)

1、そうね、マクロンが勝つと思う。とにかく、マリーヌ・ルペンでないことを祈るわ。

2、3、もしマクロンが選ばれたら…、最悪は免れるけど、私は国を統治するには彼は若すぎると思うし、彼は最悪な大統領だったオランド政権が生みだした策謀(たくらみ)でしかないわ。私にとってこの国を変えられる唯一の人物はフランソワ・フィヨンだった。フィヨンへの投票の低さは本気でがっかりした……。フィヨンには私たちの美しい国を立ち直らせるための真のプログラムがあったと信じていた。でも、私はもう文句を言うのをやめたの。文句を言ったって何も変わらないから。日曜日どうなるか、見てみましょう。
私はマリーヌ・ルペンに反対票を入れるわ。
 

ヴァンサン (ドアマン、33歳)

1、エマニュエル・マクロンが選ばれるでしょう。

2、とても難しいけど、いくつかの物事は悪化するでしょうね、その他は何も変わらない、かな。たくさんのことが改善されるとは思わないです。

3、エマニュエル・マクロンは銀行や大資本家、多国籍企業のトップととても密接です。マクロンはその彼らから、彼らのために、配置されたマリオネットなのです。彼の政治は富裕層と貧困層の幅をもっと広げていくでしょう。彼は多国籍企業や大企業経営者に今以上の権力を与え、逆に、一般サラリーマンの自由を奪っていくことが考えられます。だから、やはり状態は悪化するでしょう。環境問題についても改善されないと思います。彼はフランソワ・オランドと同じように何もしないと思います。セキュリティー問題に関しても同じく何も変わらないでしょう。
 

モード (主婦、36歳)

1、今日の数字で考えるとエマニュエル・マクロンが勝ちます。だけど、選挙まであと4日ありますからね。エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペンの支持率の差が日に日に縮まってきていますから……。

2、3、マクロンのプログラムにはポジティブな点がたくさんあります。私は彼が選ばれることで未来のフランスの政治背景の根底が変わることを期待し、願っています。国民戦線が勝ってしまった時のことは想像しがたいですね。
 

フランス大統領選目前!  緊急アンケート  パリジャンに聞いた。「あなたは誰が大統領になると思いますか?」

ルネ (文芸批評家、62歳)

1、もちろん、私はエマニュエル・マクロンが選ばれると思います。しかし、そこまで大差で勝つとは思わない。彼に投票するすべての人が彼のアイデアに賛成しているわけではないからです。たくさんの人がいやいやながらに彼に一票を与えることになるでしょう。マリーヌ・ルペンを勝たせてしまうというリスクを回避するために。

2、もしマクロンが選ばれたら、左派の人々ほぼ全員を裏切った現オランド政権を継承しその新自由主義は続き、国力は悪化していくでしょう。貧乏人はもっと貧乏に、金持ちはもっと金持ちに。しかしながら、もしマリーヌ・ルペンが選ばれたら、政治的、そして経済的カオスは相当なものになる。間違いなくデモや暴動が吹き荒れることになるでしょう。

3、私はマクロン氏の人柄に対してや彼のアイデアに対して、全く好感を持っていない。彼の政党の作り方、動かし方に対しても同じく好感を持てない。偽善で空虚、不寛容で、傲慢、独裁的なやり方…、彼に賛同した連中全てに嫌気がさす。(マクロン政権になると思った瞬間に仕事をもらいたい連中がマクロンの周りへ群がった偽善集団だということ)「マクロン」という男は唾棄すべき”アメリカ人”をモデルに作りあげられているんだ。もちろん、彼はバカな男ではない。差別主義者でもない。EUにリスペクトがある。しかしながら、彼は左派の考えを何も持ち合わせず、彼は社会政策を持っていない。彼は財政利益を守ることしか考えてないんだ。
私は最後まで自分の投票について迷うことになるだろう。それは、マクロンに投票するか、棄権するかという選択だよ。多くの左派の人間が同じことを思っている。
 

クロード (映画プロデューサー、49歳)

1、エマニュエル・マクロンが選ばれるでしょう。

2、改革をするためには私たちの国は若さと新鮮さを必要としているでしょう。私は彼を待ち受ける抵抗勢力に対してとても心配していますが、彼はそれを乗り越える力と気質を持っていると願います。

3、フランス人は団結して物事を進めるというより、分裂する才能の方に長けているから、簡単ではないと思いますけどね。
 

レイラ (化粧品会社管理職、55歳)

1、エマニュエル・マクロンが選ばれます。

2、経済的な改善が見られるかもしれない。だけど、テロリズムは浸透を続けるでしょうね。そして、パリの富裕層と地方に住む人や農家の貧富の差がどんどん大きくなると思います。

3、マクロンはイエスマンで何を考えているのかわからないし、大都市の心配しかしていない。彼は自分(銀行家出身の超エリート)以外の文化の人たちのことを全然理解していないのよ。
 

ジェラール (銀行員、43歳)

1、エマニュエル・マクロンです。

2、改善されるでしょう。

3、フランス、そしてヨーロッパの経済が良好になるだろう。そしてヨーロッパから必要な人たちへ資金を割り当てることができる。シリア問題は解決し、難民の流出も抑えられるだろう。
 

ソフィー (書店経営、60歳)

1、エマニュエル・マクロンが勝ちます。

2、エマニュエル・マクロンを選出するということは、フランスを改善に導くための一つのサインです。なぜなら、フランスは市民の力によって、教養があり前向きなメッセージを持つ候補者を伝統的な政党以外から選出することが可能な国だということだから。嫉妬や負け惜しみなど、強く、おそらく暴力的な対立が予想されますから、フランスはすぐに改善というわけにはいかないでしょう。しかし、マクロンは彼を囲む無名ながら優秀な仲間たちとともに、美しいサプライズを生み出してくれるでしょう。

3、エマニュエル・マクロンは真摯だと思うのです。マクロンはフランスが良い方向へ向かうための切り札だと思います。
 

フランス大統領選目前!  緊急アンケート  パリジャンに聞いた。「あなたは誰が大統領になると思いますか?」

ザナ (医師、40歳、選挙権なし)

1、僕の予想はエマニュエル・マクロン70%、マリーヌ・ルペン30%だね。

2、マクロンになっても何も変わらない。

3、フランスは大国だ。だから、トップが変わっても数年でそう簡単に方向が変わるとは思わない。たくさんのインディペンデントで強い組織があるから、大きな変革をしようとしても反対勢力によるブレーキがかかる。もちろん、それはレピュブリックを守る力にもなる。もし、マリーヌ・ルペンのような人物がフランスの大統領に選ばれるとしたら、フランスはトランプが選ばれたアメリカと同じような事態になるよ。マクロンは社会党の小細工でしかない。社会党がこのままでは負けてしまうと悟った時、コスチュームを変えるように首相を変え、新しい顔を持ってきた。おかげで全ての左派がマクロンに投票し、加えて中道派の票も得た。彼らが失ったのは少しの左派票のみだ。マクロンは社会党の「リ・ブランディング」。マクロンは社会党がフランスの統治を続けるためにより中道で資本主義という新しいコスチュームを着せて作り出された「ストラテジー」にすぎない。だって、マクロンは銀行家だよ。
 

ヴィル (ジャーナリスト、48歳、選挙権なし)

1、エマニュエル・マクロンが勝つでしょう。

2、何も変わらない。

3、フランスは伝統ある素晴らしい国。だからこれだけたくさんの観光客を惹きつけている。だけど、その点が政治に関しては悪く出ているわね。ずるずる引きずっていつまでも変革できずにいるわ。
 

ロブソン (ミュージシャン、52歳、選挙権なし)

1、マクロンが選ばれると思います。

2、これから1、2年くらいで改善がみられるかもしれないね。

3、マクロンはプログラムの技術者だ。私たちは豊かな国に生きている。資本主義の観点に置き換えると、巡海のリズムを取り戻すために彼が少しそのメカニズムを調整しなければならない。
 世界経済成長が再び軌道に乗った時のため、それに乗っかれる準備をしておかなければならない。フランスという国は統治さえしっかりできればそれが可能な国だと思う。
けれど、長いスパンで考えると、私はそこまで前向きでもない。それはフランスだけに限らず、全世界を含めて。今、成り立っている資本主義はとっても自壊的で自滅的だ。ほとんどの人がリスクを負って変革に乗り出す勇気を持ち合わせない。だから、どんどん後回しにしている。
じゃあ、あと何世代の人たちが僕らみたいな快適な暮らしを続けられるのだろう?
   

フランス大統領選目前!  緊急アンケート  パリジャンに聞いた。「あなたは誰が大統領になると思いますか?」

以上のようなアンケート結果であった。
アンケートを依頼した15人のうち12人が、マクロン氏が選ばれると発言している点が興味深い。残り3人は棄権する可能性が高いのでアンケートに答えられないという意見。しかし、4分の3はマクロン氏に期待できないと答え、白票が大量にでてしまう可能性を残した。
ルペン氏側の票は増えることはあっても減ることはない。アンケートの意見にあるように、今回の大統領選、僅差になる可能性もある。

* 今回、アンケートを依頼した方々は各世代から無作為ながらも、選挙権 ある無しに関わらずパリで仕事を持つ方々。ただ、パリの人々の意見であって、フランス国民を代表するとは限らない。
明日はさらに若い世代への調査を行います。

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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